『スケバン刑事III』で一世風靡した大西結花「一度でいいからかわいらしい役やりたかった」

1986年のフジテレビ系ドラマ『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』で風間結花を演じて一世を風靡(ふうび)した女優・大西結花(54)。84年の女優デビューから数々のヒット作に出演し来年は女優生活40年となる。85年には歌手デビューを果たし、昨年から2025年の歌手生活40周年に向けたカウントダウンライブを開催している。近年はポコチャ(ライブコミュニケーションアプリ)を利用して活動し、若者にも人気。大西に『スケバン刑事III』時代の思い出など女優生活を振り返ってもらうと同時に今後の目標も聞いた。

来年には女優生活40年を迎える大西結花
来年には女優生活40年を迎える大西結花

芸能生活約40年、今後の目標はなぜか縁がなかった声優の仕事と海外進出

 1986年のフジテレビ系ドラマ『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』で風間結花を演じて一世を風靡(ふうび)した女優・大西結花(54)。84年の女優デビューから数々のヒット作に出演し来年は女優生活40年となる。85年には歌手デビューを果たし、昨年から2025年の歌手生活40周年に向けたカウントダウンライブを開催している。近年はポコチャ(ライブコミュニケーションアプリ)を利用して活動し、若者にも人気。大西に『スケバン刑事III』時代の思い出など女優生活を振り返ってもらうと同時に今後の目標も聞いた。(取材・文=中野由喜)

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

「振り返るといろんなことが思い出されますが、やはりデビュー作のドラマ『家族の晩餐』が印象に残っています。生田スタジオのスタッフも共演者の方も全員、私を娘のように大事にしてくださいました。俳優は超ベテランの方ばかり。私は山城新伍さんと倍賞美津子さんの娘役で、お母さんの同僚役の加賀まりこさんや由紀さおりさん、平田満さん、おばあちゃん役の藤間紫さんもいらっしゃいました。私はお芝居の経験がないし、大阪から出てきて間もなかったので標準語のイントネーションから覚えました。倍賞さんはお昼休憩の時に台本を広げて読み合わせをしてくださいました。今、思うとむちゃくちゃ手厚くしていただいたと思います」

 大御所の俳優陣に囲まれた新人女優。どんな心境だったのか。

「とにかく皆さんにご迷惑をかけないようにせりふだけは完全に覚えようと思って臨んでいました。もう必死で一生懸命だったという記憶しかないです。今、思うと私が萎縮することなく伸び伸びとできる空気を作っていただいたと思います。スタッフの皆さんも温かくて、他の仕事で生田スタジオに行くと楽屋に顔を出してくれたり、食堂のおばさんも守衛のおじさんも声をかけてくれました」

 話していると朗らかな人柄と感じるが不良の役が多かった気がする。

「『スケバン刑事III』の前にもっと強烈な不良の役を85年の『家族ジャングル』という作品でやっていました。スカートは引きずるくらい長く、ケンカばかりして、『てめえ』とか言う女の子。その後の作品でも反抗期の役を演じ、その流れで『スケバン刑事III』に入ったんです。そういう意味では『スケバン刑事III』の結花の役には抵抗がなかったです(笑)」

 不良の役が続いた。どう感じたのか。何か影響はあったのか。

「その後もクラスのヒロイン的な役はなかったですね(笑)。2時間ドラマでも悪い愛人の役とかで、いい奥さんの役はなかったです。多分、悪だくみをする役が似合う顔なのでしょうね(笑)。1度でいいからクラスのヒロインとか、かわいらしい役、いい奥さんの役をやってみたかったです。憧れていましたね。やっと奥さんの役がきたと思ったら愛人も夫も痛めつける悪妻でした。優しく、か弱い女性の役に憧れていました。快活な役ばかりで時代劇でさらわれる町娘を演じても抵抗して反撃するし、おしとやかな役はあきらめていました」

