浦沢直樹氏『PLUTO』アニメ化決定 ネトフリで独占配信、手塚治虫さん『鉄腕アトム』が原案

浦沢直樹氏の漫画『PLUTO』がアニメーションシリーズ化されることが15日、分かった。Netflixで2023年から独占配信される。

『PLUTO』のアニメ化が決定
『PLUTO』のアニメ化が決定

制作決定PV公開 国内外で高評価の一作

 浦沢直樹氏の漫画『PLUTO』がアニメーションシリーズ化されることが15日、分かった。Netflixで2023年から独占配信される。

『20世紀少年』、『YAWARA!』、『MASTERキートン』(脚本:勝鹿北星・長崎尚志)など数々のヒット作を生み出している浦沢氏が漫画の父と称される手塚治虫さんが生み出した『鉄腕アトム』の一篇『地上最大のロボット』(1964年)を原案に、長年作品を共につくってきた長崎尚志氏をプロデューサーに迎え、葛藤しながら描き上げた傑作『PLUTO』(2003年)。人間と高性能ロボットが完全に共生する近未来で起こる上質なサスペンスドラマは、手塚治虫文化賞マンガ大賞をはじめ、11年アングレーム国際漫画フェスティバルにてインタージェネレーション賞を受賞するなど国内外で高い評価を得た。

 15年に舞台化され、18年には好評につき再演を果たし、日本はもちろん、イギリス、オランダ・ベルギーと欧州ツアーも敢行された。多くのファンに映像化を待ち望まれていた作品がついにアニメとして表現される。

 誕生から20年となる『PLUTO』がアニメ化されるにあたり、原作者の浦沢氏は「今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな『心の作品』の誕生に心躍っています。今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように」と自らの創作時を振り返りながら、世界へ『PLUTO』を届けることに期待を寄せた。

 さらに原作プロデュースを手掛けた長崎氏は「『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ」と物語に込められた想いに触れた。

 そして、父・治虫さんの意思を引き継ぎ本作の監修を務める手塚眞氏は「これは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ」と本作に期待を寄せた。

 アニメ化にあたり、制作プロデュースをジェンコが、アニメーション制作をスタジオM2が担当。映画『この世界の片隅に』で国内興行収入27億円を記録し、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞や第41回アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門審査員賞など数々の映画賞に輝いた、企画・プロデューサー陣が再集結。

 併せて、本作の制作決定PVも公開。物語の主人公であるユーロポールのロボット捜査官・ゲジヒトと、彼が追うある事件に関わるアトムとウランという2人のロボットも登場する。

 そして、映像に登場したキャラクターたちを演じるキャストも明らかに。ゲジヒト役にはスパイ映画の金字塔『007』シリーズや映画『ナイブズ・アウト』シリーズで好演を博したダニエル・クレイグの吹き替えを担当している藤真秀が、アトム役には『SHAMAN KING』(2021)の主人公・麻倉葉や『けいおん』の秋山澪など幅広い演技経験を持つ日笠陽子が、そしてウラン役は『マクロスΔ』にてヒロインのフレイア・ヴィオンを演じ、今年歌手活動5周年を迎えた鈴木みのりが抜てきされた。

 さらに、3月25日と26日に東京ビッグサイトにて開催される「AnimeJapan 2023」に原作者の浦沢氏が初参加することが決定。25日の「BLUE STAGE」にて実施の「ネトフリアニメ スペシャルステージ」に浦沢氏をはじめ、眞氏、日笠、鈴木が登壇する。

 浦沢氏、長崎氏、眞氏のコメント全文は下記の通り。

○浦沢直樹
「60年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の『心の漫画』となった『鉄腕アトム』の挿話『地上最大のロボット』。この作品のリメークがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな『心の作品』の誕生に心躍っています。今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように」

○長崎尚志
「60年前、『PLUTO』の原作『地上最大のロボット』が誕生した。最強の戦闘能力を持つロボット達が競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年達は熱狂した。アトムファンというより『地上最大のロボット』ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。

 そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。

○手塚眞
ついに、やっと、『PLUTO』がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。

※手塚治虫/手塚プロダクションの「塚」の正式表記は旧字体

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