米国コロナ禍で起きた“悲劇” 集中治療室の医師が子どもへの感染リスクを理由に親権を失う

感染者、死者の数がともに最多となり新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するアメリカで新型コロナの影響で最前線で医療を行う医師が「親権を失う」というショッキングな出来事が起きた。

マイアミの緊急治療室の医師が親権を失う“悲劇”(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
マイアミの緊急治療室の医師が親権を失う“悲劇”(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

グリーン医師は判決を不服として控訴する意向

 感染者、死者の数がともに最多となり新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するアメリカで新型コロナの影響で最前線で医療を行う医師が「親権を失う」というショッキングな出来事が起きた。

 米テレビ局「CNN」電子版は13日(日本時間14日)、「新型コロナウイルスの懸念により、緊急治療室の医師が娘の親権を失う」と新型コロナウイルスの治療にあたるマイアミの緊急治療室のテレサ・グリーン医師が4歳の娘の親権を一時的に失ったことを報じている。

 グリーン医師は約2年前に夫と離婚し、平等に娘との時間を確保していた。しかし、先週、娘への感染リスクを恐れた元夫の訴えにより、巡回区控訴裁判所のバーナード・シャピロ裁判官は「新型コロナウイルスの感染リスクを抑えるため、子どもが父であるエリック・グリーンさんと過ごすべきだ」との判決を下した。

 シャピロ裁判官は「フロリダにおける新型コロナウイルスの感染拡大を考慮すると、子どもの最善の利益と健康を守るためには、一時的にこの命令を下さなければなりません」と判決理由を説明。一時的にグリーン医師が親権を失うとした。

 しかし、グリーン医師は「フェアではありません。子どもか医師としての使命かを選ばせるなんて残酷です。私は職場のチームと患者を見捨てませんが、苦しいです」とコメントし、控訴する意向を示した。さらに「私が結婚していたのなら、子どもがいる家に帰ることができたはずです。その場合、誰にも私にそうするなと言えません」と話し、この判決が離婚した親への差別だとしてグリーン医師は憤慨している。

 一方で元夫エリック・グリーンさんの弁護士は「(エリック・)グリーンさんと私は、このパンデミックの中で重要な職務を全うする(テレサ・)グリーン医師に最大限の敬意を表しています。この件はこの家族の具体的な事実を基に争われ、新型コロナウイルスによる一時的な状況に限定し、子どもの最善の利益と健康を基に判決が下されました。グリーン医師はこの困難な状況下で子どもと会えなかった時間を将来的に埋め合わせることができますし、日々テレビ電話で話すこともできます。この複雑な状況を解決する方法を探り続け、安全で公平な結果にたどり着けると考えています」と声明を発表。

 これに対しても、グリーン医師は「娘には大きくなった時、私が医療の道に進んだ時に誓った使命を全うしたことを誇りに思ってもらいたいですが、娘は私を必要としています」と判決を不服としている。さらに、「パンデミックがいつ終息するのか分からないため、次にいつ娘に会えるのか分からない」と語った。

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