「鎌倉殿の13人」の女暗殺者トウ役・山本千尋が三谷幸喜からもらった衝撃の言葉

いよいよ18日に最終回を迎えるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜、午後8時)で、女暗殺者トウを演じているのが女優の山本千尋(26)だ。大河ドラマでは珍しい本格アクションこなす山本は3歳から中国武術を習い、世界ジュニア武術選手権大会では2度の金メダルを獲得し、女優へ転身した新世代のアクション女優だ。

山本千尋【写真:荒川祐史】
山本千尋【写真:荒川祐史】

世界ジュニア武術選手権大会で2度金メダル獲得の実力

 いよいよ18日に最終回を迎えるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜、午後8時)で、女暗殺者トウを演じているのが女優の山本千尋(26)だ。大河ドラマでは珍しい本格アクションこなす山本は3歳から中国武術を習い、世界ジュニア武術選手権大会では2度の金メダルを獲得し、女優へ転身した新世代のアクション女優だ。(取材・文=平辻哲也)

 源頼朝亡き後を舞台に、北条義時(小栗旬)らがパワーゲームを繰り広げる、三谷幸喜氏脚本の「鎌倉殿の13人」。その最終回でもカギを握りそうなのが、美しき女暗殺者トウ。伊東祐親(浅野和之)の元下人で、アサシン・善児(梶原善)に育てられた孤児。7月31日の放送回で初登場し、8月28日の放送回では、育ての親の善児にトドメを刺し、視聴者をざわつかせた。以降も、さまざまなキャラクターが命を落とす中、最終回まで生き延びている。

「善児を暗殺した放送の翌日に、三谷さんから連絡をいただき、『ちょっとトウの終わり方を変えたいんです。僕の脚本の神様がこっちの道へ行け』って。それって、すごいセリフですよね」

 三谷作品への出演は、香取慎吾主演のアマゾンプライムビデオ「誰かが、見ている」(2020年)に続き2作目。出演は三谷氏からの指名だった。

「『誰かが、見ている』が終わった時に、三谷さんから『次は時代劇でご一緒しましょう』って言われたんですよ。でも、『鎌倉殿の13人』が発表されても、声がかからなかったんですよね。お世辞で言ってくれただけかもしれないし、違う時代劇なのかなと諦めていたら、去年の年末に実家に帰ろうかなというタイミングで、事務所に連絡があったんです。最高のクリスマスプレゼントでしたね」と振り返る。

 三谷作品出演の俳優には、三谷氏との面談が恒例とも聞いているが、山本はどうだったのか。

「2回目だったからなのか、今回は面談はなかったんですよ。ただ、こまめに連絡は頂きました。善児を暗殺した次の日には、ダメ出しかなと思っていたら、もう次の話をされるんですね。それで、私の方から『ちょっと不安だから聞きたいんですけど、昨日(の放送回)は大丈夫でしたか』と聞いたら、『あ、いいませんでしたっけ? よかったです』って(笑)」

 今春から約7か月におよぶ撮影は得がたい経験だったという。

「大河ドラマはどれだけ願っても出られない作品。みんなが知っている人しか出てない。その中で、若手の私が入ったのに、スタッフさんも演者さんも同じ温度感で接してくれるんですよ。1人の役にちゃんと生きがいとやりがいを持たしてくださった。だから、作品を台無しにしないように、三谷さんからいただいた言葉をヒントに一つ一つのシーンを生きていきたいなと思いました。こんなに楽しい現場はなかったです」と振り返る。

 NHKで得意のアクションを見せられたのも大きな喜びになった。

「アクションにスポットを当ててくださったのは、本当に恵まれているなと思いました」と感謝する。三谷氏には「次は舞台でもご一緒したいです」と逆にお願いもしたそう。

 大河ドラマの最終回後の22日からは、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2(佐藤信介監督)の配信も控えている。麻生羽呂の同名コミックが原作で、謎の世界“今際の国”で命を懸けた“げぇむ”に挑む若者たちの姿を描くサバイバルドラマ。山本は、アリス(山崎賢人/崎の正式表記はたつさき)とウサギ(土屋太鳳)を追い詰めるオリジナルキャラクターのリサを演じた。主人公を追い詰める敵キャラということで、撮影の半年前からトレーニングを重ねた。

「『キングダム』の佐藤監督と下村勇二アクション監督とのお仕事。『キングダム』ではかなわなかった部分もあったので、やっとこのときがきた、という思いでアクション稽古に臨みました。今まで苦手にしてきた素手のアクションの集大成を下村さんたちと作り上げることができたんじゃないかなとは思っています」と自信を見せる。

 普段は有酸素運動のランニングをメインに、トレーニング自体は週1回程度に控えているそうだが、「今際の国のアリス」ではパンプアップを強化、22年1月には日本ボクシングコミッションC級ボクサーライセンスも取得している。

「トレーニングは役作りだと思うと、夢中になってしまうんです。『アリス』では、ウサギが負けそうになるキャラクターだったので、一生懸命、筋肉をつけたら、想像以上に筋肉がついてしまって。見た方は笑ってしまうかも。ボクシングも、ライセンス取得前は週5、6日ジムに通っていました」。

 今後も、若手アクション女優としてフィールドを広げたい考え。「こんなに数多くの役者さんがいる中で、作品に呼んでいただけるのは奇跡だと思っています。だから、呼んでいただいた以上は、『予想をはるかに超えたよね』って言ってもらえるぐらい、サプライズ精神を持って挑みたいと思っています。海外にも出たいし、最近学んでいる乗馬を生かした役もやってみたいし、コメディーもやってみたい。子どもの頃から、金メダルを取った瞬間から次の目標が生まれてしまう。そうしたものを一つ一つ回収したいと思っています」と固い決意を見せた。

□山本千尋(やまもと・ちひろ)1996年8月29日、兵庫県出身。2014年公開の「太秦ライムライト」で映画初出演にしてヒロインを演じ、15年のジャパンアクションアワードでベストアクション女優賞を受賞。2016年「キングダム」連載10周年実写特別動画で羌カイ役を演じ、17年には「ウルトラマンジード」でヒロイン鳥羽ライハを熱演。出演作に映画「チア男子!!」「下忍 青い影」(19)、「キングダム2 遥かなる大地へ」(22)。「誰かが、見ている」(20)「着飾る恋には理由があって」(21)「未来への10カウント」「テッパチ!」(22)など。「今際の国のアリス」シーズン2がNetflixで12月22日から全世界独占配信開始。

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