主役は全員”悪いやつら” 闇の世界にスポット当てた「新感覚ウルトラマン」の世界

登場するのは正義の味方ウルトラマンではなく、闇を抱えるキャラクターたち……。歴代ウルトラマンシリーズの“悪役”が主人公の舞台「DARKNESS HEELS~THE LIVE~」が異彩を放っている。演者は着ぐるみのスーツアクターではなく、生身の人間。従来のヒーローショーとは一線を画す、異例尽くしの舞台だ。アメコミの「バットマン」など近年、“ダークヒーロー”を主役に据えた物語が脚光を浴びており、新たな世界観を示すことになるか。

(左から)カミーラ・相楽伊織、イーヴィルティガ・友常勇気、ウルトラマンベリアル・校條拳太朗、ジャグラス ジャグラー・谷佳樹、ダークザギ・古谷大和
(左から)カミーラ・相楽伊織、イーヴィルティガ・友常勇気、ウルトラマンベリアル・校條拳太朗、ジャグラス ジャグラー・谷佳樹、ダークザギ・古谷大和

舞台「DARKNESS HEELS~THE LIVE~」で打ち出す新たな世界観 「原作ファンの方に認めていただけるように」

 登場するのは、正義の味方ウルトラマンではなく、闇を抱えるキャラクターたち……。歴代ウルトラマンシリーズの“悪役”が主人公の舞台「DARKNESS HEELS~THE LIVE~」が異彩を放っている。演者は着ぐるみのスーツアクターではなく、生身の人間。従来のヒーローショーとは一線を画す、異例尽くしの舞台となっている。

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 実は悪役(ヴィラン)を中心に描く物語は、世界的にエンターテインメントで新ジャンルを確立していると言っていい。近年ではDCコミックから映画化された「スーサイド・スクワッド」をはじめ、「バットマン」の永遠の宿敵で、恐怖と混沌の象徴でもあるジョーカーを取り上げる映画「ジョーカー」が10月に公開を予定。同月には、ディズニー作品で「眠れる森の美女」のヴィランが主人公の「マレフィセント2」が封切られるなど、近年、”ワルだけどかっこいいダークヒーロー”を主役に据えた物語が脚光を浴びている。

 そんな中、長年に渡って幅広い層に支持されている絶対的正義のヒーロー、ウルトラマンでも新機軸となる”ダークヒーロー”にスポットを当て、新たな世界観を打ち出そうとしている。

豪快なアクションシーンを演じるウルトラマンベリアル役の校條拳太朗
豪快なアクションシーンを演じるウルトラマンベリアル役の校條拳太朗

「ウルトラマンの冠があるけど、(ウルトラマンは)登場しない。この舞台でしか見られない物語。ウルトラマンといえばキャラクターの登場があるが、人間が中心となってやる舞台は特徴的で、とても面白い企画だと思う」

 円谷プロダクションが原作・設定を担当する今回の舞台。脚本・演出を務める久保田唱氏は、8月15日に都内で行われたイベントで、本番に向けて稽古を続けている異色の舞台の意義付けを語った。9月13日の埼玉公演を皮切りに、9月18日~23日にかけて全10公演の東京公演を予定している。

 主役は「5人」。しかも”全員悪いやつら”。シリーズ初の“悪のウルトラマン”と呼ばれる「ウルトラマンベリアル」(校條拳太朗)を筆頭に、「ジャグラス ジャグラー」(谷佳樹)、「イーヴィルティガ」(友常勇気)、「ダークザギ」(古谷大和)、そして、「闇に堕ちてさえ一つの愛に縋(すが)ろうとした者」と設定される「カミーラ」(相楽伊織)。

 かつて悪と呼ばれていた者たちが惑星テリオで目を覚ます……といったストーリーで、谷は「僕らが抱える嫉妬や恨みがなぜあったのか、ストーリーに組み込まれている。ウルトラマンだからといって戦って終わりではなく、ちゃんと僕たちが生きていた人生を見てほしい」と強調する。2.5次元ミュージカルや舞台などで活躍する演者をそろえ、大人でも見応えのあるシリアスな作風になりそうだ。

舞台「DARKNESS HEELS~THE LIVE~」の新たな世界観に注目だ
舞台「DARKNESS HEELS~THE LIVE~」の新たな世界観に注目だ

 アクションシーンもポイントの一つだ。公開舞台稽古で、衣装のマントをなびかせながら豪快な戦闘シーンを披露した校條は「めちゃくちゃ殺陣がある」と話す。久保田氏は「戦うには必ず理由がある。アクションのひとつひとつに注目度がある」と考えを示す。

 歴史と伝統を持つウルトラマン。「DARKNESS HEELS」というユニットプロジェクトが新たに打ち出そうとする世界観は、未知数の部分もある。原作ファンにとっては気になるところだ。古谷は「ウルトラマンにはとても長い歴史がある。新しいウルトラマンの世界として作り出せる舞台であったらいいなと思う。今回限りとならず、次に新しい舞台へと進んでいける作品になれば」と話せば、谷は「原作のウルトラマンファンの方たちに認めていただけるように。そこからスタートだと思っている。全員一丸となって頑張っていきたい」と力を込めた。

 世界からも称賛される日本の特撮ヒーローの代表格ウルトラマン。そのウルトラマンが出演しない、闇の世界を描いた悪いやつらの本作で円谷プロは新たなヒーローコンテンツのジャンルの確立を目指している。

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