小沢仁志、還暦を超えても「顔面凶器」健在 その下に隠れる心優しいアニキ肌

「顔面凶器」「Vシネマの帝王」の異名を持つ俳優・小沢仁志(60)が、“還暦記念映画”として放つのがアクション映画『BAD CITY』(1月20日より新宿ピカデリー他にて全国順次公開)だ。小沢がオリジナル脚本・製作総指揮も手掛け、企画段階から撮影のコーディネートまでこなした。アクション界のアニキのこだわりとは?

アクションへのこだわりを語った小沢仁志【写真:ENCOUNT編集部】
アクションへのこだわりを語った小沢仁志【写真:ENCOUNT編集部】

還暦記念映画のアクション映画『BAD CITY』が公開

「顔面凶器」「Vシネマの帝王」の異名を持つ俳優・小沢仁志(60)が、“還暦記念映画”として放つのがアクション映画『BAD CITY』(1月20日より新宿ピカデリー他にて全国順次公開)だ。小沢がオリジナル脚本・製作総指揮も手掛け、企画段階から撮影のコーディネートまでこなした。アクション界のアニキのこだわりとは?(取材・文=平辻哲也)

 怖い顔面を駆使して、映画やドラマだけでなく、バラエティーでも人間味を見せる小沢。昨年6月に還暦を迎えたが、そのバイタリティーは衰えていない。本作は韓国マフィア、巨大財閥が暗躍する架空の「犯罪都市」を舞台に、検察庁検事長によって編成された特捜班が、悪の壊滅に奔走する本格アクション。小沢は、ある事件で勾留中の元強行犯警部・虎田誠を演じた。

「還暦記念作って、ついているけど、最初はそんなこと言ってないんだよね。まあ還暦になるし、記念だし、基本に戻ったアクションをやりたいと言っていたの。そうしたら、いつの間にか、宣伝文句で『還暦記念作品』って(笑)。そのおかげで取材は入るんだけどさ(笑)。中には病院のフリーペーパーもあって、『入院している人たちが元気が出るように』って」と笑う。

 小沢と特捜班のチームを組むのはアクション女優の注目株・坂ノ上茜、小沢作品の常連、勝矢、アクション俳優の三元雅芸。ほかにも壇蜜、加藤雅也、かたせ梨乃、リリー・フランキー、山口祥行、本宮泰風、波岡一喜、TAK∴、小沢和義、中野英雄ら豪華出演者が結集。監督・アクション監督はデビュー作『HYDRA』(2019)が海外で評価され、『ベイビーわるきゅーれ』(アクション監督)がロングランヒットとなった園村健介が務めた。

“小沢アニキ”のすごいところは後輩思いのところだ。本宮泰風&山口祥行主演の人気シリーズ「日本統一」も、小沢発の企画だ。アクションが次世代の俳優につながるよう新たな舞台を用意してきた。

「何でもいいから出してくれ、というやつもいて、後から出演者が増えたんだよね。オレより下の世代に出てもらったのは、アクションを頑張っているけど、メジャーになりきれていない、という思いがあったから。一緒にやろうぜって。表に出て、認めもらったら、いいじゃないかなってね。坂ノ上も頑張ってくれた。スタントマンを使わず、役者がずっとアクションをやっているから、戦っている人間の息づかいを感じることができる。その息遣いがあるから、見ている人が息をのんでくれるんだと思うんだ」と話す。

 映画の見どころは、100人以上にのぼる敵を相手にしたCGなし、スタントなしのガチンコアクション。撮影に当たってはトレーニングも重ねた。

「今回の映画では、人を殴るシーンがいっぱいあるから、殴るトレーニングはやったね。もう何十年も、人なんか殴っていないし、今の時代、けんかしたら一発で仕事なくなっちゃう。人型サンドバックを叩くと、やっぱりパンチ力はついてくる。映画を見ても、本当に普段から殴っているのか、いないのかは後ろ姿で分かっちゃうもんなんだよね。体を使ったアクションは一通りやったけど、今回はすごい疲れたね」

 本作では企画段階から深く関与した。脚本から製作総指揮といったメインの製作から、細かくは現場でのコーディネートまで。その守備範囲は幅広い。

「自分で脚本を書くときは、“こんなのありなんだ”みたいなアクションにしたいと思っている。海を渡ったときに勝負ができるようにというのはあるよね。日本がいくら頑張ってスケールを広げても、戦闘機を役者に操縦させている国(アメリカ)に勝てるわけないし、韓国だってすごいのを作っているよね。だから、オレは、スタントを使わないアクションチームを作って、勝負した方がいいと思っている。今はコンプライアンスや安全にも気を遣わないといけない。そういう意味では大変だよ」と少々ボヤキも。生身の俳優がライブで躍動するのが、小沢アクションの魅力となっている。

□小沢仁志(おざわ・ひとし)1962年6月19日、東京都出身。1984年、TBSドラマ『スクール☆ウォーズ』で本格的に俳優デビュー。以後、『SCORE』『太陽が弾ける日』など、多くの映画やドラマで強面の個性を発揮。スタントマンをほとんど使わないアクション俳優としても知られている。「顔面凶器」「Vシネマの帝王」などの異名を持ち、その出で立ちから数々の悪役を好演。OZAWA名義で監督や企画、脚本も担当。

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