「落とし物情報を拡散しないで」 現役駅員の投稿が話題 親切心が裏目に、悪用のリスクも
「拾得した遺失物をSNS等に載せて拡散しないで下さい」。現役の駅員による、落とし物を拾った際のマナーに関する投稿がネット上で話題を呼んでいる。持ち主のもとに情報が届けばという親切心から、ついやってしまいがちな落とし物情報の拡散だが、何が問題なのか。投稿者で現役駅員のTiさんに話を聞いた。
持ち主に届けばという親切心から、ついやってしまいがちな落とし物情報の拡散
「拾得した遺失物をSNS等に載せて拡散しないで下さい」。現役の駅員による、落とし物を拾った際のマナーに関する投稿がネット上で話題を呼んでいる。持ち主のもとに情報が届けばという親切心から、ついやってしまいがちな落とし物情報の拡散だが、何が問題なのか。投稿者で現役駅員のTiさんに話を聞いた。
「某会社で駅員してますが…
拾得した遺失物をSNS等に載せて拡散しないで下さい。
載せるにしても細かい情報まで載せないで下さい。
写真なんて以ての外です!
拾った本人は親切心でしていると思いますが、本当にやめて下さい。
これで何が起こるのか…
直ぐに想像出来ると思います」
今月7日にされた投稿には1.8万件のいいねとリツイート、231.5万件の閲覧数が記録されるなど、大きな反響を呼んでいる。
続く投稿では「特徴・写真等を載せてしまうと、細かい情報まで見えてしまうんです! 免許証とか写真のある物が入った遺失物なら本人じゃ無いなとか判断出来ますが、無ければ判断する方法は、細かい特徴等を聞いて合致してるかどうかで遺失者に引き渡すしか無いのです」、「細かい情報を書かれてしまうと、それを見た悪意を持った人間が、自分の物で無いのに引取りに来て、特徴等もSNSで知ってしまっているので、こちらとしても本人の物と判断をせざるを得ません。本人確認の公的証明書で名前・住所を確認して渡すので、引渡し相手の確認はしますが…遺失物の誤渡しは、本来の落とし主に多大な迷惑をかける事になるので、絶対にあってはならない事です」と遺失物の情報を拡散してはいけない理由を説明している。
投稿者のTiさんは「ツイッターなど、不特定多数のユーザーが閲覧出来る環境で、拾得された遺失物を写真付きや細かな部分まで記載しているツイートを見て、ずっと危ないな……と感じておりました」と投稿の意図を説明。「渡す側からすると、物品の特徴等を聞き、落とし主にしか分からない様な事柄も聞きますが、写真や詳細を拡散してしまうと、落とし主しか分からない部分も露呈してしまうため、仮に悪意を持った人間が引き取りに来ても、確認したポイントが合致してしまえば、落とし主と判断して渡してしまいますので、後から本来の落とし主が来駅された場合、重大なトラブルに発展してしまいます」とあらためて駅員目線から情報拡散のリスクを指摘する。
投稿の反響については「自身が想定していたよりもたくさんの反響があり、困惑している……と言うのが正直なところです。かなりの数のリツイートやいいねをいただき、注意喚起がたくさんの方々に伝わって良かったと思います」とTiさん。遺失物拾得の際のマナー啓発が一人でも多くの人に周知されることを願うばかりだ。