今後は「歌もお芝居もどちらも」

 か弱い女性の役と縁遠くなった以外につらい思い出を尋ねると意外な一面が見えてきた。

「実は私、高い所が苦手。そして泳げないんです。なのに映画『スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲』のアクションシーンでお台場の海に放り込まれました。マンションの10階の部屋から外に弾き飛ばされるシーンでは、本当に10階のベランダの柵にぶら下がる状態で撮影しました。もちろん命綱を付けていましたけど」

 確かにアクションシーンは多かった。運動神経はいい方だったのか。性格も含め役とのギャップが気になる。

「ともに普通です。でも棒を振り回すシーンでは、事前に打ち合わせしているのに、本当に人にあたってしまうこともありました。性格は積極的なタイプではなく、やれと言われれば動く方で率先して何かやるタイプではないです。芸能界に入って困ったのは、友人の結婚式でスピーチや歌を頼まれることが多くなったこと。私は一番後ろの席で『お料理おいしい』と言っている方が好きなんです」

 今後の仕事への向き合い方も聞いてみた。

「私はお芝居も歌も好きです。どちらかに重点を置くことをせずにやってきたつもりです。歌はネットも使って活動し、新曲も出せたらと思っています。ありがたいことに長く芸能界にいさせていただく中、ずっと思っていることですが、私自身も歌やお芝居から元気をもらうことが多いので、求めてくださる限りは続けていこうと思います。特にコロナ禍では、どうやって食べていこうかと苦しんだ人は多かったと思います。私たち芸能の仕事もストップしたケースも多かったです。でも、芸能の仕事は人の心を和ませたり、心の力に必要な仕事だということを再認識しました。続けていきたいと思いました」

 コロナ禍以降、ライブコミュニケーションアプリを利用し、ファンに歌とメッセージを届けるようになった。

「80年代に仕事ができる環境に生まれて良かったなと思っています。80年代がずっとブームでいてくれています。80年代アイドルというブランドに皆さんが価値を見出し、また、昭和レトロブームで水玉のワンピースを今の若い女の子がかわいいと思ってくれています。80年代の音楽もカラオケで歌われているそうです。『80年代はここにもあります』と見てもらおうと思ってポコチャを始めました。ほとんどは同世代ですが、最近は若い人も見てくれます。若い人のツールを利用して発信し、見つけてもらおうと思っています」

 今後の目標を尋ねた。

「やりたいことだらけです。理想は世代を超えて楽しんでもらえるライブをやること。あと芸能界でまだ未体験の世界。声の仕事です。昔から声優の仕事をやりたかったのですが縁がありませんでした。海外映画などの吹き替えを含めゲームやアニメの声優もやってみたいです。やらずに終われません。あとは海外進出。海外でも仕事をしたいです」

 最後にあらためて40年頑張ってきたと自信をもって言えることを語ってもらった。

「こう見えて結構、真面目なんです。どんな仕事も100%全力でやってきたと思っています。この仕事を大西と一緒にやって120%良かったと思ってもらえるような気持ちで常に取り組んできたつもりです」

□大西結花(おおにし・ゆか) 1968年7月6日、大阪府生まれ。1984年放送の日本テレビ系連続ドラマ『家族の晩餐』のヒロインとして芸能界デビュー。その後も85年日本テレビ系『家族ジャングル』、86年『春風一番!』に続けて出演し、86年のフジテレビ系『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』で、風間三姉妹の長女・風間結花役で一気にブレイク。90年のNHKの連続テレビ小説『京、ふたり』にも出演。映画は85年『台風クラブ』、88年『スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲』、95年『眠れる美女』など。また、85年には『アラベスク・ロマネスク』で歌手デビュー。ドラマをきっかけに誕生したユニット・風間三姉妹(長女=結花/大西結花、次女=由真/中村由真、三女=唯/浅香唯)として歌った主題歌『Remember』がヒット。温泉ソムリエの資格も持つ。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください