元世界1位・大沢宏晋が涙の引退試合 37歳の介護士ボクサー「嫁にはつらい思いばかりさせた。感謝しかない」
元OPBF東洋太平洋フェザー級王者・大沢宏晋(37=オール)が引退試合を見事に飾った。樋口和樹(ARITOMI)から3度のダウンを奪い、3-0の判定勝ち。試合後に行われた引退式では感極まり涙した。
第5試合
ボクシング興行「3150FIGHT vol.4」(2023年1月6日・エディオンアリーナ大阪第一競技場)第5試合スーパーライト級5回戦
元OPBF東洋太平洋フェザー級王者・大沢宏晋(37=オール)が引退試合を見事に飾った。樋口和樹(ARITOMI)から3度のダウンを奪い、3-0の判定勝ち。試合後に行われた引退式では感極まり涙した。
現役最後の試合でも、元世界1位の実力を見せつけた。1R、攻められながらも左のショートフックでダウンさせると、2Rにはさらに2度ダウンを奪った。途中はガードを下げて、マタドールのような素振りで相手のパンチを誘う場面も。被弾もしたが、リングとの別れを惜しむかのように5R、計15分間、リングで戦い続けた。
最後は足を止めて打ち合い、そして崩れ落ち涙する樋口を抱き抱え、言葉を交わした。3人のジャッジが49-43をつける判定勝ち。レフェリーから手を挙げられると、観衆からは拍手が降り注いだ。
リング上での引退式では、亀田興毅ファウンダーから労いの花束が贈られた。マイクを握ると、「この1年、2年でなかなか世界挑戦のチャンスがない中で、昨年の8月に勝負させてもらった。この最後のリングにも立たせてもらった……」と口にするとこみ上げてきた涙を抑えきれなかった。
そして「この10年、嫁さんにも大変な思いさせて、辛い思いさせてしまって、本当に感謝しかない。何一つ文句も言わずに背中を押してくれた嫁さんに感謝です。慕ってくれた後輩ボクサーにもありがとうと言いたい。これからは後輩たちのバックアップとか、背中を押してあげたい。亀田ファウンダー、わがまま聞いてくださりありがとうございました。最後に常に応援してくれているスポンサーやいろんな方々が支えてくれました。一ボクサーとしての人生は終わりますが、これからもたくさんの叱咤激励よろしくお願いします」と締めくくった。
最後に引退の10カウントゴングが鳴らされた。
大沢は2004年4月デビュー。東洋太平洋フェザー級王座を3度防衛。2016年にWBO世界フェザー級王者オスカル・バルデス(メキシコ)に挑戦。敗れたが、ラスベガスでの世界戦が話題を呼んだ。また介護士としても勤務し、ファイトマネーを全額寄付し続けていることでも知られている。48戦38勝(21KO)6敗4分。