渡辺大、キャリア21年で2本目の舞台への思い 初舞台で感じた一体感「帰りまで共有できている」
俳優の渡辺大が、舞台「マヌエラ」(1月15日開幕、東京建物 Brillia HALL、演出・千葉哲也)で主演・珠城りょうの相手役を務める。21年に宮本武蔵を演じた「魔界転生」に続く2作目となる渡辺にとって、舞台とは何か?
珠城りょうの主演の「マヌエラ」で2本目の舞台「たまたまご縁がなかっただけ」
俳優の渡辺大が、舞台「マヌエラ」(1月15日開幕、東京建物 Brillia HALL、演出・千葉哲也)で主演・珠城りょうの相手役を務める。21年に宮本武蔵を演じた「魔界転生」に続く2作目となる渡辺にとって、舞台とは何か?(取材・文=平辻哲也)
同舞台は第二次世界大戦直前、「上海の薔薇」と呼ばれた実在の日本人ダンサー、マヌエラの愛と激動の半生を音楽、ダンス、芝居で描くもの。 「金曜日の妻たちへ」「男女7人夏物語」などの人気脚本家、鎌田敏夫が手掛け、99年に天海祐希主演で上演されたものをDANCE ACTとして再構築。珠城が宝塚歌劇団退団後、初めて舞台主演する。
渡辺が演じるのは、戦争の火種がくすぶる上海に赴任してきた和田海軍中尉。マヌエラとは惹かれ合いつつも、反発し合うという微妙な関係を演じていく。21年のキャリアで舞台は2本目だが、避けていたわけではないという。
「僕自身はテレビと映画しかやらないわけじゃないんです。舞台もご縁があればと思っていました。実は立ち消えになったものも結構あって、なかなかご縁がなかっただけなんです」と明かす。
初舞台「魔界転生」(21年、明治座)は政府の緊急事態宣言の延長を受け、10日以上休演になるなど異例尽くし。それでも収穫は大きかった。
「上演時間が3時間半あったんですが、台本を持たないでけいこをやるという異例のスタートだったんです。同じ作品でも1度会わないで終わる人もいますが、舞台では頭からお尻までずっとみんなで一緒にいます。だから、3、4か月一緒にやったという思いがあって、うれしかったですね。カーテンコールもたまらないものがありましたし、帰りは共演のみなさんと電車で一緒に帰ったこともありました。お客さんにとっても、舞台は一日がかりのイベントで、帰りまで共有できている感じがありましたね」と振り返る。
「マヌエラ」の主演の珠城は同じ事務所の後輩だが、初共演となる。
「たまちゃんがトップになる前から宝塚の公演を見てきたので、不思議な感じです。たまたま同じ事務所になって、まさか相手役で一緒になるとは思わなかった。初めてなんですけど、初めてという感じはしないので、少し気は楽です。一応、冗談で『僕が先輩なんで……』とか言ったりしますが、そういうことは感じてない。いいリレーションシップを築けているかな」と手応えを感じている。
軍人役はこれまで数々演じてきたこともあり、気負いもない。
「いろんな作品で軍にはお世話になっていますね。ただ、今回は軍服を脱いで、彼女に魅了されていくという話なので、その微妙なポジションが面白いかな。ダンスシーンがありますが、子どもの頃に少しジャズダンスを習っていたぐらい。彼女とリズムに合わせて、美しさを見せないといけないなと思っています」。
マヌエラとのセリフの掛け合いも見どころ。「セリフを覚えるのはものすごく時間かかりますね。近所を歩きながら、覚えていくんです。それをやらないと覚えられないんです。怖いですよ」と笑い。
東京公演の後は、大阪・森ノ宮ピロティホール(1月28、29日)、福岡・北九州芸術劇場 大ホール(同31日)と続く。「最近はロケも行っていないので、楽しみですね。地方でもお客様が見てくださるのはうれしいですね」と笑顔を見せる。
昨年はBS 松竹東急の「シネコンへ行こう!」で連続ドラマ初主演も果たし、充実した1年になった。「連ドラを主演でやらせてもらい、大変さと楽しさを経験しました。責任のある仕事が増えてきたから、今年も、この舞台で良いスタートを切って駆け抜けたいと思っています」と言葉に力を込めた。
□渡辺大(わたなべ・だい)1984年8月1日、東京都出身。2002年、テレビ東京系ドラマ「壬生義士伝 新撰組でいちばん強かった男」で俳優デビュー。22年BS 松竹東急の「シネコンへ行こう!」で連続ドラマ初主演を果たした。近年の主な出演作は「るろうに剣心 京都大火編」(14)、「クロスロード」(15)、「散り椿」(18)、「ウスケボーイズ」(18)、「ある町の高い煙突」(19)、「時の行路」(20)、「日本独立」(20)「峠 最後のサムライ」(22)。