議論呼ぶ『紅白』のあり方 韓国紙記者は驚き「韓国なら視聴率10%にも及ばない」

昨年大みそか放送の『第73回NHK紅白歌合戦』の第2部(午後9時~)の平均世帯視聴率(関東地区)が35.3%と歴代ワースト2位、第1部(同7時20分~)は31.2%と前回から0.3ポイントダウンしたことで、各メディアは今後の紅白のあり方について続々と問題を提起した。その中には「出演者が20代以下に寄りすぎ」、「若者を重視するなりふり構わぬテコ入れ策」、「氷河期世代はついていけない」、「紅白離れが進行している」などといった批判的な声も多数上がっている。今回の紅白にはIVE(アイヴ)、LE SSERAFIM(ルセラフィム)、TWICEのほか韓国の芸能事務所所属のNiziU、JO1(ジェイオーワン、日韓共同運営)を含め計5組のK-POP系グループが出場したことも議論を呼んだが、韓国ではどのように受け取られているのだろうか。

NHK放送センター【写真:ENCOUNT編集部】
NHK放送センター【写真:ENCOUNT編集部】

韓国の大みそか 若者は年末歌謡特番、中高年は演歌番組

 昨年大みそか放送の『第73回NHK紅白歌合戦』の第2部(午後9時~)の平均世帯視聴率(関東地区)が35.3%と歴代ワースト2位、第1部(同7時20分~)は31.2%と前回から0.3ポイントダウンしたことで、各メディアは今後の紅白のあり方について続々と問題を提起した。その中には「出演者が20代以下に寄りすぎ」、「若者を重視するなりふり構わぬテコ入れ策」、「氷河期世代はついていけない」、「紅白離れが進行している」などといった批判的な声も多数上がっている。今回の紅白にはIVE(アイヴ)、LE SSERAFIM(ルセラフィム)、TWICEのほか韓国の芸能事務所所属のNiziU、JO1(ジェイオーワン、日韓共同運営)を含め計5組のK-POP系グループが出場したことも議論を呼んだが、韓国ではどのように受け取られているのだろうか。

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 韓国の大手紙・京郷新聞の元東京特派員でBS-TBS『外国人記者は見た!日本inザ・ワールド』にレギュラー出演していた現全国社会部の尹熙一(ユン・ヒイル)記者は、毎年12月になると日本のNHK紅白歌合戦と韓国キー局の年末音楽特番を比較していたという。

「今回のNHK紅白について『中高年の切り捨て』といった声が上がっているようですが、韓国では50代以上の中高年層がKBS、MBC、SBSの年末歌謡特番を見ることはそれほど多くないと思います。それらの歌謡特番の出演者はほとんどがIVEやLE SSERAFIMのように20代以下だからです。中高年層はコロナパンデミック以降、トロット(日本で言う演歌のような歌)番組をたくさん視聴しています。テレビ朝鮮が『ミストロット』と『ミスタートロット』という番組を大ヒットさせたため、中高年層の“トロット愛”がさらに深まっています。韓国の大みそかの地上波視聴率1位はKBS2の週末ドラマ『三きょうだいが勇敢に』の23.0%(※ニールセンコリア、首都圏世帯基準)でした。音楽番組では昼放送のKBS1『全国歌自慢』、MBC『覆面歌王』や複数のトロット番組の再放送が4~5%ほど。決して高くはない数字ですが、多くの中高年層を楽しませました」

 韓国の歌謡番組は世代に合わせて二極分化が進んでいるようだ。では、紅白についてはどのような感想なのか。尹記者は「音楽、ダンス、伝統芸能、コメディー、スポーツなどすべてを混ぜ合わせたうえで男女が対決する紅白のような番組は韓国にはまったくありません。すべてを取り込むというのは番組のターゲットが全国民であるということ。このような戦略は伝統を愛し、70年以上も前から紅白を受け入れてきた日本だからこそ可能な番組です」と分析したうえで、「すべての国民が共にする年末番組を公共放送であるNHKが作って放送することには意味があると思います。年末に国民が同じ番組を見ながら同じ思いを共有できるようにするという点で公共放送の役割に忠実だと考えます」と紅白の“意義”を語った。

 確かに紅白は音楽、ダンス、伝統芸能、コメディー、スポーツなどあらゆるジャンルを取り込んだある意味、特殊な番組と言えるかもしれない。ただ、世代によってエンターテインメントに対する趣向が大きく分かれている昨今、全国民あらゆる層を満足させる番組作りは年々難しくなっている。尹記者がこう続ける。

「伝統よりも新しさを追求する韓国では数十年間同じパターンの番組は好まれません。おそらく韓国で紅白歌合戦のような番組を放送したら、視聴率は10%にも及ばないと思います。ですから、22年大みそかの紅白の視聴率が35.3%というのは驚くべき数字ですし、テレビを見ないデジタル世代が台頭する中、これは立派な成績だと思います。しかし、今後はさすがに厳しくなっていくのではないでしょうか。韓国がいま経験しているように、若者世代は歌謡特番、中高年世代は演歌や80~90年代バンド中心の音楽番組、というように番組を別々に制作した方が視聴者のニーズに合っているのかもしれません。今回の紅白が若者視聴者を意識したものだとすれば、紅白が若者を主なターゲットにした歌謡番組に衣替えする日は意外に早く来るかもしれません」

 実際、今回の紅白関連の論評の中には「NHKは紅白の方向性を若者向けに変えようとしている」といった見方もある。中高年世代のウケを狙ったスポーツ、コント、応援タレントのトークなどに時間を割くのではなく、その分、出場歌手の歌唱時間を増やしたり、歌手の個性や才能を活用したスペシャルなステージで視聴者を引き付けたりする工夫があってもよいのではないだろうか。そうすれば歌手もプロフェッショナルな土俵で勝負ができるし、パフォーマンスにも磨きがかかるはずだ。日本のエンタメ水準を向上させるためには歌謡番組自身も変化していく必要がありそうだ。

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