ヒロシが大切にする1人の時間「自由奪われるのが苦痛」 ルーツは学生時代の苦い経験

芸人のヒロシ(50)が自身の生まれ故郷である熊本発のキャンプ番組「ヒロシのひとりキャンプのすすめ」(KAB熊本朝日放送)で放送された内容をまとめた初のガイドブック「ヒロシのひとりキャンプのすすめ 公式本」(学研)を11月10日に上梓した。ひとり好きの仲間とのキャンプは「人の邪魔をしないこと」が大切と説明する。

仲間とのキャンプは「相手の邪魔をしないことが大事」と語るヒロシ【写真:ENCOUNT編集部】
仲間とのキャンプは「相手の邪魔をしないことが大事」と語るヒロシ【写真:ENCOUNT編集部】

迎えたばかりの元保護猫が癒やし「キャンプに行くのやめようかな」と思うことも

 芸人のヒロシ(50)が自身の生まれ故郷である熊本発のキャンプ番組「ヒロシのひとりキャンプのすすめ」(KAB熊本朝日放送)で放送された内容をまとめた初のガイドブック「ヒロシのひとりキャンプのすすめ 公式本」(学研)を11月10日に上梓した。ひとり好きの仲間とのキャンプは「人の邪魔をしないこと」が大切と説明する。(取材・文=西村綾乃)

 キャンプ番組「ヒロシのひとりキャンプのすすめ」は、2022年9月時点で、TVer九州・沖縄エリアお気に入り登録1位を記録する人気コンテンツ。ヒロシを中心に、じゅんいちダビッドソン、西村瑞樹(バイきんぐ)など芸人9人で結成した「焚火会」メンバーが、キャンプへの情熱を語っている。

「最初は番組の1コーナーとして、2017年にスタートしたんです。ソロキャンプの人として注目される前でしたから、不定期で。熊本の地上波、深夜放送と言うこともあって、3か月に1回くらいのペースでやっていました。20年の4月に番組から独立して、『全国から観たい!』という声をいただいて、昨年の2月にTVerでの配信が始まりました。書籍には過去に放送した35回の中で、使った全ギア(キャンプ道具)を紹介したり、焚火会のこだわりなどをまとめています」

 ソロの時間を大切にしたい面々。プライベートの時間を共有するときもあるが、そのキャンプの集まり方は特徴的だ。

「いつどこで、という声掛けがあって。行ける人は参加する。来ても仕事があって途中で帰る人もいます。食べるものも、それぞれが食べたいものを持って来て食べる。それぞればらばらだけど、そこにいることは感じていて。困ったことがあれば、助け合える。お互いのことを邪魔しないようにしています」

 個々を尊重したい。その思いは大学時代にした苦い経験から学んだ。

「大学時代に、幼なじみと2人でイギリスとフランスを2週間くらいかけて旅行をしたんです。オレは初めての海外だったけど、行き当たりばったりの旅が好きなので、何も決めずにいたら、幼なじみがガチガチに予定を組んでいたんです。ザ・ビートルズがレコーディングをしていたアビーロード・スタジオなどの観光地を巡って。有名人のお墓がある場所では、幼なじみがさめざめと泣く姿を見て『親類でもないのに』と冷めてしまった……。『次は、大英博物館』と言われて、『オレ、もうイヤだよ』って彼をおいて1日カフェで過ごしたんです。自由を奪われることが苦痛でたまらなくて。予定を決めるか、決めないのか。旅行もキャンプも大きく分けると2つだと思います。オレはどちらも自由になれることが醍醐味だと思うので、決めないことを守りたいと思っています」

猫好きを公言、名付け親はBUCK-TICKの櫻井敦司

 コロナ禍でキャンプ人口も増えた。

「最初はピクニックで良いと思います。好きな場所でのんびりすることが目的だから。カップラーメンだって良い。気合いを入れて肉を焼かなくたって良いんです。ギアも張り切っていろいろ買っても、イヤになったらお金がもったいないから、興味を持って行く段階で買い足して行けば良い。座りたければ、シートを持って行く。泊まりたくなれば、テントを買えば良い」

 リセットすることを目的に始めたソロキャンプ。しかし、注目されたことで、悩みも生まれたという。

「ソロキャンプをする様子を配信している『ヒロシちゃんねる』がおかげさまで話題になり、キャンプ番組が始まるなど、キャンプをすることが仕事になったことで、癒やしがなくなってしまいました。お酒も飲まないですし、息抜きはタバコを吸うことぐらい。キャンプを満喫したいと思って購入した山にもなかなか行かれず、ストレスが溜まっていました」

 そんなヒロシに、うるおいを与えてくれているのが、「敦司」と名付けた猫だ。過去に番組で共演し、猫好きを公言しているBUCK-TICKの櫻井敦司(56)が名付け親だという。

「実は、櫻井さんに『猫を飼うことが決まったら、名前を付けてほしい』とお願いをしたんです。最初は断られたのですが、『敦司でいいんじゃない?』と言ってくださり『敦司』と名付けました。生後4か月ほどの元保護猫です。福岡から新幹線に乗って我が家に連れて来る様子や、暮らしぶりを『ヒロシの自由時間』の中で配信しています」

 猫との日常を公開し始めると、「キャンプの次は、猫で稼ぐのか!」などと誹謗中傷を受けた。

「新しいことを始めると、すぐに文句を言う人が出てきますよね。『金もうけの道具に使って』と言われると腹が立ちますが、怒りがオレの原動力になっています。常に『あいつを見返したい!』と歯を食いしばってきました。もう50歳も過ぎたので、元気に見えても身体はあちこちガタがきていて正直しんどいなって。テレビに出続けたい! という欲もないしストレスは減らしていきたいです。やりたいことをして、それが収入につながればそれで良くて。いまはオレのことを頼ってくれる、あっちゃんとゆっくりした時間を過ごすことができれば良いんです。オレのお腹の上に乗っかって眠っているあっちゃんを見ていると、あっちゃんを置いて出なくてはいけないキャンプにも『行くのやめようかな』って思ったりするときもありますね」

□ヒロシ 1972年1月23日、熊本県荒尾市出身。「ヒロシです」と自虐をつづるネタで2004年に大ブレーク。近年ではソロキャンパー、YouTuberとしても活躍している。「ヒロシのぼっちキャンプ」(BS-TBS)、「ヒロシのひとりキャンプのすすめ」(熊本朝日放送)にレギュラー出演中。趣味であるソロキャンプの動画を配信する「ヒロシちゃんねる(https://www.youtube.com/channel/UC_ak3ZurSDtT3Kv1RFdrgiA)」は、チャンネル登録数が115万人を突破。元保護猫との生活は「ヒロシの自由時間(https://www.youtube.com/channel/UC8m3jsdda_gfcOvyRcpfYpg)」で公開している。

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