ローンにまさかの円安&ガソリン高騰で痛手 制作費アップでも“愛車紹介”同人誌を続ける28歳の心境
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみの名車「デロリアン」に魅せられ、20代でオーナーになった男性会社員には、もう一つの“顔”がある。デロリアンを紹介する同人誌を手がける熱血ファンなのだ。年末に行われた世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット101」にも出展。愛車の7年ローンを1日1食の節約生活で乗り切り、“二刀流”でデロリアンの魅力を発信している。
「コミックマーケット101」に今回も参加 愛車は1981年式・中期型の「DMC-12」
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみの名車「デロリアン」に魅せられ、20代でオーナーになった男性会社員には、もう一つの“顔”がある。デロリアンを紹介する同人誌を手がける熱血ファンなのだ。年末に行われた世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット101」にも出展。愛車の7年ローンを1日1食の節約生活で乗り切り、“二刀流”でデロリアンの魅力を発信している。(取材・文=吉原知也)
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2022年12月31日、東京ビッグサイトで開催されたコミケ。活気あふれる会場で、オリジナルの同人誌をアピールしていたのは、ハオくん(28)だ。2019年12月に第1弾を制作。今回は第4弾を引っ提げて冬コミケに参加した。取材をしている横で、パート1~4のすべてを買っていく購入客の姿もあった。
ハオくんが19年に手に入れたのは、1981年式・中期型の「DMC-12」。自慢の愛車だ。
今回の最新の同人誌では、映画3部作の劇中仕様と、実際のデロリアン車体の「違い」を徹底検証。速度計やクラクションなど、細かなところまで、オーナーでなければ分からないポイントを解説している。「どう違うのかを調べるために、イチから映画を見直しました。ほぼ徹夜で2、3日かけて検証しました」。写真と文章でデロリアンの良さをたっぷり紹介する同人誌は毎回売り切れ状態で、今回も入魂の一作を届けた。
会場では「どういう車なんですか?」などと声をかけられるといい、「デロリアンは若い方からベテランの方まで幅広く知られていて、認知度の高さを改めて感じます。多くの方々に興味を持ってもらっています」と実感を込める。世界的なアメ車の旧車オーナーとして、「とにかく走らせること。僕は旧車を観賞用として置いておくのではなく、走らせることが大事だと思っているんです」という信念を持って大事に乗り続けている。
実は車は2台持ち。21歳で初めて買ったマツダ・アクセラに現在も乗り続けている。一方で、デロリアンは7年ローン。充実のカーライフの裏で、涙ぐましい節約生活を送っているのだ。
もともと朝食はあまり食べず、昼ご飯抜きで、夕食だけの“ほぼ1食生活”。アニメオタクでもあるが、グッズやブルーレイDVDの支出を泣く泣くカット。大好きな趣味を犠牲にする日々だ。デロリアンは故障リスクをなくすために常にガソリン満タンにしているが、アクセラは貧乏ランプ状態。ガソリン高騰化は悩みのタネだ。
さらに、2022年の日本の経済トピックになった歴史的な円安。希少な外国車だけに、パーツなどは輸入に頼らざるを得ない。円安の影響で値が張っており、「タイヤやエンジンオイルの消耗品が高くなっているんです。輸入品なので、シビアに反映されています」。それに、「同人誌の印刷についても、今年からは制作コストがアップする予定であることを聞きました。紙代などの値段が上がるようです。ちょっと厳しくなりますね」。痛手になることは間違いない。
それでも、悲壮感はない。小学生の時にテレビで見た本作と衝撃の出合いを果たし、子どもの頃の夢を実現させた愛車。下を向くことなく、明るく楽しく、カーライフと同人誌制作を続けていくつもりだ。
「コミケは利益じゃない。こうして楽しさを共有して、多くの人に伝えられる場所なんです。自分自身、もっともっと楽しんでいきたいです」。次はどんなテーマでコミケに登場するのか。早くも、2023年の“最新作”が待ち遠しい。