大原櫻子が本気で考えた「愛とはなにか?」 26歳になって分かってきた「愛」を歌うこと

歌手で俳優の大原櫻子が、1年10か月ぶりとなるアルバム「FANFARE」(=ファンファーレ)をリリースした。26歳の今だからこそ歌える「愛」がテーマの10曲。持ち前の爽やかさだけでなく、今まで見たことのない女性の強さや思わずドキッとしてしまう新たな一面まで見えてくる作品について話を聞いた。

オリジナルアルバムをリリースする大原櫻子【写真:舛元清香】
オリジナルアルバムをリリースする大原櫻子【写真:舛元清香】

心の中にいつもある「何があっても大丈夫」

 歌手で俳優の大原櫻子が、1年10か月ぶりとなるアルバム「FANFARE」(=ファンファーレ)をリリースした。26歳の今だからこそ歌える「愛」がテーマの10曲。持ち前の爽やかさだけでなく、今まで見たことのない女性の強さや思わずドキッとしてしまう新たな一面まで見えてくる作品について話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――唐突ですが大原さんは「自分らしさって何?」と聞かれたらなんと答えます?

「いきなりですね(笑)。えーなんだろう? ……ポジティブさかな。楽観的というか前向きだと思います。昔から変わりませんね」

――「なんとかなるさ」みたいな?

「そうですね、決してすべてがそれで良いとは思っていないんですけど、不安なことがあっても『これだけ不安なことがあったら、あとはポジティブなことしか起きない』みたいな考え方をしますね。なるようにしかならないですし、何があっても大丈夫みたいな気持ちが心のどこかにあります。私って『困難を乗り越えた!』みたいな感覚があんまりないんです。たぶん自然と乗り越えているのかもしれない(笑)」

――17歳でデビューした大原さんは、まもなく27歳を迎えます。

「そうですね。ポジティブと言いながらも今年もいろいろと不安なことがありました。でも今も好きなお仕事をさせていただけるっていうことが何よりありがたいなってすごく実感します。歌でもお芝居でも誰かに何かを届けられているということが本当にうれしいです」

――大原さんは、これまでたくさんのファンに歌やお芝居で元気を与えてきました。そして大原さんに憧れて芸能界を目指す方もいらっしゃいます。そんな誰かに影響を与えているということについては?

「誰かに届いていることが私自身の原動力につながっているのは間違いありません。でもみなさんきっと、私一人だけじゃなくてたくさんの人からいろんな影響を受けて今があるんですよ。私もそんなファンのみなさんがいてくださるからステージに立てているので、『必ずどこかでお互いに影響し合って幸せを与え合っています』って言いたいです」

――そんな大原さんですが、1年10か月振りとなるオリジナルアルバムをリリースしました。今回は「愛」がテーマだそうですね。

「はい。2022年は舞台を2本やらせていただき、それぞれの作品や役柄の影響もあって『女性の強さとは?』、『深い愛とは?』みたいなものを感じた1年でした。それでプロデューサーと話し合って26歳の今だから表現できるさまざまな愛を歌にしたアルバムを作ってみたいと思いました」

「愛」を語る大原櫻子【写真:ENCOUNT編集部】
「愛」を語る大原櫻子【写真:ENCOUNT編集部】

姉の林田こずえが作詞した“愛のうた”

――アルバムタイトル「FANFARE」に込めた思いとは?

「今回最後にでき上がった曲が1曲目の『Fanfare』だったのですが、メロディーを聴いた瞬間に力強くて希望の光が見えるような曲だったのでこの曲がアルバムを引っ張ってくれる存在だと確信してタイトルにしました。ジャンヌ・ダルクではないですけど、女の子がみんなの中心に立って前に進んでくみたいな、そんな情熱的なイメージも浮かんできてジャケットのヘアメイクと衣装を赤で統一してみました」

――さまざまな「愛」を描いた10曲が収録されています。

「そうなんです。今回は作家さんと綿密に話し合いながら進めていきました。『笑顔の種』と『初恋』を書いてくださった高橋久美子さんは、温かさとか日常の愛を描いていただき、『愛のせい』と『Door』を書いてくださった蒼山幸子さんは、女性でもドキッとするようなストレートな恋愛を描いてくださって『ポッピンラブ!』はドラマの主題歌なのでその主人公の気持ちになって私が歌詞を書いたので、素の私とはまったく違うそれぞれの主役を演じながら歌っているようなお芝居の延長といった気分で挑戦してみました」

――それぞれの楽曲の主人公たちを演じているかのような歌い方がとても印象的です。

「そこは歌っていて一番楽しいところでした。今までの作品は必ず“大原櫻子節”みたいな部分を入れていたんですが、今回は思い切ってそういうのをなしにして完全に曲に染まっちゃおうみたいな気持ちで臨んだので歌い方も結構ガラッと変えてみたりしました。ここまで振り切ったアルバムは初めてです」

――6曲目の「寄り道」は大切なペットへの愛が描かれていますが、お姉さまの林田こずえさんが作詞を担当されたそうですね。

「はい今回は姉が書いてくれたんです。ペット目線の飼い主への愛を歌っているんですが、実は私も姉もペットは大好きなんですが、今までワンちゃんを飼ったことないんです。それで姉がレコーディング当日に小さなかわいい柴犬の写真を添えて『こんな犬を想像しながら歌詞を書きました』、『あなたが“大丈夫だよ”って声を掛けていたあんな感じで歌ってね』というメッセージを送ってくれたんです。それを見ながらとても良い雰囲気で歌えました」

――大原さんが作詞した「それだけでいい」は“愛してる”という言葉と正面から向き合って愛とは何か? を描いた曲になりました。

「そう仰っていただけるとうれしいです。『それだけでいい』は情景を思い浮かべられるようなリアルなシチュエーションを大切にしようと言葉を丁寧に紡いでいったので完成までにかなり時間が掛かりました。あらためて『愛とはなにか?』を考えさせられましたね」

――アルバムができ上がった感想は?

「愛というテーマでバリエーションのある曲がたくさん用意できましたし、まるで実際に役を演じているような気持ちで歌うことができました。作家さんによって同じ愛でもこれほど表現が違うんだって刺激をいただきましたし。私にとってとても大切な一枚になりました」

――では最後にお聞きします。大原さんにとって「愛」とは?

「一番難しい質問ですよね。その答えを模索していたからこのアルバムを作ったのかなって思っていますし。でも模索してみて、もしかしたら愛の答えってないのかな?って思いました。だから『人生で一番答えのないもの』かな(笑)」

□大原櫻子(おおはら・さくらこ)1996年、東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」全国ヒロインオーディションで5000人の中から抜てきされ、スクリーン&CD同時デビューを果たす。14年、女優として「日本映画批評家大賞“新人賞”」、歌手として「第56 回輝く!日本レコード大賞“新人賞”」を受賞。15年、第93回全国高校サッカー選手権大会応援歌「瞳」で「第66回NHK紅白歌合戦」に出演。歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演中。22年12月ニューアルバム「FANFARE」発売。

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