車愛好家はなぜ「変態」と呼び合うのか? 愛情とこだわりの独特な世界観…「自虐」の意味も

カーイベントでクルマ愛好家を取材していると、会場内で必ずと言っていいほど耳にする言葉がある。「変態」だ。どれだけ貴重な旧車なのか、どれだけ珍しい仕様やスペックなのか、そして、どれだけその1台に愛と情熱を注いでいるのか…。この独特な言葉を使って表現しているのだ。カーオーナーたちが「〇〇さんは変態だねえ」「いやいや、あなたこそ」と笑顔で交わす会話。「変態」という言葉にはどんな意味と思いが込められているのだろうか。クルマ好きに聞いてみた。

クルマ愛好家の中で「変態」はどのような意味で使われているのか(写真はイメージ)【写真:写真AC】
クルマ愛好家の中で「変態」はどのような意味で使われているのか(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「33年ぐらい前からすでに存在」の証言も…収集だけでなくレストアやカスタムにもロマン

 カーイベントでクルマ愛好家を取材していると、会場内で必ずと言っていいほど耳にする言葉がある。「変態」だ。どれだけ貴重な旧車なのか、どれだけ珍しい仕様やスペックなのか、そして、どれだけその1台に愛と情熱を注いでいるのか…。この独特な言葉を使って表現しているのだ。カーオーナーたちが「〇〇さんは変態だねえ」「いやいや、あなたこそ」と笑顔で交わす会話。「変態」という言葉にはどんな意味と思いが込められているのだろうか。クルマ好きに聞いてみた。

 まずは、自動車やバイクの“特殊車両マニア”を自負する男性に疑問をぶつけてみると…

「『変態』は、僕がこのマニア業界に入った33年ぐらい前からすでに存在している言い回しです」と教えてくれた。

 続けて、「自虐の意味も込められていると思います。コアで深いところに突き進む、一般の人には分からないマニアの世界。そんなニュアンスも含まれていると思いますよ。『お前、変態だよ』『最低だよ』と言われると、『ありがとうございます!』と喜んでしまう。そんな世界観です」。なんとも言えない、独特過ぎる感覚だ。

 さらに、「ここまでやらないでしょう、ここまで突き詰めないでしょう、それをやってしまう。そのすごさがあります。かっこよく言えば、こだわりの追求です」とも。特殊車両を愛する男性からは“アツさ”が伝わった。

 次に、ヒストリックカーイベント会場で話を聞いた、旧車大好き男性オーナー。興奮気味に解説した。

「人と違うのがいい。それに尽きます。他の人が乗っていないクルマ、変わったクルマに乗りたい。その思いだけです。昔からずっと使われている言葉ですよ」

 男性オーナーは勢いを増す。

「クラシックカーだって、希少車だって、もう生産されていないクルマだって、普通に道路を走っていないでしょう。それに乗っている時点で、普通じゃない。アウトです(笑)。今日この会場のオーナーさんはみんな変態でしょう(笑)。みんな自分のクルマが1番だと思って、こうして自慢して見せるんですよ」

 もう動かなくなった古い1台を復活させるレストアにもロマンがあふれる。

「どう表現するか? 助けようがないところにいっています。どうしようもない。手の施しようがない。それが変態の境地です」。力強い声を響かせた。

 一方で、光岡自動車のオーナーズクラブで愛好会「結」の代表を務める本間忍さんに取材の相談をすると、急きょメンバーにLINEでアンケートを実施。驚きの結果が導き出された。

「変態ですか?」の問いかけに、約20人が回答。「いいえ」1人、「はい」5人、「それ以上」5人。さらに、会員メンバーが「勝手に作った」(本間さん)という項目の「変態の向こう側」は5人以上となった。

 1968年に創業した光岡自動車は、個性が際立つオリジナルカーの販売でも知られている。それだけに、「ある程度変態じゃないと、このクルマには乗らないんですよ(笑)。名車と呼ばれるものでもなく、クラシックカーでもない。アンチもいる。それでも乗れる度胸が必要です。例えば、僕はマツダ・ロードスターがベースの『ヒミコ』を愛車にしているんですが、ロードスターと比べると、ちょっと乗りづらい。値段も高い。それでも、わざわざ乗る。変態しかいないでしょう!(笑)」。ブランドへの熱い思いを、愛情たっぷりに語る。

 自分のこだわりをとことん詰め込んだカスタムを加えるのも“変態”になる一歩のようで、「クルマ好きの中には、買った値段と同じ値段を費やしてカスタムする人もいますよね。好きなモノにそれだけかけちゃうんです。それに、目立つ、他にない、だから人に見られる、見られて気持ちいい。その感覚も持っているんですよ」

 ちなみに、オーナーズクラブでオリジナルスタンプを作っているといい、「『ハッピーな変態たち』という文字を入れています。開き直った幸せがある。それが変態ですね」と本間さん。大好きな愛車と、共感する仲間たちと、共に歩むカーライフを、文字通り満喫している。

 強烈な言葉の響きではあるが、少しのぞくだけで、人生を豊かに楽しくできる、そんな世界観が広がっていた。


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