「上半身裸の健康診断」見直し求め市民団体が訴え 63%がトラウマの調査も

学校での健康診断で子どもを強制的に上半身裸にするのはおかしいとして、健康診断の実施方法見直しを訴える市民団体が21日、文部科学省に署名簿を提出した。

伊藤たかえ政務官に署名を提出した代表の高田愛子さん(写真中央)【写真:ENCOUNT編集部】
伊藤たかえ政務官に署名を提出した代表の高田愛子さん(写真中央)【写真:ENCOUNT編集部】

文科省の伊藤たかえ政務官に4万2398筆分の署名を提出

 学校での健康診断で子どもを強制的に上半身裸にするのはおかしいとして、健康診断の実施方法見直しを訴える市民団体が21日、文部科学省に署名簿を提出した。

 近年、子どもを強制的に上半身裸にして行う学校での健康診断に対して、生徒や保護者から「抵抗がある」「強制されるのはおかしい」という声があがっている。小学校高学年以上になれば自身の性に対する自覚が高まり、他人の前で裸になるという行為は、自尊心にも大きく関わるもの。上半身裸での健診は、「誤診を減らすため」との方針の元に行われているものの、その一方で、子どもたちのプライバシーへの配慮がおろそかになってしまっているのが現状だ。

 この日、文科省の伊藤たかえ政務官に4万2398筆分の署名を提出した「安心できる学校健診を考える会」代表の高田愛子さんは、「きっかけは私自身のトラウマです。高校生のとき、健康診断で男性医師に胸を見られるのが嫌で、担任や女性の養護教諭に相談しましたが、『医師がいやらしい目で見てると思ってるのか。そんなに嫌なら外部で自費で受けてきなさい』と怒鳴られて健診をボイコットしました。それからは自分がおかしいのではないか、自意識過剰なのではないかと気持ちを押し殺してきました。フラッシュバックの症状もありましたが、誰にも言うことができなかった」と自身の体験から活動を開始。

 2020年8月にオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で「子どもたちを強制的に裸にしないで! 本人の同意を大事にした健康診断を実施してください」キャンペーンを立ち上げた。アンケートでは、医師に胸を見せる内科検診を経験した女性の63%が成人後もトラウマを抱えていると回答、「痴漢に遭ったのと変わらない」「医師への不信感から恐怖で病院にいけなくなった」「私も誰にも言えなかった」「自分の子どもにはこんな健診を受けさせたくない」という共感の声が多数寄せられたという。

「裸になることを強制する健康診断は、児童・生徒の性別を問わず、子どもたちに心の傷を負わせかねないものです。なぜ健康診断で心の病気にならなければいけないのか。健康診断というよりは健康被害ではないでしょうか」と高田さん。学校での健康診断の在り方に一石を投じることになりそうだ。

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