映画出演急増中の22歳 存在感放つ河合優実が得た手応え「成長をし続けられている」

俳優の河合優実が初主演する映画『少女は卒業しない』(中川駿監督)が2月23日に公開される。翌日に高校の卒業式を控えた4人の少女たちは、世界の全てだった学校や恋と決別していく。河合は「4人の女の子の言葉や考えの中には、私自身が知っている記憶もありました。思いを重ねて観てほしい」と呼びかけている。

初主演した映画について語った河合優実【写真:ENCOUNT編集部】
初主演した映画について語った河合優実【写真:ENCOUNT編集部】

心が動いた経験はノートに記す、日常の全てを俳優に注ぐ徹底ぶり

 俳優の河合優実が初主演する映画『少女は卒業しない』(中川駿監督)が2月23日に公開される。翌日に高校の卒業式を控えた4人の少女たちは、世界の全てだった学校や恋と決別していく。河合は「4人の女の子の言葉や考えの中には、私自身が知っている記憶もありました。思いを重ねて観てほしい」と呼びかけている。(取材・文=西村綾乃)

 映画は『桐島、部活やめるってよ』、『何者』で知られる直木賞作家・朝井リョウの同名連作短編小説をもとにしたもの。河合は料理部で部長を務める山城まなみを演じている。

「初顔合わせをした日。中川駿監督が経験された私的なお話を明かしてくれました。そのとき抱いた罪悪感と喪失感をシェアしてくださったんです。その思いをまなみに重ねようと思いました」

 映画にはまなみのほかに、ひそかに教師に恋心を持つ控えめな性格の少女。東京の学校に進学することを選び、恋人との別れを決めたバスケットボール部の部長。中学生の時から思いを寄せている同級生に気持ちを明かせない軽音楽部の部長など不器用な3人の女の子が登場する。

「元々、学校として使われていた校舎をお借りしての撮影だったので、体育館での軽音部の舞台裏とか、図書室での先生とのエピソードなど、場所からパワーをもらえた作品だと思います。完成した映画を観たときは、4人の女の子それぞれのエピソードに『あ、分かる』と高校時代を思い出しました。恋人とかじゃないけれど、『一緒に写真を撮ろう』と撮った1枚があったなとか。ただ、高校だけでなく、人生の中ではいろいろな“卒業”があると思うので、幅広い世代の方に共感してもらえればうれしいです」

 同作では中川監督の記憶を、自身のものとして役を全うした河合。感性を磨くため、続けていることがあるという。

「映画などを観て感動をしたら、その思いを人に話すようにしたり、ノートに書き出すことが多いです。感動しっぱなしにせず、言葉にする。作品に入る前には、台本を読んで感じたことなどいろいろを、記すようになりました。シーンを整理して臨めたり、監督とコミュニケーションが取りやすくなったり。ノートに残すのは自分が感じたこと、人から聞いた言葉。監督からもらったお手紙など、特にルールはありません。作品の撮影中に迷ったとき、過去の自分が書いたものを読んで励まされたり、ヒントになることも多くあるんです」

 2022年は、カンヌ国際映画祭『ある視点』部門に正式出品された『PLAN75』、水墨画に打ち込む大学生を演じた『線は、僕を描く』など8本の映画に出演。ヨコハマ映画祭で4冠を達成した『PLAN 75』では助演女優賞に輝いた。手応えや成長を感じているのだろうか。

「具体的な実感はないのですが、成長をし続けられていると思います。デビューしたばかりの自分は、勢いだけしか頼りにできませんでした。でも経験を重ねたいまは、作品への取り組み方や結果に反省も当然多くなって……。ただ、壁と言うほど大きな関門にはまだたどり着いていないつもりなので、やったことがない役や作品に挑戦していきたい。新しい現場で新しい価値観を持った人から刺激をもらうことを楽しみに頑張っていきたいです」

□河合優実(かわい・ゆうみ)2000年12月19日、東京都生まれ。19年に女優としてデビュー。映画『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第64回ブルーリボン賞新人賞などを獲得した。3月には映画『ひとりぼっちじゃない』の公開を控えている。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください