米コネチカットで高熱の人を発見のため「パンデミックドローン」を試験導入…専門家は実効性を疑問視
新型コロナウイルスの予防対策は世界的な喫緊の課題だ。こうした中で、ドローンを駆使する手法が関心を集めている。米国コネチカット州ウェストポート市警察が、190フィート(約58メートル)離れた人が高熱か咳をしているかを認識できる「パンデミックドローン」の試験導入を始める計画を発表した。一方で、専門家はそのような技術がうまくいくか、うまくいった場合でも新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることに役立つのか、疑問符を投げかけている。米NBCニュースが報じた。
米国コネチカットの市警察が試験導入計画 高熱か咳をしているかを認識できる機能のドローン
新型コロナウイルスの予防対策は世界的な喫緊の課題だ。こうした中で、ドローンを駆使する手法が関心を集めている。米国コネチカット州ウェストポート市警察が、190フィート(約58メートル)離れた人が高熱か咳をしているかを認識できる「パンデミックドローン」の試験導入を始める計画を発表した。一方で、専門家はそのような技術がうまくいくか、うまくいった場合でも新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることに役立つのか、疑問符を投げかけている。米NBCニュースが報じた。
ウェストポート市はマンハッタンの北、1時間の距離に位置する人口約2万9000人の裕福なコミュニティーであり、新型コロナウイルスの感染者198人、死亡者5人を記録している。
この街で今回、新たな挑戦と言える取り組みがスタートするというのだ。同州ウェストポート市行政委員長のジム・マーペ氏は声明で、「ソーシャルディスタンス(社会的距離)が感染拡大を抑え、最終的に人命を救うことは分かっています。新型コロナウイルスの感染が広がる中、ウェストポート市の住民を守り続け、次第に日常に戻れるように、感染拡大を防ぐ方法を探るべきです」と説明する。さらに、マーペ氏は警察が住民の安全を守るために、「スマートな解決策」を模索していると称賛した。
感染防止策を模索する市警察は、ドローンが「リスクの高いグループの健康の把握」に役立つ可能性があるとし、自宅の庭にいる人には使用されず、顔認識技術も使用されないとの見解を示す。加えてウェストポート警察署長フォティ・コスキナス氏は声明で、「ドローンはマンパワーを必要とせずに遠隔地までカバーできるテクノロジーです。このテクノロジーにより、警察はある状況において最適な判断をするために必要な情報やデータを得ることができます」と述べた。
警察広報は、試験導入期間は高熱や咳をしている人に対して何も行動は起こされないと語った。現時点ではドローンからの情報を評価することに注力する方針で、「役立つと判断されれば、将来的に政策専門家がいつ誰に対してどのようにテクノロジーを使用するのか案を作成します」とのことだ。
しかしながら、専門家は疑問の目で見ている。米国自由人権協会のデビッド・マクガイア氏は、「新型コロナウイルスは深刻な公衆衛生のリスクであり、問題を抑えるのに役立つかもしれないツールを排除するべきではありません。しかし、テクノロジーがパンデミックを抑える魔法の薬でないことも認識しなければなりません」との声明を出した。「市や州は、新型コロナウイルスを利用して製品を売り込む利己的な企業に注意するべきです。たとえドローンを使用した遠隔検知技術が正確だとしても、それが新型コロナウイルスの感染拡大を止めることに役立つとは限りません」と、実効性を慎重に見極める必要性を訴えている。