陸自性暴力、五ノ井里奈さんが会見 示談金は「痴漢並み」30万円、交渉難航
実名、顔出しで訓練中に受けた性被害を告白した元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが19日、都内の日本外国特派員協会で会見を行った。
防衛省では性暴力に関わった隊員5人を懲戒免職とするなど、計9人の処分を発表
実名、顔出しで訓練中に受けた性被害を告白した元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが19日、都内の日本外国特派員協会で会見を行った。
五ノ井さんは陸上自衛隊に所属していた2021年の6月から8月にかけ、複数の隊員から胸を触られたり、押し倒されて腰を押し付けられるなどの性被害を受けた。退職後の今年6月、上官から集団でセクハラを受けたとして実名で被害を告発。ネット上で11万筆を超える署名を集め、防衛省に事実究明をするよう訴えた。
これを受け、防衛省は9月に性暴力の事実を認定。10月には加害者4人が五ノ井さんに面会、直接謝罪した。今月15日には、防衛省が性暴力に関わった隊員5人を懲戒免職とするなど、男性隊員計9人の処分を発表している。
会見で五ノ井さんは「胸のサイズを聞かれる、後ろから突然抱き着かれる、柔道の技をかけるように押し倒され、腰を打ち付けられるなどの日常的なセクハラ行為がありました。シャツ越しに胸を触られたり、頬にキスをされたり、下着越しに男性隊員の陰部を触らせられるといった行為もありました」と日常的なセクハラの実態を告白。
北海道での訓練ではセクハラを超えた性暴力を受けたといい「男性隊員が私に格闘技をかけベッドに押し倒し、覆いかぶさって股を広げられ正常位のような体勢で何度も腰を打ち付けられました。十数名の男性隊員が見ているなか、上司2名もその光景を見て笑っていました」と赤裸々に語った。
現在、加害者3人には弁護士がつき示談交渉が行われており、相手弁護士からは「個人責任を問えるかどうか疑問が残る」として、1人につき約30万円の示談金を提示されているという。
「30万円は痴漢並みの金額だそうです。それ以上に個人責任を問えるか疑問が残るという言葉を聞き、事の重大さを軽く扱われているようで驚き呆れました。もともと訴訟するという考えはなく、事実を認めて謝罪してほしかっただけ。直接謝罪を受け、反省しているのかと思っていたが、示談交渉で反省が見られない言葉を聞かされ、今後の回答次第では民事での訴訟も検討しています」。今後は国賠訴訟も視野に、民事訴訟するか検討中だという。
「私が実名顔出ししてメディアに注目されなければ、事実が隠蔽(いんぺい)され、他の女性隊員にも同じ被害が続いていたと思います。日本はいろんな面で遅れていますが、声を上げなくてもいい環境になってほしい。今いろんな告発をされている人は、すごく勇気を持って声を上げている。声を上げられない人もたくさんいる。声を上げなくてもいい方向に世の中が向かってくれればいいと思います」と五ノ井さん。
「今後自衛隊は変わると思うか」という質問に対しては「私は自衛隊が変わると信じてます。そう信じないと今回告発した意味がない。同じ女性隊員の方が今後私のような被害に遭ってほしくない。変わってもらわないと困ります」と話した。