THE LAST ROCKSTARSが初ライブ開催 “第1章”に観客熱狂…YOSHIKI「やり遂げたね」

X JAPANのYOSHIKI、L’Arc-en-Ciel、VAMPSのHYDE、LUNA SEA、X JAPANのSUGIZO、MIYAVIの4人が昨年11月に結成したバンドTHE LAST ROCKSTARSが26日、有明アリーナ(東京都江東区)で初ライブを開いた。昨年末にリリースしたファーストシングル「THE LAST ROCKSTARS」で幕開けしたステージでは、オリジナル曲のほか、X JAPANの「BORN TO BE FREE」などのカバー曲も披露。約2時間20分に及ぶライブを終えたYOSHIKIは、涙声で「やり遂げたね」と3人を見つめると、互いの腕を回し合い抱擁。拍手を送るファンに「いろんな歴史を俺たちは背負って来たけど、これからもそう。これは第一章の始まり。みんなどうもありがとう」と感謝した。

「THE LAST ROCKSTARS」が有明アリーナで初ライブを開催した
「THE LAST ROCKSTARS」が有明アリーナで初ライブを開催した

開演時刻を45分過ぎてついに登場 会場は一気にヒートアップ

 X JAPANのYOSHIKI、L’Arc-en-Ciel、VAMPSのHYDE、LUNA SEA、X JAPANのSUGIZO、MIYAVIの4人が昨年11月に結成したバンドTHE LAST ROCKSTARSが26日、有明アリーナ(東京都江東区)で初ライブを開いた。昨年末にリリースしたファーストシングル「THE LAST ROCKSTARS」で幕開けしたステージでは、オリジナル曲のほか、X JAPANの「BORN TO BE FREE」などのカバー曲も披露。約2時間20分に及ぶライブを終えたYOSHIKIは、涙声で「やり遂げたね」と3人を見つめると、互いの腕を回し合い抱擁。拍手を送るファンに「いろんな歴史を俺たちは背負って来たけど、これからもそう。これは第一章の始まり。みんなどうもありがとう」と感謝した。(取材・文=西村綾乃)

 国内外で活躍する4人が「世界に旋風を巻き起こす」という志を胸に、新バンドの結成を明かしたのは2022年11月。“新人”バンドの勇姿を見ようと、開場する前から外には長い列ができていた。ホールに入るとスクリーンには「THE LAST ROCK STARS Live Debut 2023 Tokyo-New York-Los Angeles」の文字が。客席では赤や青、緑などのサイリウムを持ったファンが、高揚した表情でその瞬間を待っていた。

 開演時刻を45分ほど過ぎて、客席の電気が落とされると文字が写っていたスクリーンにサイボーグのような女性が映し出された。「Tokyo,Are You Ready?」と口を開くと、「ON Guitar~」とMIYAVIをスタートに、SUGIZO、HYDE、YOSHIKIを紹介。暗くなったステージに、4人のシルエットが浮かぶと会場は一気にヒートアップした。

 横一列に並んでいた4人は、楽器やマイクの元へと移動。ドラムの上に登ったYOSHIKIは黒いドラムスティックを横長にして持つと、肩を伸ばすなどして準備体操。HYDEが「東京!」と声をあげると、ブルーとオレンジの炎が吹き上がった。

 記念すべき初ライブの1曲目は、グループ名を付けた「THE LAST ROCKSTARS」。YOSHIKIが「踊れるロックミュージックに」と思いを込めた曲に合わせて、フロアが揺れて行く。ファンの声援を身体で受けたHYDEは「この声をどれだけ待ちわびたことか。最高なんじゃない東京」と客席に呼びかけ。「歌ってタオル回せるか」とあおると、自身のソロ曲「6or9」を歌い上げて行く。曲中にはHYDEの「スリー、トゥー、ワン」の声に合わせて、ファンがその場でくるりとターン。会場と一体になっていた。

 MIYAVIがコーラスを務めた新曲「Messiah」を披露後、HYDEは「まだまだ新曲続きますよ」と「Here’s The Love」を演奏。素肌の上にジャケットを羽織ったHYDEは、お立ち台の上で寝転がると、なまめかしい動きで視線をくぎ付けに。胸に入れたスネークのタトゥーがHYDEの身体を這うように動いていた。

 MCではマイクを持ったYOSHIKIが「みんな元気。すごいよね。ここまで来たね」と感慨。満員の客席に向かい「みんな始まると思ってなかったでしょう」と苦笑いすると、「素晴らしい仲間と演奏することができて感謝しています」と一礼した。「気合い入れて行くか!」と叫んだYOSHIKIは、ピアノに向かうと盛り上がっている会場にS.K.I.N.やX JAPANが演奏してきた「Beneath the skin」を投下。ピアノからドラムへと演奏する手を変え、苦悩や怒り、切なさなどを表現していった。

 意外な選曲に圧倒された会場。責める手を緩めず、ひとりでスポットライトを浴びたMIYAVIが下手でギターをうならせ始めた。「踊りたい奴は踊ってくれ!」。叫ぶMIYAVIのエネルギーに突き動かされたファンが、思い思いに身体を音楽に預けて行く。上手にはSUGIZO。お互いに歩み寄ると、中央でギターバトルが始まった。超絶技巧をぶつけ合うふたりに観客は歓喜した。

