斎藤工、深田晃司監督らが呼びかけたミニシアター基金、目標1億に対して初日で6000万

閉館の危機にさらされている全国のミニシアターを守るため、深田晃司監督、濱口竜介監督が立ち上げたプロジェクト「ミニシアター・エイド基金(Mini-Theater AID)」のキックオフイベントが13日、YouTubeで配信され、開始1日目の14日夕方までに6000万円以上を集めた。また、政府に対して、ミニシアター救済を求める、#SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクトは14日24時を区切りとして署名活動を展開中だ。

YouTubeで配信された「ミニシアター・エイド基金」のキックオフイベント
YouTubeで配信された「ミニシアター・エイド基金」のキックオフイベント

「休館が3か月続けば、閉館になる」ミニシアター・エイド基金会見で聞こえた悲鳴

 閉館の危機にさらされている全国のミニシアターを守るため、深田晃司監督、濱口竜介監督が立ち上げたプロジェクト「ミニシアター・エイド基金(Mini-Theater AID)」のキックオフイベントが13日、YouTubeで配信され、開始1日目の14日夕方までに6000万円以上を集めた。また、政府に対して、ミニシアター救済を求める、#SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクトは14日24時を区切りとして署名活動を展開中だ。

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 「淵に立つ」の深田監督、「寝ても覚めても」の濱口監督、俳優・映画監督の斎藤工、女優の渡辺真起子らが出演し、全国のミニシアターの劇場支配人も現状を報告し、ミニシアターへの支援を呼びかけた。

 新型コロナの感染拡大によって、7都府県には緊急事態宣言が発令され、政府からの外出自粛要請が続く中、閉館の危機にさらされているミニシアター。劇場関係者の声は悲痛そのものだった。

 若松孝二監督が開館した名古屋の「シネマスコーレ」(51席)の名物副支配人の坪井篤史さんは「休館が3カ月続けば、シネマスコーレは閉館になる」と現状を訴えた。その後のツイッターでも、「大袈裟に伝えたのではなく真実です。すでに最悪のシナリオは始まっており、僕を始め当館スタッフはどれだけ最悪の結果を回避できるか。緩和できるか。毎日真剣勝負です。映画館絶対残したいから」と書いている。

 京都の出町座は2スクリーン(42席、48席)と1階には書店、カフェを併設する複合映画館。既にクラウドファンディングでは、未来映画券、未来図書券などを販売し、当座の資金を調達しようとしている。田中誠一さんは「ロックダウンしたヨーロッパで、そういった取り組みをしているのを知って、やりましたが、突貫工事でした」と振り返る。

 大阪の「シネ・ヌーヴォ」(69席)の支配人の山崎紀子さんは「3月の末から急激にドンと落ちてしまって、4月3日に史上最低の売り上げが出てしまった。これが続くと、持たない。ものすごい危機感を覚えました。それでも、どうしていいかわからない状態の中、今後決まっていた上映作品がどんどん延期になっていく。上映を続けても、隙間だらけのスケジュールになってしまう。考えあぐねていたところに、緊急事態宣言が出てしまった。スタッフの中でも、危険の中でお客さんに映画を観てもらってはいけないという声が出て、休館を決断しました」と話した。

 京阪神地区のミニシアターなど13館は共同プロジェクトを展開し、「Save our local cinemas」と題して、関西劇場の応援をするTシャツを販売。4月6日~12日までの期間限定でTシャツを販売し、その売り上げを各劇場で均等に分けることにしている。その売り上げによって、「なんとか、寿命が1カ月半は延びた」と山崎さんは話す。

 4月16日、複合施設「新風館」の地下1階にオープンを予定していたミニシアター・コンプレックスの「アップリンク京都」(4スクリーン、計215席)はコロナのため、オープン日を5月21日に変更。賃料は留保してもらっているものの、スタッフ30名の休業補償が必要だ。アップリンク代表の浅井隆さんは「全国のミニシアターはどこも厳しいと思う。ただ、これはカフェ、飲食店、ライブハウス、音楽系の人、風俗の店、ホステスだって、みんな厳しい状況。オンラインで映画を観るのも面白いんじゃないかと発見した人もいるかもしれないけど、もう一回、今年のお正月とかのことを思い出してもらいたい。映画館で観る面白さは、どんなにネットメディアが発達しても、ストリーミングの技術が発達しても、絶対なくならないはず」と訴えた。

 広島の「シネマ尾道」(112席)ではコロナ対策を講じながら、営業を続けているが、動員は激減している。河本清順支配人は「2~3月はまだギリギリやっていけるかなという状況だったのですが、4月に入って急激にお客さんの姿が見えなくなった。特に、お年寄りの方がいらっしゃらなくなった。この方々が映画館に来ていただけないと、やってはいけない。ひどい時は1日上映して、1人ということもあった。日々どうしようかと考えていますが、答えが見つからない……」と話す。シネマ尾道では、「シネマ尾道友の会」(年間会員1万2000円)の加入を呼びかけ、新規に50口近くが集まったという。

 大分の「シネマ5」(74席)、「シネマ5bis」(168席)も同様だ。全国のミニシアターや映画祭が参加する「コミュニティシネマセンター」の代表理事を務める田井肇さんは「休館は頭の中にはないですが、ほぼ無観客上映になりそうな状況です。映画館は3密とは言えない空間でも、途中の交通機関は……ということを考えると、来たくても来られない方々がかなりの数いらっしゃるんじゃないかと思っています。そういうことを考えると、休館は選択肢にならざるを得ないのかなと思っています」と話した。

 ミニシアター・エイド基金は「モーションギャラリー」内で目標1億円を掲げて、ファンドを募集中。期間は1か月としているが、既に6000万円以上が集まっている。

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