女優の長澤まさみが主演を務めるフジテレビ系月10ドラマ「エルピス‐希望、あるいは災い‐」の第9話が19日、放送された。ドラマ序盤では“クズキャラ”として描かれていた村井（岡部さとし）が見せたラスト3分の暴れっぷりに視聴者は「村井さん、すごい良かった！」「今日は村井回」と大興奮だった。

　長澤まさみ4年半ぶりの連ドラ主演作。スキャンダルによって落ち目となったアナウンサーの浅川恵那（長澤）とバラエティー番組の若手ディレクター・岸本拓朗（眞栄田郷敦）らが、10代の女性が連続して殺害された事件の冤罪（えんざい）疑惑を追う中で、一度は失った“自分の価値”を取り戻していく姿を描く。

　拓朗が八飛署の刑事・平川を脅迫した疑いで会社を追われた場面で終わった前回。恵那は拓朗は自分の意思で会社を辞めたと思っていたが、ヘアメイクのチェリー（三浦透子）らから実は誰かにはめられて解雇されたという事実を知り、驚きを隠せないでいた。

　その頃、村井（岡部）は大門亨という人物に近づいていた。亨は大門副総理の娘婿で秘書を務めており、村井は報道にいた時に彼と知り合いに。生真面目な亨から大門のスキャンダルを掴めるのではないかという村井の目算は当たり、2017年に大門が自分の派閥の議員のレイプ事件をもみ消した時、正義感の強い亨は村井に内部告発を持ちかけてきた。村井は証言VTRまで撮ったが、放送のタイミングでそれまでいち大臣だった大門が副総理となったためお蔵入りに。諦めがつかない村井は会社の上層部に掛け合い、告発を取り下げようとする亨を説得するなど働きかけるが、それが祟ったのか報道を外され、深夜バラエティー番組『フライデーボンボン』に移動させられたのだった。

　村井は拓朗に“ジャーナリスト”という肩書きの名刺を作らせ、亨と引き合わせる。そしてその後、自分と亨の関係や、報道から深夜のバラエティー番組に飛ばされた経緯を拓朗に話すと「やるよ」といって過去に撮影した亨の告発VTRを拓朗に託した。

　告発VTRを見た拓朗は後日、1人で亨に会いにいく。亨は「やっと覚悟ができた」と話すと、大門に可愛がられ大洋テレビをやめてフリージャーナリストとなった斎藤（鈴木亮平）がいずれ出馬し、大門の右腕となるだろうと吐露。そして2017年に大門を告発しようとした際は妻子の存在が頭をよぎり怯んでしまったこと、その妻に最近離婚届を渡したこと、村井に大門と亨の関係がどうなろうと斎藤が大門の地盤、そしてその娘と孫を守ろうとするはずだとアドバイスを受けたことを明かす。亨は17年のレイプ事件の際に被害者ではなく加害者である議員を守るために動いたことを悔いており「もう一点の迷いもないので、どうか思うようにやってください。僕にできることがあればいつでも連絡ください」と、拓朗に全面的に協力することを約束する。

　覚悟を決めた亨の気持ちも背負い、村井に託された亨の告発を世に出そうと意気込む拓朗。しかしその矢先、村井から亨が亡くなったと連絡を受ける。遺書もあったことから警察は亨の死を自殺と断定。しかし遺族からは、自殺ではなく病死として扱うようマスコミに連絡が入る。

　亨の葬儀に集まったマスコミの相手をしていたのは斎藤で、村井はそんな斎藤に亨の死は病死ではなく自殺なのではないかと斬り込むと「てかもっと、本当は自殺じゃなくて他殺？」と追求。さらに、意味深に睨みつけてくる斎藤を怖いと茶化しつつ「でも本当に怖いのは斎藤くんじゃないよね。こんな怖いことをさらっとやっちゃう人たちだよね」と続け「引き返すなら今じゃないかな。じゃないとこの先はもう、戻ってこれねぇぞ」と忠告する。

　亨の葬儀後、村井は恵那がキャスターを務める「ニュース8」のスタジオへ。セットに入るとパイプ椅子を振りかざして「ふざけんなよ、テメェら。どいつもこいつも正義面しやがってよ。何が報道だ！」と暴れ回る。セットを破壊し、警備員に取り押さえられる村井の姿を見つめ涙を流す恵那の表情と「木っ端微塵（みじん）に壊れてしまえばいいと、本当は私も願っていたのかもしれない」というモノローグで幕を閉じた第9話。恵那自身も再び心身のバランスを崩していることから、視聴者からは「恵那さん、泣ける」「恵那もやっぱりこのままじゃいけないと思ったはず」との声が。

　ドラマの序盤ではどうしようもない中年男性として描かれていた村井の暴れっぷりに感じ入る意見も多く「第一話で冤罪事件の企画を持ち込んだ恵那と拓朗に対しての発言、村井さんの過去が明らかになった今では聞こえ方が違う」「村井さんすごい良かった！！！」「今日は村井回」「間違いなく今期一番のドラマ」と反響を集めている。様々な人物の思惑が絡み合う中、次週いよいよ最終回を迎えるがあまりの内容の濃さに「次がラストって嘘でしょ？」「来週の最終回で片付くのか、コレ？」と戸惑う視聴者も。骨太な内容だけに「なんか異様な終わり方しそうで楽しみだわ」「最後まで見届けたい」と期待値の高いコメントが多く並んでいる。