直木賞・千早茜氏は3回目の候補入りで悲願 「ネガティブなので…」喜びの一方で悩みも

第168回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が19日発表され、直木賞を受賞した千早茜氏が都内のホテルで記者会見に出席した。受賞作は『しろがねの葉』(新潮社)。3回目の候補入りで、直木賞は小川哲氏の『地図と拳』(集英社)とのダブル受賞となった。

直木賞を受賞した千早茜氏【写真:ENCOUNT編集部】
直木賞を受賞した千早茜氏【写真:ENCOUNT編集部】

銀色の靴に黒のワンピースという受賞作の主人公をイメージしたコーディネートで登壇

 第168回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が19日発表され、直木賞を受賞した千早茜氏が都内のホテルで記者会見に出席した。受賞作は『しろがねの葉』(新潮社)。3回目の候補入りで、直木賞は小川哲氏の『地図と拳』(集英社)とのダブル受賞となった。

 千早氏は1979年生まれ。08年に『魚神(いおがみ)』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で第37回泉鏡花文学賞、13年に『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、20年に「透明な夜の香り」で第6回渡辺淳一文学賞を受賞した。

 版元の新潮社が運営する古民家カフェで十六茶を飲みながら受賞の瞬間を迎えたという千早氏。銀色の靴に黒のワンピースという受賞作の主人公をイメージしたコーディネートで登壇すると「全然取れると思ってなかったので、呆然としています」と受賞の感想を語った。

 選考委員の宮部みゆき氏から「土と血の匂いがする」と評された独特の文体については、「小説は紙に書かれたただの文字だけど、そこから匂いとか肌ざわりとかが立ち上ってくるようなものを書けるよう心がけています」。今作では1人の主人公を生涯を通して書き、「1人の主人公に長い時間寄り添ったことで、生まれてから死ぬまで、人間ってすごく変化するんだな、年齢とともに変わっていく姿を自然に描けたと思う」と振り返った。

「ネガティブなので、いいことがあるとそのぶん悪いことがあるんじゃないかと怯えている。でも、今日ぐらいは安心して寝ようかと思います」と受賞の喜びを語った。

 正賞は時計、副賞は賞金100万円。贈呈式は2月下旬に都内で行われる。

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