11月28日午後9時1分に敗血症のため、61歳で亡くなった渡辺徹さんの妻でタレントの榊原郁恵（63）と長男で俳優の渡辺裕太（33）が5日、東京・目黒のホリプロで会見した。2人は、渡辺さんがこの日、荼毘（だび）に付されたことを明かし、昨年7月に撮られた遺影を前に故人の思い出を語った。

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　郁恵と裕太はともに喪服で会場入りし、取材陣に深々と頭を下げた。

　裕太は「本日はありがとうございます。本日、家族葬を執り行いました。皆さま、ありがとうございました」とあいさつし、郁恵も「足元が悪い中、サッカーで盛り上がっている中、集まっていただき、家族としてはとてもうれしいです。家族は、こういう中でも渡辺のことを話題にしてもらい、『渡辺徹は偉大だったんだな』と受け止めました。諸先輩、お仲間、後輩、私たち以上に愛してくださった皆さまには、この場をお借りしてお詫びしたいと思います」と頭を下げた。

　会見で2人は終始、涙なしで明るく振る舞った。郁恵は「もう、制限はないから」と棺の中に山盛りのご飯を入れたことも明かした。35分におよぶ会見の最後には、渡辺さんの大ヒット曲「約束」（1982年）が流れた。

「♪サヨナラさ　グッバイ　マイシスター」

　そして、同曲が流れていた江崎グリコ「アーモンドチョコレート」のCMで渡辺さんが、小泉今日子と披露していたチョコをかじって右手でポーズを決める姿も、2人でマネてみせた。

　亡くなるまでの経緯は、郁恵が説明した。19日、渡辺がふらついていることに次男が気づき、救急車を呼んだ。その際、郁恵は「いつものように雑に送り出しました」と明かした。理由は、前日までは元気だったからだという。

　入院後は、郁恵、裕太は仕事を続けながら、病院に通っていた。病状が悪くなり、「覚悟を決めなければ」と思いながらも、「話しかけると反応がありましたし、不死鳥のような人ですから、最後の最後まで希望を持とうとしていました」と振り返った。

「ただ、仕事には専念しないといけない。弱っていく姿を見て、先生に裕太が来る日を伝えると、先生は『持たせましょう』と言ってくださいました。なので、私たちが来るまで主人は待ってくれました」

　郁恵は、家族葬の様子も語った。

「祭壇をバックに写真を撮ったときは、みんな笑顔でした。これからも思い出す度に、泣き笑いでいたいです。それが主人の狙いなんですけどね。私たち家族は『お父さんは何て言うだろうね』が合言葉なのですし、みなさんも『バカだったよね』『マヨネーズ好きだったよね』とか、思い出してほしいです」

　発表によると、渡辺さんは11月20日に発熱、腹痛などの症状が出たため都内病院を受診。細菌性胃腸炎の診断を受け、入院に至った。その後に敗血症と診断され、28日午後9時1分に逝去した。葬儀はこの日、家族葬にて執り行われ、喪主は裕太が務めた。後日、「お別れの会」を予定している。

　渡辺さんは、1980年に文学座付属演劇研究所に入所し、81年に日本テレビ系「太陽にほえろ！」でデビュー。ラガー刑事役を演じ、アイドル的人気を得た。翌82年に「彼（ライバル）」で歌手デビューを飾り、同年のグリコ「アーモンドチョコレート」のCM曲「約束」を大ヒットさせた。 87年10月、日本テレビ系ドラマ「風の中のあいつ」「気になるあいつ」で共演した榊原と結婚。89年に裕太、96年に次男が誕生。おしどり夫婦として知られる2人は昨年、「いい夫婦パートナー・オブ・ザ・イヤー2021」を受賞していた。

　デビュー当時、渡辺さんの体重は69キロだったという。だが、大食漢で1日6食のときもあったという。郁恵と結婚した当時がピークで約130キロ。しかし、30歳の91年に急性糖尿病を発症。その後は、急激なダイエットとリバウンドを繰り返し、2012年には虚血性心疾患で6時間におよぶ手術を受けた。13年には急性膵炎（すいえん）で入院。21年5月には大動脈弁狭窄（きょうさく）症で手術を受けていた。