「人命救助は災害発生から72時間」防災士がイラストで紹介する“持っていてもいい備品”とは?
今月6日に発生したトルコ南部を震源とする大地震による犠牲者はトルコとシリア合わせて3万5000人を超えたという報道もあり、地震発生から1週間をすぎた現在も懸命な救助活動が行われている。日本でも南海トラフや首都直下型地震に備え、市民の間でも防災への関心が高まる中、SNSを通じて日々防災について分かりやすく紹介し続けるイラストレーターが話題になっている。
「防災無料イラスト」で日頃から備える大切さを紹介
今月6日に発生したトルコ南部を震源とする大地震による犠牲者はトルコとシリア合わせて3万5000人を超えたという報道もあり、地震発生から1週間をすぎた現在も懸命な救助活動が行われている。日本でも南海トラフや首都直下型地震に備え、市民の間でも防災への関心が高まる中、SNSを通じて日々防災について分かりやすく紹介し続けるイラストレーターが話題になっている。
トルコ大地震直後のツイートでは「人命救助は災害発生から72時間。もし自分の住んでいる地域で今回のような地震が起こったら、と考えるとバールくらい持っていてもいいかもしれません。」と投稿し、救出の際のバールの具体的な使用方法や注意点、搬送方法などを1枚のイラストで分かりやすく解説している。ほかにも高層マンションでの防災、断水時の備え、安全な雪道の歩き方など、あらゆる防災に関する対策が1枚のイラストで1つ1つ丁寧に描かれている。
「防災無料イラスト」というアカウント名で防災について呼びかけているのはイラストレーターのいぢちひろゆきさん。女性誌の編集者を経て、数多くの雑誌やPR誌にマンガを連載するなどさまざまな活動をする中で防災士としての一面も持っている。
きっかけは7年前、町内会の防災担当をしたことから始まったという。
「町内会の防災マニュアルや防災訓練の案内などを作るときにイラストを描いていたのですが、そういう防災関係のイラストを無料で使える素材として提供したらいろんな人の役に立てるのでは、という構想を持ちました。そして2019年、台風15号により町内で倒木があり、数日間停電してけっこう大変でした。そのときに災害が他人事ではないと強く感じて、それがサイトを始める大きなきっかけになりました」
スーパーマーケットでは買い物カゴで頭を守るのが有効
「防災無料イラスト」では普段からの備えがいかに大切であるかを説いている。トルコ大地震の3日前に「大地震への備えは怠りなくしておきたいですね」というツイートとともに住宅の耐震化や家具の固定、生活必需品の備蓄、避難経路の確認といった大地震の基本的な備えについて紹介している。
実際にいぢちさんのご家庭でも最低1週間分の備蓄を怠らず、食料と水の備蓄、断水のときのためのトイレ非常袋、停電対策の電池、カセットコンロとガスボンベなどは必需品だと話した。
それぞれのイラストは、すぐに実行できるよう具体的な内容が描かれている。たとえば「大きな地震の際、何が生死を分けるのか」という投稿ではとっさに頭を守るさまざまな方法が紹介され、スーパーマーケットでは買い物カゴで頭を守るのが有効だと説明。
また「大きな地震があった場合、どういう物が倒れてきてどうすれば身を守れるのか」という投稿では屋根瓦やブロック塀、自動販売機など倒れてくる可能性のあるものが紹介され、子どもたちがイラストを見ただけでも理解できるように作られており、親子で一緒に防災について学べるツイートとしても反響を呼んでいる。
あらためていぢちさんに防災について大切だと思うことを聞いた。
「自助共助公助と言われますが、まずは自分の身は自分で守るということですね。自宅を安全な場所にしておくこと(自宅の耐震化と家具の固定)と、食料や水などの備蓄。あと、共助の部分でいうと、災害が起きたときにやっぱり地域での助け合いが必要になるので、近所の方と仲良くしておくということかなと思います」
いぢちさんがSNSに投稿している防災に関するイラストについて非営利の目的であれば防災に役立ててほしいと自身のサイトから無料で提供している。サイトの注意事項を確認したうえで、自治会や町内会などの防災マニュアルやポスター、無料のチラシなどに活用してほしいと呼びかけた。
いぢちひろゆきHP:https://ijichihiroyuki.net/