25歳のダンサーMiyuが体現する「不可能を可能に」 前澤友作氏“月プロジェクト”唯一の日本人

実業家の前澤友作氏が計画する月周回プロジェクト「dearMoon」のバックアップクルーに日本人として唯一選ばれたダンサーがいる。「不可能を可能に」をモットーにダンサーの枠を超えて挑戦を続ける25歳のMiyuだ。月周回にチャレンジしようと思ったきっかけは「多くの人に夢を届けたい」という思いからだった。

dearMoonのバックアップクルーに選ばれたMiyu【写真:舛元清香】
dearMoonのバックアップクルーに選ばれたMiyu【写真:舛元清香】

「不可能を可能に」を体現するMiyuの信念

 実業家の前澤友作氏が計画する月周回プロジェクト「dearMoon」のバックアップクルーに日本人として唯一選ばれたダンサーがいる。「不可能を可能に」をモットーにダンサーの枠を超えて挑戦を続ける25歳のMiyuだ。月周回にチャレンジしようと思ったきっかけは「多くの人に夢を届けたい」という思いからだった。(取材・文=中村彰洋)

「1番最初の応募理由はウェブで無料で誰でも応募できるというのを見て、興味本位でした。それと同時に本当に大きなプロジェクトなので、今よりも多くの人にダンスを見てもらえるし、見てくれる人たちをもっと笑顔にできるんじゃないかなと可能性をとても感じました」

 この一大プロジェクトには、世界中から約100万人の応募があった。クルーには韓国の人気グループ・BIGBANGのTOPやDJとして世界で活躍するスティーブ・アオキといったそうそうたる8人が並ぶ。さらに、8人のうち誰かが行けなくなったときに搭乗するメンバーとして2人のバックアップクルーも選ばれ、そこにMiyuは名を連ねた。

「驚きとうれしさでいっぱいでした。バックアップクルーと聞いて、正直少しだけ悔しい思いもありましたが、ここに日本人として選ばれていることが本当に光栄でした。誰しもが体験できるわけではないので、そんな経験ができることが本当にうれしくて、ワクワクしました」

 ウェブ審査やグループワークなど数々の選考を経て、選ばれたMiyuだが、選考が進んでいく中で「もしかしたら」と思う瞬間があった。「一緒に応募していた子たちがみんな落ちてしまったんです。なんでか自分だけ残っているというタイミングがあって、『ひょっとしたら残れるんじゃないかな?』と思い始めました」と笑う。

 選考はすべて英語で行われた。バックアップクルー選出の喜びを語る映像が発表と同時に同プロジェクト公式サイトで公開されたが、流暢(りゅうちょう)に英語を使いこなすMiyuの姿も見ることができる。「家でコソコソと頑張っていました。未完成なものをあまり世に出したくなくて、しゃべれる状態で出たかったんです。なので、昔から私を知っている人たちは私が英語をまったくしゃべれないことを知っているので驚いたんじゃないかなと思います」。選考のためにひたすらに努力を重ね、独学で学んで習得したものだった。

「不可能を可能に」をモットーに掲げている【写真:舛元清香】
「不可能を可能に」をモットーに掲げている【写真:舛元清香】

 選考の中でアピールした点は「目標達成力」。「全世界から100万人以上の応募があったと知り、その中で自分が負けないことってなんだろうと考えました。ポジティブだったり、目標を掲げたら努力して必ず達成することができるという性格。『これは誰にも負けない』という自信がありました」。

 英語でのアピールには「もっとこう言えたのに」と思うこともあったが、そこは持ち前の努力で乗り越えた。「準備をしていたから乗り切ることができました。私は緊張しない性格なのですが、ダンスでも面接でも、何をするにしても、準備することを大切にしています。準備することで、想定内のことしか起こらなくなるので、緊張する必要がなくなるんです。ダンスはまずは自分が楽しまないといけない。楽しむためには、緊張を排除しないといけない。排除するためには準備やイメージが必要なんです」。

 クルーの募集は2021年3月に始まり、1年9か月後の22年12月9日に発表された。実はバックアップクルーに決まったのは約1年前。発表まで、秘密を貫いてきたが、唯一報告することができた相手が両親だった。

「報告したら笑ってました。想像つかないことだし、今も想像ついてないことが多いと思います。私には心配している素振りとかはあまり見せないですが、実際は心配していると思います。でも、『誰もが経験できることじゃないから頑張って』と言ってくれました」

 宇宙空間を経験することで、1人のアーティストとしての表現の幅を広げることを期待している。「ほとんどの人が経験することができないような体験をさせてもらって、新しい感情を抱いたとき、自分自身の体でそれを表現して作品に残すことができればと思っています。その作品で皆さんになにか影響を与えたり、笑顔になるきっかけになればと思っています」。

 Miyuはモットーとして「不可能を可能に」を掲げている。月周回の挑戦もまさにその言葉を体現することとなる。

「自分自身、誰もやったことがないことやみんなが『無理』と言うようなことに挑戦して、それを達成したいです。そんな自分の行動やその経験が反映されたダンスを見て、もっと多くの人に夢を届けたいです」

次のページへ (2/2) 【動画】Miyuが披露したダンス
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