八村塁のNBA入りに一役買った リアルさ追求バスケゲームの制作背景とは
米プロバスケットボールNBAで日本人初のドラフト1巡目指名を受けた大型新人が、ゲームの世界でも歴史を刻んだ。ウィザーズに所属する八村塁選手(21)が、NBA公認バスケットボールゲームシリーズ最新作「NBA 2K20」の日本オフィシャルアンバサダーに就任し、選手キャラクターとして登場することになった。八村選手は小さいころから同作をプレーしてきたことで競技の技術向上につながったといい、ゲーム活用の可能性が広がりそうだ。
NBA公認バスケットボールゲーム最新作「NBA 2K20」 「リアル性で高揚感」をもたらす
NBAで日本人初のドラフト1巡目指名を受けた大型新人が、ゲームの世界でも新たな歴史を刻んだ。ウィザーズに所属する八村塁選手(21)が、NBA公認バスケゲームシリーズ最新作「NBA 2K20」の日本オフィシャルアンバサダーに就任し、選手キャラクターとして登場することになった。八村選手は小さいころから同作をプレーしてきたことで競技の技術向上につながったといい、ゲーム活用の可能性が広がりそうだ。
8月15日に都内で開かれたアンバサダー発表会のイベント。前日に行われた日本代表戦の疲労を感じさせない八村選手は「ドラフトで選ばれたときぐらいうれしい。いつか(同作に)出られたらいいと思っていた」と話した。バスケを始めた13歳ぐらいのとき、ゲームタイトルで言うと「NBA 2K11」から同作に親しんでいるといい、感慨もひとしおの様子だった。
「NBA 2K」は世界で唯一のNBA公認バスケゲームで、1999年に発売開始。全世界でシリーズ累計の売り上げが9000万本を超える人気を誇る。リアルなグラフィックス、本物の試合さながらの臨場感が特長だ。9月6日に発売される最新作「NBA 2K20」は、オフェンス操作やドリブル操作を向上させ、スクリーンプレーやフェイントなどNBAの選手が見せるようなディフェンス技術をより忠実に再現。8月15日に都内で行われたプレゼンテーションに参加した「2Kアジア」のアソシエイトマーケティングマネジャーを務めるローハン・イシュワーラル氏は「ゲームのリアル性で高揚感を味わっていただける」と強調する。
リアリティーの追求。選手のプレーの特徴だけでなく、表情やボディーランゲージをスキャン。さらにNBAのすべての試合会場で撮影・録画をすることで、ドリブル音やライトの反射具合といった細部まで反映させる徹底ぶりだ。今回の最新作は実際に八村選手の顔や体をスキャン。イシュワーラル氏はリアルさの再現手法について、「私どもはNBAのトップルーキーが入ってくると必ず注目する。『ピクセルガン』という技術を使用しており、数百のピクセルガンを用いて、プレーをしている選手やそのときの表情、実際の動きをいろいろな角度からとらえて再現していく。八村選手の素晴らしいダンクシュートもたくさん画像を集めて再現している」と力を込めた。
八村選手は“完全コピー”されたゲーム内の自身のプレースタイルを目の当たりにして、「最高ですね。僕の仕草とかシュートタッチも全部、僕そのままだったので、見ていて不思議でした」と驚きを語った。
現実に限りなく近いリアルさがもたらすものは、遊びの楽しさにとどまらない。ゲームを活用した競技のレベルアップにもつながる。最新の選手データが反映・更新されるため、現役のNBA選手が試合に向けたシミュレーションとして使用する例もあるという。
イベントではバスケに取り組む子供たちを招いて、八村選手が参加者の1人と「NBA 2K20」で対戦。自分自身にシュートを決められるなどして敗れた八村選手だったが、子供たちにゲーム活用術を伝授した。「ゲームだけをしすぎないでね。ちゃんと体育館にも行って」としながらも、「僕もゲームの技を見てまねをしていた。自分で使ってみると、本当にやっている感じでできる。そういう部分でゲームを使ってやったらバスケがうまくなると思うから楽しんでやろう」と、上達へのアドバイスを送った。
練習の積み重ねとゲームのプレーによる“相乗効果”。これからバスケゲームにも精通する日本人NBA選手が次々と誕生するかもしれない。リアルさを通したスポーツ競技とゲームの融合はさらなる進化が続きそうだ。