“ゲーム反対派”小籔千豊が2年間で4000時間ゲーム三昧 親子大会開催まで至ったワケ

お笑いタレントの小籔千豊(49)による初めての著書「ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由」(辰巳出版)が好評発売中だ。人気オンラインゲーム「フォートナイト」にハマり、「フォートナイト下手くそおじさん」としてゲームYouTuberでもある小籔が、その経緯をつづった。

自身初となる著書を発表した小籔千豊【写真:ENCOUNT編集部】
自身初となる著書を発表した小籔千豊【写真:ENCOUNT編集部】

自身初の著書は自らが書き下ろし

 お笑いタレントの小籔千豊(49)による初めての著書「ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由」(辰巳出版)が好評発売中だ。人気オンラインゲーム「フォートナイト」にハマり、「フォートナイト下手くそおじさん」としてゲームYouTuberでもある小籔が、その経緯をつづった。(取材・文=平辻哲也)

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 ゲーム本と思いきや、その中身は小籔の人生論でもあり、教育論的なエッセーでもある。お笑いタレントの著作と言えば、本人執筆のものは少なく、ライターによる聞き書きというケースがほとんどだが、同書は自らが書き下ろした。

「最初は聞き書きにしようと、1回やってみたんですが、ちゃうなと思ったんです。細かいニュアンスが多分伝わらんやろうなと思ったので、全部書かせてもらっていいですか、と。MacBookでパチパチ打っていましたが、途中からはスマホで。新幹線の中とか喫茶店で書いていましたね」と振り返る。

 テレビでは見ない週はない多忙な売れっ子タレント。2年間で4000時間もゲームをして、さらには初著書までこなす。4000時間と言えば、166日強に当たる。「年の何分の1かはゲームです。睡眠時間を削っていました。ゲームをやっていたのは配信している時だけなんですね」。

 祖父と母は本好きで、祖母は教育熱心だった。「親戚には阪大、神大が多くて、おばあちゃんには『お前も最低でも大阪府立大学は行け』って言うてたんですね。母親は行儀、大人に対する言葉遣いやあいさつには、うるさかったですかね。ただ、僕はそんなふうには育たなかったですけど。大きくなってからは遊び倒していましたし、本なんてほぼ読まなかったですし、本に対する恐れも持っていたんです。文章を書く人がえらいんだ、と思っていたので、まさか自分がこんな形で出すとは思ってなかったんです」。

大会を通して「もうちょっと何か考えなあかんなと思うようなきっかけにはなりましたね」とうなづいた【写真:ENCOUNT編集部】
大会を通して「もうちょっと何か考えなあかんなと思うようなきっかけにはなりましたね」とうなづいた【写真:ENCOUNT編集部】

きっかけは長男からの「フォートナイトをやってみない?」

 10代の頃はファミコン、ゲームボーイ、セガサターンなど主要なゲーム機で遊んでいたゲームっ子。しかし、結婚後はゲームから離れ、むしろゲーム反対派に。子どもにもゲームを買い与えることをかなりちゅうちょしていた。しかし、長男から「フォートナイトをやってみない?」と誘われたのを機にハマった。

 フォートナイトはオンラインのシューティングゲームで、複数のプレーヤーとチームを組んで、さまざまミッションをこなしていくというもの。マイクロソフトウインドウズ、Mac、Switch、iOS、アンドロイドなどさまざまなプラットフォームに対応し、世界中に3億5000万人以上のファンを獲得している。ゲームの世界では息子が師匠、自分はなかなかうまくならない中、新たな絆も生まれた。

「ゲームに反対していたのは、大人になっても、ゲームに費やす時間を、勉強時間か読書の時間に使っていたら、素晴らしい大人になってたんだろうと思ったから。うちの子供には同じ遺伝子を持っているわけですから、同じ鉄を踏んでほしくないという短絡的なものだったんです」

 それが2020年1月にYouTubeチャンネルを開設。素性を隠して、「フォートナイト下手くそおじさん」を名乗り、ゲーム生配信。最初は数人の知り合いだけが見ている弱小チャンネルだったが、周囲のバックアップと素性が明かされたこともあって、人気に。21年5月には親子がタッグを組んで競う「第1回親子大会」を開催し、話題を集めた。

「芸人がゲーム配信の世界にお邪魔するわけなんで、『あいつは本気でゲームやっとんだ』とか、親御さんが見に来ても『良かったな』と思ってもらえるにはどうしたらいいかと考えたんです。けど、あんなハートウォーミングな大会になるとは思ってなかった」と振り返る。

 親子大会ではゲームを知らない人も楽しめる。親子のやりとりがほほ笑ましく、時には感動的だ。「普段は、自分と家族だけ考えて、生きてるじゃないですか。大会を見ると、いろんな家族があんねんなとか、うちの家は……と思ったり、もうちょっと何か考えなあかんなと思うようなきっかけにはなりましたね。僕も、ゲームもやった意義、意味を見いだせたかなと思っていますね」。第3回大会も2023年1月に予選を行い、4月に本大会を行う。

□小籔千豊(こやぶ・かずとよ) 1973年9月11日生まれ。大阪出身。2006年から吉本新喜劇の座長に就任し、22年8月まで務める。バンド「ジェニーハイ」のドラマーとして参加。2004年放送のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』にレギュラー出演するなど俳優として多数の話題作に出演。ほか主な出演作に『FLY!~平凡なキセキ~』(12/監督:近藤真広)、TVドラマ『陸王』(17)、『テセウスの船』(20)、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(20~21)など。映画『ある男』が公開中。

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