ブレーキとアクセルの踏み間違え事故 高齢ドライバーが考察するオートマ車の“落とし穴”

高齢者による自動車のブレーキとアクセルの踏み間違えで、事故につながる例が後を絶たない。そのたびに起こるのが世論の免許返納論だが、マニュアルの高齢ドライバーに聞くと、「間違えて突っ込んだっていうのはみんなオートマ車」との声が聞こえてくる。いったい、どういうことなのか。

MT車のペダルは3種類(写真はイメージ)【写真:写真AC】
MT車のペダルは3種類(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「よくコンビニに突っ込んだとかあるでしょ。全部オートマ」

 高齢者による自動車のブレーキとアクセルの踏み間違えで、事故につながる例が後を絶たない。そのたびに起こるのが世論の免許返納論だが、マニュアルの高齢ドライバーに聞くと、「間違えて突っ込んだっていうのはみんなオートマ車」との声が聞こえてくる。いったい、どういうことなのか。

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 マニュアル(MT)とオートマチック(AT)の両方の車を持つ70代男性は、「バックと間違ったり、ブレーキとアクセルを間違えて突っ込んだっていうのはみんなオートマ車。マニュアルに乗っている人はそういうことはない。危ないからすぐクラッチ踏むもんね。みんなそうだよね」と断言する。

 同世代はみなMT車で育った。しかし、踏み間違え事故を起こすのも同世代を含む高齢者が多い。

 この理由については次のように考察している。

「昔からマニュアルしかなかったから、それを急にオートマと言っても乗れないよ。うちのおやじが85のときに、おやじは『これからはオートマだから』って言うから、俺のオートマに乗せたらとってもじゃない。危なくて乗せられない。『ダメだ、やっぱりマニュアル車だわ』って。だって昔乗ったことない人が乗るんだもん。絶対そう。今、メーカーによってアクセルとか工夫しているでしょ。あれがなかったら事故はまだまだ増えるよね」

 日本で初めてAT車が登場したのは、1950年代後半。大きく普及したのは80年代後半から90年代にかけてと言われている。

「俺だって最初オートマに乗ったとき、やっぱりおかしかったもん。うっかりクラッチと思ってブレーキなんか踏んだら大変なこと。若いときの42、43でオートマ乗り始めたときですら怖かった。それを50、60になってオートマに乗ったら適応できないよね」

 スカイラインGT-Rの“ケンメリ”“ハコスカ”を所有する70代男性は、「よくコンビニに突っ込んだとかあるでしょ。全部オートマ。ギア車は左足使うから絶対ボケが少ない。普段はオートマの車に乗るけど、ブレーキは左足で踏んでいるんだよ。慣れると、右足と同じ状態で止められる。全然平気。そうやって使えば、脳も活発化するから」と主張する。MT車が“ボケ防止”につながるとし、「逆に歳を取ったらギア車に乗れと言いたい」と訴えた。

 また、別の70代男性は、「今は90何%がオートマチックだけど、昔の車は免許は限定免許がなかったから。僕らのころは軽自動車は車検もなかった。16歳で取れた」と時代の背景を明かしつつ、AT車については同様の自論を展開。「左足を使わないオートマチックが多いけど、マニュアルはボケ防止になる。左足でクラッチ踏む。足を動かすわけだから」と、熱く語った。

 40、50代では、旧車ブームに乗って、AT車からMT車に切り替える人も増えている。しかし、取材で聞く限りは、練習でじっくりと慣らしてから実走しているケースが多い。

 MT車に乗る女性ドライバーからは「免許取ったときはマニュアルで取ったんですけど、ずっとオートマで30年ぐらいマニュアルで運転したことなかったんですよ。だから坂道発進とか、あと普通に走るのでさえ、エンストしまくって、すっごい怖かったです。知り合いの方に後ろについてもらって、遠隔で携帯でやり取りして練習しました」という生の声もあった。

 もちろん、MT車だろうと、過信は禁物。年齢やそのときの体調に合わせた準備や運転を心がけたい。

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