“男子禁制”女性ドライバーの祭典、人気のワケ 愛車と歩くランウェイに華やかドレスアップ

6回目を迎える「ガールズカーコレクション」(GCC)が11日に甲府市のアイメッセ山梨で行われる。女性ドライバー限定かつドレスアップした姿でレッドカーペットの横を愛車と歩くファッションショーさながらの華やかなイベントだ。今年は40台が参加を予定。参加者同士の投票で決まるグランプリなど「ガールズカーアワード」の発表もあり、回数を重ねるごとに反響が拡大している。代表のNAOさんに、設立のきっかけと将来の展望を聞いた。

2021年の「ガールズカーコレクション」【写真:NAOさん提供】
2021年の「ガールズカーコレクション」【写真:NAOさん提供】

今年のドレスコードは「ニット」 40台集結

 6回目を迎える「ガールズカーコレクション」(GCC)が11日に甲府市のアイメッセ山梨で行われる。女性ドライバー限定かつドレスアップした姿でレッドカーペットの横を愛車と歩くファッションショーさながらの華やかなイベントだ。今年は40台が参加を予定。参加者同士の投票で決まるグランプリなど「ガールズカーアワード」の発表もあり、回数を重ねるごとに反響が拡大している。代表のNAOさんに、設立のきっかけと将来の展望を聞いた。(取材・文=水沼一夫)

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 NAOさんが初めてGCC(前身は東京ガールズカーコレクション)を開催したのは2017年だった。

「車業界ってまだまだ男性社会だなという部分があって、車のイベントでも女性のみのイベントというのは全くなかったんですね。車女子のつながりを作れたらいいなって免許を取ったときからずっと思っていて、でも、やっぱり若いときは自分自身に力もないし、情報を広げるすべも知らない。今はYouTubeやツイッター、インスタとかいろいろメディアがあって、イベントにしてみようかなと思ったのがきっかけです。車女子のリアルな場所、そこでスポットライト浴びて自分が一番輝ける1年に一度の時間を作ってもいいかなと。私が絶対あったらうれしいなというものを実現したという形ですね(笑い)」

 18歳で免許を取り、仲間とツーリングしながら親睦を深める車女子会を開いてきた。

「本当にパーキングのカフェスペースに集まってお茶をしながら車の話とか美容についてとかファッションについてとかお話をしていたんですね。それは常時10台ぐらい。最後横浜で開催したときは、25台くらいで結構遠くの方からも集まって、山梨県とか長野県とか愛知県から来てくれました。でも、本当にしゃべって2時間後に解散。何もなくてじゃあねじゃちょっと寂しいなというのもあってイベントを具現化しました」

 記念すべき第1回の開催場所は秋葉原のUDXの地下駐車場。30台が集まった。

 他の車イベントとは異なるのは、なんといっても華やかさ。毎回ドレスコードが決められ、愛車と歩くランウェイでは、日常では味わえないスポットライトを浴びる。ドレスコードもあり、それぞれの服装にも注目が集まる。今年は「ニット」で、これまでは「めがね」「デニム」「星のマーク」「赤」などがあった。「今回は冬なので、女の子がニットを着ていたら最高にかわいいなと思ってニットにしました。ニットはアクセサリーや小物でもいいですし、もう本当に身近にあるもので、あまり高価なものじゃなくていい」とのことだ。

 ランウェイでは、MCのNAOさんが事前に提出された自己紹介文を参考に、トークで盛り上げる。その後、車から降りてポージングを決め、1人ずつプロカメラマンに撮影してもらう。自身と愛車がモデルになる最高の瞬間だ。車種は問わず、ノーマル車も大歓迎。男子禁制だが、人数制限はあるものの、彼氏や夫、息子に限って同乗して来場することが可能となっている。一部の撮影などは女子だけで行うケースもある。

 撮影メインだけに、会場は室内にこだわっている。18年の第2回開催は、箱根の屋外で行ったが、天候に悩まされた反省があった。

「もう強風で嵐だったんですよ。おしゃれをしているのに強風でスカートがひらひらとか髪の毛崩れるという心配があったので、3回目からはずっと室内で開催しています」

 とはいえ、これだけの台数を置ける屋根つきの会場は限られる。今年もNAOさんは会場探しに奔走した。都内でも候補はあったが、「入り口の段差とか屋上に上がっていくスロープがきついと、車高が低い車は下をすっちゃう。もう何十か所も下見に行ったんですけど、結局車が入れなくて断念しました」。山梨の会場は初めてで、地元の業者に呼びかけて、キッチンカーも登場する予定だ。

従来のカーイベントにはない華やかさ【写真:NAOさん提供】
従来のカーイベントにはない華やかさ【写真:NAOさん提供】

実はアムラー NAOさんの衣装も見どころの1つ

 GCCという形で門戸を広げ、参加者は拡大した。例年秋ごろの開催だが、エントリーの締め切りを待たずして台数の枠が埋まり、キャンセル待ちが当たり前となった。「車を動かすイベントなのでパンパンに敷き詰めちゃうと車が動かせなかったりランウェイができないので、ちょっと余力を持っているんですね」

 当日は女子オーナー同士につながりが生まれ、イベントの目的が達成されているとNAOさんは言う。

「今や関東だけじゃなくて、遠くは東北や九州の子もいたりとか、すごい輪が広がったというか、車女子っていっぱいいるじゃんというのが分かりました。あとはやっぱりみんなに聞くと、周りに車が好きな女の子の友達がいなかったのでここに参加しましたという子が多かったので、それは一番うれしいことですね。そういうお友達が1年に1回ここに来て、また来年ねと言って帰っていくんですね。その姿を見てうれしいなと思っています」

 毎回、新規参加者は半分ほど。「会ったことがないのでどんな子が来るのかなと私も楽しみです」とNAOさんも出会いを心待ちにしている。オーナー同士のコミュニケーションタイムもあり、交流を深めることができる。

 閉会式では、「グランプリ」「NAO賞」などの表彰も。車と女性オーナー、どちらかで判断するのではなく、トータルコーディネートで総合評価されるのが特徴だ。毎年同じ車であっても、賞に選ばれる可能性がある。ほかに企業からの協賛品も配られるが、「女の子たち全員にプレゼントを用意してくれたりとか、すごいそれが豪華で……」とNAOさんは感謝しきりだ。

 企画の面白さから、SNSで話題になることもしばしば。NAOさん自身、テレビ番組のリポーターを務めたり、TBS系「マツコの知らない世界」に出演したこともある。実は安室奈美恵のデビュー前からのファンで、自他ともに認めるアムラーだ。ランウェイではNAOさんのファッションも見どころの1つで、「どうしても、ステージに出る=自分の一番好きな格好がアムラーなんでしょうね」と笑顔。今回の衣装も自ら手作りしたという。

GCCの将来とは? 「海外でもアピールできたら」

 最近ではGCCとして、他のイベントにも参加するようになった。

「最初は女の子にスポットを当てただけだったんですけど、第2回開催時に心情の変化がありました。車業界が盛り上がってもらわないと、私たちの車を見てもらうところがなくなったりとかパーツがなくなってしまったりとか、そのことに危機感を覚えたりもするんですね。メーカーさんからお声をかけていただくことも多くなりましたし、イベントに来てくださいと言われて参加させていただくこともあります」

 いずれは、海外の女性オーナーも交えてGCCを大きくしていきたい気持ちもある。前身の「東京ガールズカーコレクション」から「東京」を取ったのもそうした願いを込めたからだった。

「東京だけに限っているように聞こえてしまったり、東京でしか開催しないんですか? と質問もあったので東京を外しました。私の中でも東京に限らず各地でも開催したいし、ゆくゆくはワールドワイドな感じで海外でも日本の女の子の車カルチャーをアピールできたらいいなと思っています」

 始まりはSNSでも、それだけで終わらないのが、車女子イベントの魅力とNAOさんは言う。

「SNSが発達して知り合いができやすい環境にはなっていると思うんですけど、車はリアルにあるものなので、ドライブしたり、パーティーみたいな感じで参加してもらえたらうれしいです。そして一番は、すごく楽しんでいただけたらなと。イベントも盛り上がりますし、楽しいところに人は集まると思います」と結んだ。

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