電動キックボードで全治7か月の重傷 転倒男性が語る“規制緩和”の危険性「かなり不安定な乗り物」
立ち乗りの二輪車「電動キックボード」の新しい交通ルールを盛り込んだ改正道路交通法が7月に施行される見込みになり、ネット上で大きな議論を呼んでいる。「16歳以上 最高時速20キロ以下の電動キックボード」を条件に、運転免許は不要に。また、ヘルメット着用は“努力義務”に留める。事故の増加を懸念する声が上がるなか、問題の核心はどこにあるのか。電動キックボードを購入後、転倒により右足を骨折。2か月半に及ぶ入院生活を送った40代男性の suru4787 VRCさん(@suru4787_VRC)に話を聞いた。
最初は「めちゃくちゃ便利!」と喜んだが… 「乗りたいとも思わない」
立ち乗りの二輪車「電動キックボード」の新しい交通ルールを盛り込んだ改正道路交通法が7月に施行される見込みになり、ネット上で大きな議論を呼んでいる。「16歳以上 最高時速20キロ以下の電動キックボード」を条件に、運転免許は不要に。また、ヘルメット着用は“努力義務”に留める。事故の増加を懸念する声が上がるなか、問題の核心はどこにあるのか。電動キックボードを購入後、転倒により右足を骨折。2か月半に及ぶ入院生活を送った40代男性の suru4787 VRCさん(@suru4787_VRC)に話を聞いた。
「今年の1月に電動キックボードのハンドルが倒れそのまま転倒 足の骨を骨折し2か月の入院と現在も通院してます。バイクと違い安定性も乏しくかなり危険な乗り物です。YouTubeで便利で免許不要で乗れると評価上々ですが危険です」
昨年4月、男性はSNSに骨折した右足のレントゲン写真を添えて、電動キックボードの危険性を訴えた。
男性は事故の2~3週間前に通勤用に電動キックボードを購入したばかりだった。
「家から会社の駐車場まで自家用車で通っていたのですが、駐車場に着いてから会社まで1キロちょいありました。そこからは自転車で行っていたのですが、10年近く使用してガタが来てたため、キックボードに注目して購入。初めて乗ったときはめちゃくちゃ便利! でした」
ところが、そんな好印象もすぐに暗転する。
「朝いつもの道を通っていたら、交差点でブレーキかけたときにハンドルの固定が甘かったのか、もともと不安定な乗り物なこともあり、グラっときて姿勢を崩して転倒。歩道の縁石に足を強打し、キックボードも歩道にジャンプして乗り上げました。近くにいた朝の小学生の誘導を行う警備員が駆けつけてくれて警察を呼んだり交通誘導などをしてくれてました」
会社に行ける状態ではなかった。病院に運ばれ、手術を受けた。完治まで7か月を要する大けがだった。入院は2か月半に及び、一度退院を挟んで再度入院した。現在は目だった後遺症なく過ごしているが、「雨や雪の日にたまに痛くなることはあります」と、負傷から1年がたっても傷がうずくことがあるという。
事故後、男性は電動キックボードには乗っていない。
「入院中に知り合った人たち(医師、看護師、薬剤師、患者)や親戚一同から、『2度と二輪車に乗るな』と言われたこともありますし、自身もなんかトラウマになり、四輪車(自動車)しか運転しないようになりました。乗りたいとも思わないし、キックボードは乗れば分かりますが、かなり不安定な乗り物なので『危ないから乗るなよー』と実生活の友人やVRで知り合った人たちに言っています」と、注意喚起を行っている。
低速であればあるほど姿勢を崩しやすい特性も 「かなり危険だと思う」
7月からの新ルールには、不安を隠せないという。
「キックボードはタイヤが小さくホイールベースも短い。さらに片足を前に出し、後ろ足を斜め後ろに置いて立ちながら運転するので不安定な乗り物です。低速であればあるほど姿勢を崩しやすく、なら速度だけ出せばよいのかと言うと、今度はブレーキが貧弱。ハンドルも細くてタイヤも細いので、段差で持っていかれます。かなり危険だと思うので もし乗るのであればヘルメット、肘、ひざ当てなどを必ずしたほうがよいと思います」と警鐘を鳴らした。
短期間とはいえ、利用して分かったのは、第一印象との大きすぎるギャップだった。
「初めてキックボードに乗ったときに『これは革命だ。こんな便利な物が原付免許で乗れるんだ!』と思いました。折り畳めて車に積めるので、なおさら最高な乗り物だと勘違いしたというのもあります。こんな不安定でけがしやすいと分かっていたら、乗らなかったかもしれません」
原付バイクと同じ分類だったのが、自転車のような扱いに。くれぐれも事故がないよう細心の注意を払いたい。