「年賀状やめたい」…どうすれば? マナーのプロに聞く 思わぬタブーと配慮マナー
今年も年賀状を書く季節がやってきた。ネット上では「年賀状よし!」「私の分は終わった」と早くも書き終えた人がいる一方で、「年賀状やめたい」「めんどいよね」と、現役世代を中心に悩みの声も聞こえてくる。とりわけ、会社の上司や仕事上の付き合いなどで、どうしてもやり取りせざるを得ない状況への葛藤が目立つ。年賀状をやめたい場合、どうすればいいのか。また、注意点は。トータルマナー株式会社代表の田野直美さんに聞いた。
年賀状に「次の年は遠慮します」はNG
今年も年賀状を書く季節がやってきた。ネット上では「年賀状よし!」「私の分は終わった」と早くも書き終えた人がいる一方で、「年賀状やめたい」「めんどいよね」と、現役世代を中心に悩みの声も聞こえてくる。とりわけ、会社の上司や仕事上の付き合いなどで、どうしてもやりとりせざるを得ない状況への葛藤が目立つ。年賀状をやめたい場合、どうすればいいのか。また、注意点は。トータルマナー株式会社代表の田野直美さんに聞いた。
年賀状をやめる理由はさまざまだ。田野さんによれば、特に高齢者は、「(体調面などで)お付き合いできない方が年齢を理由におやめになることが多い。一方で、いくら年を取ってもお目にかかれないからご縁を続けたい方もいる」と二極化が進む。終活の一環で、“最後のあいさつ”をするのはやむを得ない事情があるものだ。
年賀状をやめたい場合、相手への通告を済ませるのは最低限のマナー。しかし、そのことを年賀状に書いてしまう“年賀状じまい”は、マナー違反にあたる可能性がある。
「来年の年賀状に、『次の年は遠慮します』と書かれる方が多いです。でも、本来は書いちゃいけないんですよね。できたら、喪中欠礼の時期に『今年度より、来年の年賀状を控えさせていただきます』とハガキで書いていただくのがベストです。年賀状は新年のお祝いを申し上げるものなので、ほかの要件を入れるのはタブーになっています」と田野さんは話す。
確かに新年早々、お祝いの文面よりも、その一文が気になってしまいそうだ。「絶対ダメということはない」ものの、避けたほうが無難だろう。なお、喪中ハガキを出すのは11月から12月頭までの期間が望ましいとされるだけに、適切なタイミングを見極めたい。
また、文面でやめる意向を伝えるときに、気をつけたいのが“自分にだけではない”ということを知らせることだという。
「『どなたさまにも』と一筆入れていただかないと、私嫌われたのかな? と思われてしまう。私だけかな? と気を悪くされないような言葉を添えることが大事ですね」
不快にさせないという意味では、SDGs(持続可能な開発目標)を理由に年賀状を断るのも一つの手段としてある。メールやLINEでのやり取りに比べ、紙やインクを消費しているだけに、もっともな主張に見える。だが、ここにも注意点が。「必ず『今後もどうぞよろしく』という意味合いの言葉を書いたほうがいいですね」。断捨離のごとく文面までスパッとなりがちだが、受け取る相手への配慮を欠かさないことが求められる。
最後に、年賀状を出す人も気をつけたいことがある。子どもの写真や豪華な海外旅行の写真が入った年賀状を送り、意図せずに相手を傷つける“年賀状マウント”だ。
これについて田野さんは「相手を選ぶ、ということですね。家族写真はビジネスでは避けたほうがいいとされていますので、個人的な年賀状が基本。個人でも相手を選んで、自分の子どもの成長を見てほしいなという方や海外旅行を見せてもいいという方には写真入りを、それ以外には写真を入れない普通の年賀状を出す。出してはいけないことはない」と主張する。
この時期になると、毎年話題になる年賀状。忘れてはならないのは、新年のあいさつであるということだ。田野さんは「昔から相手の方への配慮はマナー。ちょっとした気遣いを持っていだたくとうれしいものです」と結んだ。