子育て世帯の所得制限を巡り“離婚危機” 年収3000万円男性の悲痛な訴えが波紋
今年10月、改正児童手当法が施行され、年収960万円以上は児童手当の代わりに一律5000円の特例給付、年収1200万円以上は支給なしなど、新たに養育者の年収によって限度額が設けられた。ネット上では「子どもへの支援なのに親の年収で差をつけるのはおかしい」「そんなに少子化を進めたいのか」と批判の声も根強い。そんななか、所得制限について説明したところ、外国人の妻から出産を機に離婚を切り出されたという男性の投稿がSNS上で話題を呼んでいる。なぜ新婚の妻から離婚を提案されたのか。投稿者の新居和樹(@kazki_arhai)さんに、投稿の経緯を聞いた。
所得制限について説明したところ、外国人の妻が“ペーパー離婚”を提案
今年10月、改正児童手当法が施行され、年収960万円以上は児童手当の代わりに一律5000円の特例給付、年収1200万円以上は支給なしなど、新たに養育者の年収によって限度額が設けられた。ネット上では「子どもへの支援なのに親の年収で差をつけるのはおかしい」「そんなに少子化を進めたいのか」と批判の声も根強い。そんななか、所得制限について説明したところ、外国人の妻から出産を機に離婚を切り出されたという男性の投稿がSNS上で話題を呼んでいる。なぜ新婚の妻から離婚を提案されたのか。投稿者の新居和樹(@kazki_arhai)さんに、投稿の経緯を聞いた。
「【悲報】日本の子育て世帯の所得制限について説明したところ、妻に離婚を切り出されました」。11月下旬に新居さんが行った投稿には、1000件近いリツイートと約1万件のいいねが寄せられている。別の投稿では「子育て世帯への所得制限酷過ぎない? 児童手当は貰えない、保育料は月88,400円と高額で、高校無償化の恩恵も受けれない。育児休業給付金も上限が低く、月の手取りは平均的な世帯の25%減と違って80%以上も悪化する。子供1人育てるのに600万円以上高くなる上に育休も取りにくいとか流石にこれは酷いだろ」と思いの丈を打ち明けている。
投稿者の新居さんは大手外資系企業に勤務。社会人1年目は年収400万円ほどだったものの、海外転勤や2度の転職を経て徐々に収入を伸ばし、現在は勤務先の譲渡制限付株式報酬(RSU)の円安によるインフレもあって年収3000万円ほどの収入があるという。海外転勤していたこともあって、昨年知り合った欧州出身の女性と今年入籍。長女を授かり、現在は育休を取って都内の自宅マンションで生活しているが、日本の子育て支援の所得制限について説明すると妻から子どもの権利が奪われるのはおかしいと“ペーパー離婚”を切り出されたという。
「子育てにほとんどお金がかからず支援が手厚い妻の母国と比べて、日本はあまりにも自己負担額が大きい。『なぜ日本は少子化なのに子育てにお金を割かないのか理由がわからないし、離婚した方が得ならそうした方がいいのではないか?』と妻に提案され、合理的に考えたら『そりゃそうだよね』と。住宅ローンを夫婦のペアローンで組んでいたり、海外転勤の際にビザの取得が難しくなったり、制度目当ての離婚は行政から処罰の対象になる点など、現実的にはペーパー離婚は選択しづらいと説得して離婚はひとまず先延ばしになっている状況です」
一連の投稿には「努力して収入をあげた高額納税者ばかりが損をする政策はおかしい」「私も旦那と離婚した方が良くない?って結論に至りました」「離婚した方が得という制度を国が出してる限り、検討が加速しそう」など共感の声が多数寄せられた一方で、「それだけ年収があったら支援がなくても困らないだろ」との率直な指摘もある。
「困るかどうかより、納得できるかどうかです。高所得者が子どもを産むと懲罰的にお金が取られるのはおかしいと思います。本来子どもを生めるはずの人たちが生むのをためらうような政策には反対です」
投稿は想像以上に反響があり、子育て世帯が抱えている不満をあらためて実感したという。「治安の良さや食べ物のおいしさは大きな魅力ですが、子育てや教育という面では日本にいるメリットはあまりないのでは」と新居さん。少子化に歯止めをかけるため、そして優秀な人材を流出させないためにも、理にかなった子育て支援の在り方が求められている。