【どうする家康】杉野遥亮、初大河で時代劇への苦手意識が激変「え、待って、面白い」

松本潤が主演を務め、徳川家康を演じるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)。死ぬか生きるかの大ピンチをいくつも乗り越えていく家康を描く波乱万丈のエンターテインメント。その第2回が15日に放送され、俳優・杉野遥亮が徳川家臣団の一人で文武に優れた武将・榊原康政役で出演した。杉野は大河ドラマ初出演。第2回では登譽上人役の里見浩太朗との芝居が中心だった。杉野が里見と共演した感想や時代劇への思いをコメントした。

榊原康政を演じる杉野遥亮【写真:(C)NHK】
榊原康政を演じる杉野遥亮【写真:(C)NHK】

徳川家臣団の一人で文武に優れた武将・榊原康政役

 松本潤が主演を務め、徳川家康を演じるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)。死ぬか生きるかの大ピンチをいくつも乗り越えていく家康を描く波乱万丈のエンターテインメント。その第2回が15日に放送され、俳優・杉野遥亮が徳川家臣団の一人で文武に優れた武将・榊原康政役で出演した。杉野は大河ドラマ初出演。第2回では登譽上人役の里見浩太朗との芝居が中心だった。杉野が里見と共演した感想や時代劇への思いをコメントした。

 初の大河ドラマは登譽上人役の里見浩太朗との芝居が中心だった。共演した感想は。

「この言葉が適切か分かりませんが『完璧な方だな』と思いました。すごい、かっこいいな、すてきだなと。僕がすてきだなと思う俳優さんは、みんなご自身のことに集中しているんです。里見さんも、この日ほぼ初収録だったのに、すごく役を作りこまれていて『プロだなあ』と。このころ、僕はどうやって役を作っていけばいいのかすごく迷っていた時期だったので、今となってはすごくもったいないことしたなと。もう一回どこかで共演させていただけるチャンスがないかなあと思っています」

 里見とはどんな話をしたのか。

「『時代劇はね、ゆっくりしゃべるんだよ』って言っていただきました。でも、本質が分かっていないから、そのときはすぐにそうすることができなかったんです。あのシーンは、小平太が14歳のときだから、早口のほうが子どもっぽくていいかな、とも思うんですけれど。もっと後になって、それこそ、四天王になったとき『このことだったのか』と思い出すかもしれません」

 元康が自害しようとするところに、小平太がひょうひょうと出てきて「厭離穢土欣求浄土」の教えを伝えるシーンがあった。

「史実と異なるので意外でした! 史実では、上人様(登譽上人)が『厭離穢土欣求浄土』という言葉を家康に教えたと言われていますが、今回は、小平太にそういう役割を与えていただいて。やっているときはあまり深く考えていなかったのですが、あとあとになって、これは大きなことだったと思いました。後に、家康が旗印に掲げる言葉ですから。もちろん古沢さんの創作ですけれど、意外と、そういう大事なところを持っていく人だと思っています(笑)」

 緊迫したシーンに一人介入していく場面も。演じていてどうだったのか。

「緊張しました。もともと、このシーンを一連で撮るとは思っていなかったんです。だから現場に来て『まさかの一連!?』って思いながら、障子の裏で、ずっと殿と平八郎の会話を聞いていました。途中で足、つるかと思いました(笑)。ただ、一連で撮ったからこそ、あの緊迫した場面に飛び込んでいく小平太のリアルな気持ちを感じられたかもしれません。でも、あの状況で突っ込んでいけるのが小平太というか、家臣団の中で、いちばんひょうひょうとしているのが小平太かなと。僕自身は、『いいな、小平太』って思っています」

 演じる際に、どう役にアプローチしているのか。

「うーん、難しい質問ですね……考えるだけ、かもしれません。『このセリフ、どういう気持ちで言うのかな』と考え続ける感じです。その気持ちを、本番で出せればいいなと思っています。一般的に“役作り”と呼ばれるものは、あまりしません。あえて言葉にするなら『その人を知る』というのが近いかもしれません。いかに繊細なところまで、演じる役の感情を掘り下げられるか。その人の言葉や行動の一つ一つを、人間として立体的に表現していけるかと考えると、結局『想像する』とか『その人を知る』ということでしかないのかなと、僕は思っています。時代劇だと、所作や馬の稽古は当たり前にやることであって、“役作り”とはちょっと違う気がしています」

「その人を知る」ために、よりどころにしているのはセリフなのか。

「セリフは大きいです。あとは日々の生活。あくまで“僕は”ですけれど、できるだけちゃんと生活したいんです。日常生活でうそをついちゃうと、うそをつくのに慣れて、感情が動かなくなっていく気がするんです。簡単に、逃げ道を作れてしまうというか。それが嫌だから、自分にも相手にも、うそをつかないようにしています。そうすると、ぶつかることも、傷つくことも多いけれど、そのときの感情をストックしていく中で、知らない感情と出会えることもあるんです。そういうとき、むしろ『生きているな』って思います」

 芝居のためだけではないかもしれないが、プライベートでもうそをつかないようにすることが、役者としての糧にもなっているということか。

「そうですし、それは相手への礼儀でもあるのかなと思っています。相手にとって、気持ちいいことだけを言うのって、結局は自分のためでしかないと思うんですそれは価値観の話なので、役のためにやっているわけではないんですけれど。結果的にそれが芝居に生きているのかもしれない、というくらいで、実際は、うそは自分の気分が下がるし、暗くなっていくから嫌なんです。それだけかもしれません」

 大河への出演で新しい発見はあっただろうか。

「大河ドラマを経験してみて、別の時代劇にも出てみたいなって思いました。もともとは時代劇に苦手意識があったんですけれど『どうする家康』をやってみて、『え、待って、面白い』『なるほど、こういうふうにやっていけばいいのか』と感じる場面が多くて。今や『ここで培ったものを、どこかアウトプットできる場がほしいな』と思ったりしていますね。……でも、時代劇って背負うものが重いから、やっぱり撮影期間は短いものがいいですね(笑)」

 最後は視聴者にメッセージ。

「人が何に触れたとき、どう心が動くのか。どういったことに心を奪われるのか? といったことが、この大河ドラマを通して伝わっていけばいいなと思うし、伝わると思っています。あとは、榊原康政という人をたくさんの人に知ってほしいっていう気持ちが強いです。僕自身、康政のことをあまり知らなかったですから。これまで、徳川四天王の中で康政がちゃんと描かれることって、あまりなかったと感じているんです。でも、演じていて、それは古沢さんの脚本だからかもしれないけれど、いいなあって思うんです、康政。すごく人間らしいな、生きているな、と。康政をもっとたくさんの方に知ってもらうためにも、僕が頑張らないと! と思っています」

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