三が日は主要な神社仏閣でも献血可能 関東甲信越血液センターが協力呼びかけ

年末年始を前に、関東甲信越の1都9県で献血によって支えられている輸血用血液製剤が深刻な在庫不足に陥っている。例年、官公庁や企業、学校といった主要な団体献血先が休暇に入る年末年始は献血の協力が得づらい時期ではあるが、記録的な大雪の影響やコロナ禍ならではの事情も……。今何が起こっているのか、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターに現状を聞いた。

深刻な在庫不足に陥っている輸血用血液の保管庫【写真:ENCOUNT編集部】
深刻な在庫不足に陥っている輸血用血液の保管庫【写真:ENCOUNT編集部】

主要な団体献血先が休暇に入り献血の協力が得づらい年末年始

 年末年始を前に、関東甲信越の1都9県で献血によって支えられている輸血用血液製剤が深刻な在庫不足に陥っている。例年、官公庁や企業、学校といった主要な団体献血先が休暇に入る年末年始は献血の協力が得づらい時期ではあるが、記録的な大雪の影響やコロナ禍ならではの事情も……。今何が起こっているのか、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターに現状を聞いた。

 関東甲信越ブロック血液センターが管轄するエリアは、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、新潟の1都9県。輸血用血液製剤は長期間の保存が利かず、日本赤十字社ではなるべく過不足のないよう医療機関からの需要に基づく在庫調整をしているが、さまざまな要因から在庫量が減少しているのが現状だ。厳しい温度管理がなされている血液センターの保管庫をのぞくと、保有在庫数が少なくなっているようにうかがえる。

 まずは大雪の影響だ。北海道から九州まで広い範囲で記録的な大雪が続いており、新潟や長野を中心に献血の実施や血液の運搬が困難な状況が続いている。冬場は風邪などの体調不良で献血者が減少する傾向にあることに加え、大量の輸血を必要とする心臓外科等の手術が増える傾向にあり、患者の動向に左右されやすいという側面もある。

 さらに輪をかけているのが3年目を迎えたコロナ禍だ。一時期と比べると企業や学校での団体献血も戻ってきているが、リモート化が進んだ企業や学校では献血者が集まりづらい傾向が続いている。

「平日平均供給量の3日分を適正量の100%として、突発的な大量発注に備えて平時は120~130%ほどの在庫保有ができるよう取り進めていますが、16日時点でA型とO型が94%、B型が87%という状況でした。1週間後の23日にはB型は多少持ち直したものの、A型とO型は80%台となる等、依然として厳しい状況が続いています。このままの状況が続くと、大量の発注があった場合、安定的な供給ができなくなる可能性もあります」

 血液製剤の在庫管理は予測が難しく、年末年始にかけてはすべての血液型で400ミリ献血の協力を呼び掛けている。日本赤十字社では今年9月、献血の予約や新たに事前問診回答ができ、結果を記録できるWeb会員サービス「ラブラッド」のアプリをリニューアルするなど、以前よりスムーズに献血が受けられる工夫も行っている。三が日には明治神宮、浅草寺、池上本門寺、大宮八幡宮といった主要な神社仏閣でも献血を行っているといい、初詣の帰りに年に最初の善行をしてみるのも良さそうだ。

次のページへ (2/2) 【表】バスでの献血協力者数の推移
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