ゴミ放置、違法駐車、不法侵入…釣りブームの裏で起きているマナー問題 釣り場閉鎖も

コロナ禍でも密にならないレジャーとして人気の釣り。一方で新規参入者が増えることで釣り人へのマナー啓発の必要性も高まっている。一般社団法人日本釣用品工業会の櫻井孝行常任理事に、釣りマナーの現状と啓発の試みを聞いた。

日本釣用品工業会の櫻井孝行常任理事
日本釣用品工業会の櫻井孝行常任理事

釣り人口の増加によって一部のマナー違反がより目につくように

 コロナ禍でも密にならないレジャーとして人気の釣り。一方で新規参入者が増えることで釣り人へのマナー啓発の必要性も高まっている。一般社団法人日本釣用品工業会の櫻井孝行常任理事に、釣りマナーの現状と啓発の試みを聞いた。

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 日本釣用品工業会は釣り用品メーカーを中心に121社が加盟する業界団体。2013年からは持続可能な釣り環境を構築するための取り組み「LOVE BLUE 事業」を通じて、環境保全や資源回復のための活動を行っている。また、釣りに関連した商品にLOVE BLUE 事業マークを発行、売り上げの一部を水辺の社会貢献事業の財源にあてる取り組みも行っている。

「当団体に加盟しているメーカーの売り上げでは、2019年度から5~8%の伸びがある。コロナ禍で釣り人口は確実に増えていると思います。一方で、新しく釣りを始めた人はマナーを知らなかったり、よく分かっていないまま釣りをしていることもある。あらためてマナーを明確にして、新しく始めた人も以前からやっている人もマナーを守って釣りを楽しんでもらおうと私たち日本釣用品工業会は取り組んでいます」

 実際に釣り場で起きている問題として深刻なのが、ゴミの放置や違法駐車、立ち入り禁止区域への侵入だ。空き缶やペットボトル、釣糸やエサなどが放置されたままになっていたり、釣り人が漁港や近くのコンビニに勝手に車を停めることで、本来の業者が車を停められない、入ってはいけないところで釣りをして事故に遭うなどの問題が全国各地で起こっている。一部のマナーの悪い人間によってこうした問題が頻発することで、最終的に釣り場を閉鎖せざるを得ないというケースもあるという。

「多くの人はちゃんとマナーを守っているが、よく知らないまま釣りをしている人も多い。業界全体でマナーが低下しているというより、釣り人口の増加によって一部のマナー違反がより目につくようになったということです。マナーをよく知らない人にも知ってもらうような取り組みをしないと、釣り人全体のイメージが悪化してしまう」

 日本釣用品工業会では、安全第一、ゴミの持ち帰りの徹底、立ち入り禁止区域へは入らない、違法駐車、無断駐車をしないなど、基本的なマナーについて啓発。意外にも大切なのは釣り場でお互いに声をかけ合うことだという。

「釣りでもあいさつは大事。ちょっと一声かけることでトラブルになるのを防止したり、逆に有益な釣りの情報などのアドバイスも得られたりする。また、人に見られていると思うとポイ捨てなどの悪いことはしづらくなるもの。安全のためにも、トラブルを避けるためにも、釣果のためにも積極的にあいさつをしてほしい」

 近年、さまざまな趣味において、一部のマナー違反がそれに関わる人全員のイメージを悪化させるという状況が起こっている。釣りのイメージ向上のためにも、釣り人同士による自浄作用が求められている。

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