【どうする家康】野村萬斎は“再評価”される今川義元をどう演じる「家康に何かを授けるような」

野村萬斎が、今川義元役で出演するNHKの大河ドラマ「どうする家康」(1月8日スタート、日曜午後8時)について取材に応じ、義元をどういう人物としてとらえているか、自身との共通点や義元から刺激を受けたことなどを語った。作品は徳川家康の生涯を描き、家康を松本潤が演じる。家康を演じる松本についても言及した。

「どうする家康」に今川義元役で出演する野村萬斎【写真:(C)NHK】
「どうする家康」に今川義元役で出演する野村萬斎【写真:(C)NHK】

松本潤が主人公・徳川家康を演じる大河ドラマ1月8日スタート

 野村萬斎が、今川義元役で出演するNHKの大河ドラマ「どうする家康」(1月8日スタート、日曜午後8時)について取材に応じ、義元をどういう人物としてとらえているか、自身との共通点や義元から刺激を受けたことなどを語った。作品は徳川家康の生涯を描き、家康を松本潤が演じる。家康を演じる松本についても言及した。

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「今川義元という人物には諸説あるようです。公家化した武士のような人物造形もありますが、一方で、近年は人質である家康と一緒の生活圏の中にいて、思想的に大いに影響を与えたという説もあります。『どうする家康』では、文武両道であり、後の家康の幕府開府に影響を与えた人物ととらえて演じました。家康に身をもって何かを授けるような役かと思っています」

 義元を再評価する動きがある中、古沢良太氏の脚本をどう感じて演じたのか。

「義元のキーワードは王道を説くということなんだろうと思います。家康が生まれた時代は戦乱の世であり、まさしく多くの武将が覇道をゆく、群雄割拠の時代ですが、武力ではなく、徳をもって治め、国造りを考えること。それが王道を説くということかと思います。カリスマ性のある人格者という面で、私自身、今川義元という人物に尊敬の念を持っていますので、厳格な人物として演じることを心掛けています」

 脚本を読んでの感想にも言及。

「群像劇にもなっているし、でも、ちゃんと家康に集約されています。各エピソードがテンポ良く分かりやすく、それぞれの役どころもキャラクターがはっきりと描かれています。ですから、主役だけでなく、いろんな人間像を見ていただくことで、視聴者の方もご自身を投影できるポイントを見つけてもらえるのではないかと。非常に見やすい作品だと思います。松本さんも自分なりの家康像を確立すると言っていましたので、ご期待いただけたらと思います」

 大河ドラマの出演は1994年の「花の乱」以来29年ぶり。

「大河ドラマは長期のもの。それなりの覚悟が必要です。29年前は私もまだ二十代。三田佳子さん、先代の市川團十郎さん、萬屋錦之助さん、京マチ子さんら銀幕のスターであり、時代劇を背負ってきたお歴々の胸を借りたというか。その方たちの演技を真剣に食い入るように見ながら、どうしたら対抗できるかと、一種の他流試合というか、緊張感をもって臨みました。29年ぶりだと、いろんなことが変わっています。前は本かつらだったのが、だんだん地毛を混ぜたものになり、衣装も時代考証そのままではなく作品のオリジナリティーを出すために工夫がされているなど、映像技術の革新にも驚いています。今回ももちろん緊張感がありますが、古沢さんの脚本ですし、松本さんをはじめとするキャストの皆さんの雰囲気もあり、アットホームな空気で撮影は進んでいます」

 義元と自身の共通点は。

「義元は、信念を貫いた人だと思います。こうあるべきという理想を掲げ、自分の中に一本芯を通し、理念を持って政治を行うことに長けている。そういう意味では、私もある種の理想や信念を持っています。伝統や歴史にこそ発想の種があると思って、そこから学び、古きを守りながらも新たな挑戦をしていきたいなと。時代は違えど、思いが重なることは大変多かったと思います」

 義元から刺激を受けたことはあるだろうか。

「物語の特に前半、家康に非常に大きな影響を与えるという意味で、義元の考え方は素晴らしい理念だと思いますし、徳川幕府になって二百数十年続く礎になるのはすごいこと。誇りを持てる役だと思って演じました」

 古沢さんが描く家康像の魅力はどうか。

「『どうする』というタイトルから分かるように、彼はいろんな困難に直面した時、本当は決断をしないといけないのでしょうけど、決断していないような気もします。自分の思いで暴走するのではなく、流れに身を任せ、周囲の仲間に助けられる。言ってみれば、忍耐力があるのかなと。ですから家康を支える家臣団の活躍も見どころです」

 この時代をどう思うか。

「激動の時代から安定した時代に変化する移行期であるという状況は、今、我々が直面している状況にピッタリ合っている気もします。今、多様な価値観が入り乱れる中で、リーダーとしての家康の大きさが再評価されるのはとてもいいこと。パワーとカリスマ性だけでワーッといく人もいますが、中長期的な視点で物事を考えられる家康は、今の時代にフィットする人物像かと思います。このドラマと並行して家康がどう再評価されるか楽しみです」

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