境内で発見→保護 “捨て子”うさぎが幸せ呼ぶ存在に…パワースポット宮司が明かした秘話

2023年はうさぎ年。日本最古の書物・古事記に記されている日本神話「因幡の白うさぎ」の白兎神を主神とする白兎神社(鳥取県)など、干支に関連する場所が注目されている。中でも森に囲まれたパワースポットとして人気なのが、東京・世田谷区にある太子堂八幡神社。境内で3羽のうさぎを飼育している同神社は、近所の子どもたちに「うさぎ神社」と呼ばれ親しまれている。うさぎを迎えたきっかけなどについて、宮司の畑中一彦さんに聞いた。

宮司の畑中一彦さんに、抱っこされたブーブーくん【写真:ENCOUNT編集部】
宮司の畑中一彦さんに、抱っこされたブーブーくん【写真:ENCOUNT編集部】

樹齢500年の御神木に守られた神社は都内屈指のパワースポット

 2023年はうさぎ年。日本最古の書物・古事記に記されている日本神話「因幡の白うさぎ」の白兎神を主神とする白兎神社(鳥取県)など、干支に関連する場所が注目されている。中でも森に囲まれたパワースポットとして人気なのが、東京・世田谷区にある太子堂八幡神社。境内で3羽のうさぎを飼育している同神社は、近所の子どもたちに「うさぎ神社」と呼ばれ親しまれている。うさぎを迎えたきっかけなどについて、宮司の畑中一彦さんに聞いた。(取材・文=西村綾乃)

 世田谷線の西太子堂駅から、歩いて5分ほどのところに鎮座する同神社は、平安後期に源頼義・義家親子が陸奥(宮城・岩手県)の豪族・安倍氏の征伐におもむく途中、戦勝を祈願した地として伝えられている。

 同神社にうさぎがやって来たのは10年前の夏の日。畑中さんが境内の中にある公園の中で、うろうろしているうさぎを発見し保護した。

「朝早くにうさぎを見つけて、1か月ほど預かっていたんです。でも迎えに来る人がいなくて。手水舎の裏側に小屋を手作りして飼育することにしました」

 英国の児童文学者、ビアトリクス・ポターが生み出した人気キャラクター、ピーターラビットから名前を連想し「ピータン」と命名。畑中さんは「捨てられて、不幸な身の上でしたが、神社の中で暮らすようになってからは、子どもたちとかけっこをしたり、大好きな穴掘りをして遊んだり、元気いっぱいに過ごしていました」と振り返っている。

 縁がありやってきたメスのハッチと仲睦まじい姿を見せていたピータン。「身体を寄せ合っているところを上からのぞくと、ハート型に見えると人気でした。うさぎは子だくさんなので、安産や夫婦円満を祈願にいらっしゃる方が増えました。ピータンも、ピータンと遊ぶみなさんも幸せな気持ちになった。幸せを運んでくれたピータンを『しあわせうさぎ』と呼ぶようになりました」

東京・世田谷区にある太子堂八幡神社【写真:ENCOUNT編集部】
東京・世田谷区にある太子堂八幡神社【写真:ENCOUNT編集部】

 長く親しまれていたピータンは、2020年の9月に迎えがあり、月に帰ったそう。現在はピータンとハッチの息子・ブーブーのほか、メスのチャムの2羽が社務所内で暮らし、ピータンらが生活していた小屋で、2代目のしあわせうさぎとして、ブルーの瞳に真っ白な毛並みが印象的なメスのハッピーが、参拝者を出迎えている。

「ハッピーたちとゆっくり過ごすことができるように、小屋の前にはベンチを置いています。小さい子はもちろん、散歩の休憩中の人などが腰掛けて、話しかけている様子を見ていると、幸せな気持ちになります」

 本殿を守るようにそびえる御神木は、樹齢500年の大楠。幹回りが4メートルを超える御神木を中心に、世田谷区の保存樹林地に指定されている敷地内は、松やケヤキなど数百本の樹木に囲まれている。

 「木々のエネルギーを受けられる場所として、占い師の島田秀平さんが『開運に最適』と太鼓判を押してくださったこともあり、昨年末から参拝に訪れる方が増えています。1月はうさぎをデザインした新春限定の御朱印やお守りをお分けしていますので、しあわせうさぎたちに会いにぜひお越しください」

 ピョンと跳ねる姿から、飛躍や向上も意味するうさぎ。繁栄を願いに、干支にちなんだパワースポットを訪れてみてはいかがだろうか。

次のページへ (2/2) 【写真】うさぎをデザインした新春限定の御朱印&幸せをもたらすうさぎとして人気のハッピーちゃん
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