18歳奥智哉 二宮和也の息子役で映画デビュー 間近で見た中島健人の演技に心が震えた
仮面ライダー生誕50周年記念作品「仮面ライダーリバイス」や「みなと商事コインランドリー」で、初々しい演技を見せた俳優の奥智哉(18)が、12月9日に公開された映画「ラーゲリより愛を込めて」でスクリーンデビューを果たした。嵐の二宮和也と北川景子の息子役という設定に「撮影前は、自分に務まるか心配だった」と明かしたが、間近で見たSexy Zoneの中島健人ら共演者の演技に触発されたと振り返る。
「ラーゲリより愛を込めて」で二宮和也、北川景子の息子役熱演
仮面ライダー生誕50周年記念作品「仮面ライダーリバイス」や「みなと商事コインランドリー」で、初々しい演技を見せた俳優の奥智哉(18)が、12月9日に公開された映画「ラーゲリより愛を込めて」でスクリーンデビューを果たした。嵐の二宮和也と北川景子の息子役という設定に「撮影前は、自分に務まるか心配だった」と明かしたが、間近で見たSexy Zoneの中島健人ら共演者の演技に触発されたと振り返る。
映画は辺見じゅんのノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」が原作。書籍には、第二次世界大戦後にソビエト連邦(ソ連)によって、シベリアなどの強制収容所に労働者として不当に抑留された実在の人物・山本幡男(二宮)が、仲間に生きることへの希望を唱え、励まし続ける姿が描かれている。奥は幡男の長男・顕一役を務めた。
「シベリア抑留と言う史実をもとにした映画。『糸』などを手掛けた瀬々敬久監督の作品に出演が決まったときは、『いまの自分に出来るだろうか』と不安でした。主演の二宮和也さん、北川景子さんの息子役と言う設定も重責だなと感じていました」
1年間を通して撮影を行ったドラマ「仮面ライダーリバイス」などの経験はあったが、劇場映画への参加は初めて。教科書で学んだ「シベリア抑留」を知るために、資料館などにも出向いたという。
「戦後に起きた悲劇を取り上げていることもあり、シリアスな空気の現場でしたが、共演者の方とは笑いもあり、和やかな雰囲気で臨んでいました。このカットはここで撮るなど細かく決まっていて、ドラマと違う独特な感じがありました。抑留について、教科書にはわずかな説明しかなかったため、新宿にある平和祈念展示資料館に出向いて当時の様子などを学びました。ラーゲリの模型や、抑留者が来ていた衣服、施設内で上映されている証言映像を目にして、想像していたよりも、苦しいことが起きていたこと。人間性を否定されていた環境だったと知りました」
撮影が進む中、2022年2月にロシアによるウクライナへの侵攻が始まった。
「これまで歴史については、『昔起きたこと』などどこか人ごとのような感覚がありました。僕ら10代は、戦争体験をしている親族がいても、ひいひいおばあちゃんとか、直接言葉を交わしていないことが少なくなくて。知る機会が少ないから、興味を持てない人も多いと思うんです。テストで点を取るために勉強しているというか。でもいまの社会情勢を見ると、シベリア抑留は決して他人事ではないですよね。いまだから深く知ってほしいという思いが生まれました」
現在、18歳の奥。家族で戦争について話した経験はあるのだろうか。
「父方の祖母の父親。ひいひいおじいちゃんにあたる方が、沖縄戦で犠牲になったということを聞いたことがありました。学校の授業では中学生の時に、先生が沖縄戦の映像を見せてくれたことがあり、恐ろしいと感じました」
強制労働を強いられ、自由な思想を持つことも許されないラーゲリの中で、劇中の父・幡男は、前向きに生きた。
「父が子どもたちにとしたためた手紙の中に、『人の世話にはならず、人に対する世話は進んでせよ』。大切にすることは『道義』、『誠(まこと)』、『真心』という言葉がありました。僕が演じた顕一さんも、この言葉に支えられたそうです。僕自身もそう生きたいと感じました」
北川景子は「本当の母のような親しみやすさがありました」
映画では母親役の北川、父とラーゲリでの生活を共に過ごす安田顕、松坂桃李、桐谷健太らと撮影を共にした。
「北川さんはおしとやかな印象がありましたが、おちゃめな方で、本当の母のような親しみやすさがありました。安田さんは、僕が過去に出演させていただいたドラマ『きよしこ』で主演を務められていたのですが、当時は共演シーンがなかったので、ご一緒出来てうれしかったです。演技を間近で拝見することができ、とても勉強になりました。松坂さんは今作でナレーションも務めているのですが、心にスッと入って来る声で伝える力のすごさに驚きました。桐谷さんは、立っている姿が軍曹のように厳格で、見た瞬間に『相沢(桐谷の役名)がいる』と感じました」
中でも2日をかけて撮影した中島とのシーンは、印象に残っている。
「中島さんとの場面は、出来るだろうかと、張りつめて構えてしまっていました。失敗できないと自分を追い込んでしまっていたんです。でも、中島さんが全身で感情をぶつけるお芝居を目の前で見せて下さったことで、重荷が取れました。涙を流す場面などでは、過去の自分の経験を思い出して、泣く方もいらっしゃいますが、僕はそうではなくて、その役としてちゃんと心が動かないと泣くことが出来なくて……。だから中島さんが全力で演技をする姿を見て、自分の感情が大きく揺さぶられたことで安心して、演技をすることが出来ました。とても感謝しています」
撮影中、心細くなったときには、「♪涙のあとには 笑いがあるはずさ」と歌うエレファントカシマシの「悲しみの果て」を聴き自分を鼓舞したという。初めての劇場作品。エンドロールに自分の名前を見つけたときは「うれしかった」と語るが、「未熟さも知った」と俳優としての自覚が増した。新しい目標も生まれたと話す。
「クランクアップの後、瀬々監督と少し話す時間がありました。反省が多いと伝えたら、『2年目なんだから、まだまだ』とお言葉をいただきました……。完成した映画を観た時は、もっとリラックスしてできたら良かったのになと、反省がたくさんありました。僕の演技は、まだまだ未熟。もっと色々な経験をして自分を磨いて、いつか瀬々監督の作品で、主演を務めることができるようになりたいです」
演じた顕一と同じように、奥自身も実父からもらった言葉を大切にしている。
「父からは『俳優として、意識を高く持って仕事に取り組むように』といつも言われています。自分で選んだ道なので、目標を持って突き進んでいきたいです」
■奥智哉(おく・ともや) 2004年7月18日、神奈川県生まれ。2020年、Netflixオリジナルドラマ「Followers」で俳優デビュー。近年の出演作にドラマ「きよしこ」、「仮面ライダーリバイス」、「みなと商事コインランドリー」などがある。特技は空手とバドミントン。