 互いの名を呼び、称え合うとSUGIZOはギターをバイオリンに変え、ひとり演奏を始めた。漆黒のバイオリンから奏でられる美しい旋律。本を開くように、次々と新しい物語へと誘っていく。チェストに腰かけたSUGIZOが奏でたバイオリンに、目深にハットをかぶったHYDEが歌声を合わせて行く。深海のような映像が映し出されたスクリーン。一枚の絵のような幻想的な空間が広がって行った。

 弓を弾く手を止めたSUGIZOが、HYDEのハット上部にキスをすると、魔法が溶けたようにまた別の世界へ。抒情的なアコースティックギターを奏で始めたMIYAVIは、時おりギターのボディも叩きながら独自のリズムを刻んでいく。HYDEの「♪ハレルヤ」の歌声に、SUGIZOも声を出し天を仰いでいた。

YOSHIKIはドラムソロ、ピアノソロも披露

 ステージを後にした3人に続いて舞台に登場したのは、真っ赤なロングジャケットを羽織ったYOSHIKI。ドラムの上から降りると、約6分ほどのドラムソロがスタート。首のコルセットなしで、縦横無尽にたたく姿は般若のよう。パープル、エメラルドグリーンなどに色を変えて発光するドラムと対峙する姿は、手元や頭上、足元などさまざまな場所に設置されたカメラがとらえ、スクリーンに映し出された。加速するドラムに全ての思いを。白く輝いたドラムの背後に、オレンジ色の両翼が浮かぶとYOSHIKIは再び立ち上がりドラムの上へ。数度の手術やリハビリなどを経て、再び唯一無二のドラムテクニックを見せたYOSHIKIは、不死鳥のようにまっすぐ前を見つめていた。

 満身創痍の演奏を終えたYOSHIKIはクリスタルピアノに移動。「白鳥の湖」を演奏し始めると、途中にX JAPANの「紅」のフレーズを交えた。スクリーンには「♪紅に染まった このオレを~」と歌詞が流れる。客席で色鮮やかに輝いていたサイリウムは、この瞬間に「深紅」へと変わった。「One more time」。YOSHIKIの声に合わせて、客席が「紅」を合唱。割れるような拍手にYOSHIKIは、うれしそうな笑顔を見せていた。

 HYDEらが戻り再び4人で音を奏でたステージでは、X JAPANの「BORN TO BE FREE」、L’Arc-en-Cielの「HONEY」を続けて披露。「HONEY」の終盤にはドラムへと向かう階段を駆け上がり、YOSHIKIに抱きつきながら歌うHYDEの姿もあった。

 噴き出す汗をぬぐったMCでYOSHIKIは「10年前、20年前に誰がこんなことが起こるって予測してた? みんなが応援してくれているからこういう奇跡が起きるんだね」としみじみ。ライブの終盤にはMIYAVIのソロ曲「Bang!」をHYDEが熱唱。全てはここから始まった。僕らだけが見える未来――。聴き手を揺さぶるような歌声で、バンドの“いま”を熱く体現した。

 アンコールでは、YOSHIKIが「みんなで集まってリハ(リハーサル)をしたときから、オレすでに泣きそうだった。で、HYDEが『まだです。まだです』って」と裏話を告白。客席に視線を向けると「次のバラードは出来たばかりの曲。SNSにあげて『覚えて来て』ってお願いした曲です。練習してみようか?」と呼びかけると、背後のスクリーンに歌詞が。

 鍵盤に向かったYOSHIKIは「♪Tonight We will Shine~」と流れる歌詞に合わせて、演奏を続ける。リードするように歌うHYDE。もう大丈夫というようにうなづいたYOSHIKIは英語でつづった「Shine」の歌詞について「今夜、みんなで輝こう。でも空には光がないかもしれない。それならば僕らが灯そうって」と説明を続けた。話している最中、「つらいことがあっても、みんなで光を灯そうって」と語った場面では、苦悩した過去の情景が思い浮かんだのか涙声になっていた。

 スクリーンに無数の星。そしてスマートフォンの光りを照らした観客は会場に星空を作った。HYDEの力強く、澄んだ歌声は困難を切り開いていく道しるべに。頭上に輝くミラーボールは地球を表すようなブルーとグリーンに染められていた。

 HYDEの「GLAMOROUS SKY」を演奏した後のMCでは、YOSHIKIが「ここまで来られたのはみんなのおかげ。HYDEもかっこいいな。MIYAVIもかっこいいな。SUGIZOもパンツかっこいいな」と再び笑顔に。2時間20分に及んだ初ライブの最後には、冒頭に演奏した「THE LAST ROCK STARS」に触れ、「この曲は『お前らみんなロックスターだ』っていう曲。生きている以上は、華やかに生きようぜ。みんなもロックスターだから。この曲をもう一発やってみようか」とあおると、再び狂気の渦に。

 HYDEの歌に合わせて、観客も「♪We are the Rock Stars!」と宣言し、集まった1万人と大合唱した。

 公演は27日にも有明アリーナで行われ、29、30日に東京ガーデンシアターで開催。4公演で3万2千枚のチケットはすでにソールドアウトしている。2月3・4日にはアメリカ・ニューヨークにあるHammerstein Ballroomで、10日にはYOSHIKIが拠点にしているアメリカ・ロサンゼルスにあるHollywood Palladiumで初の米国公演を行うことが決まっている。

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