国民的美少女から10年―吉本実憂が苦しんだ「清純派女優」の肩書 自ら課した“しばり”

2012年の第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリに輝き、芸能界入りしてから10年を迎えた女優・吉本実憂(25)。現在、恋愛をテーマにしたABEMAの「恋愛ドラマな恋をしたいin NEW YORK」(毎週日曜、午後10時)に出演中だが、節目の年に出演した番組への思いや吉本にとっての理想の恋、女優業に取り組む姿勢を聞いた。すると苦しんできたというある“しばり”から解放された心境も明かしてくれた。

「ドラ恋」に出演中の吉本実憂【写真:ENCOUNT編集部】
「ドラ恋」に出演中の吉本実憂【写真:ENCOUNT編集部】

「恋愛ドラマな恋をしたいin NEW YORK」に出演中 理想の恋も

 2012年の第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリに輝き、芸能界入りしてから10年を迎えた女優・吉本実憂(25)。現在、恋愛をテーマにしたABEMAの「恋愛ドラマな恋をしたいin NEW YORK」(毎週日曜、午後10時)に出演中だが、節目の年に出演した番組への思いや吉本にとっての理想の恋、女優業に取り組む姿勢を聞いた。すると苦しんできたというある“しばり”から解放された心境も明かしてくれた。(取材・文=中野由喜)

「今、出演中の番組は通称『ドラ恋』と言います。よくあります恋愛リアリティーショーではなく、お芝居と恋愛が融合した形になっていて、俳優が本気で恋愛ドラマをやると、その後、リアルな恋に落ちるのかどうかを追っていく番組。本編12話のうち6話が恋愛ドラマ。ドラマは最後にキスをすることが決まっています。ドラマで主役を演じられるのは4組の男女からオーディションで選ばれた1組だけ。俳優の力量を問われますし、恋愛模様も見ることができます」

 初回の放送では吉本がオーディションに落ち、涙を流す場面もあった。

「キャリアの長い俳優が多かったので、より役者としてのプライドや感情が揺さぶられたと思います。今回は素の自分を見せたかったし、私も素の自分を見たかったという思いがありました。6話全部主役を取るくらいの意気込みで臨みましたのでオーディションに落ちたときは、すごく悔しくて本気で泣いてしまいました」

 この作品で見てほしいことを聞くと、意外なある思いを明かした。

「実は清純派女優という肩書があまり得意じゃなかったんです。誰かに言われた肩書ではないですが、自分の中で、ピュアでなければいけないとか、ずっと笑顔でいなければならないとか、自分で勝手に決めたしばりがあって、ずっと苦しんでいました。20歳ぐらいのときに自然体を意識しはじめたら、心身ともに疲れなくなりました。今はありのままの姿を見せられるようになっているのではないかと思います」

 10代半ば芸能界入りし、自ら決めた清純派の肩書。そこから解き放たれ、自然体を意識する最近は周囲から優しく柔らかな人間になったと言われるという。

「お芝居も柔軟に相手の言葉を受け取ったり、感情を受け取ったりできるようになっているはず。それをお見せできる場がなかったのですが、このドラ恋で役者としての力と恋愛と自分の素の部分を初めてお見せできると思っています。とにかく本気で挑みました。見てくださる方が結果的に生きる活力を得てくれたらうれしいです」

 本気で臨んだドラ恋では再確認できたことも多かったという。

「お芝居がとにかく好きだということを再確認しました。目の前のことに本気で向き合う大切さ、一緒に芝居をする相手とちゃんとコミュニケーションを取る大切さも再確認しました。これまで作品への向き合い方や現場での居方に不安を感じることもありましたが、それらを再確認できたことで自信につながりました」

 一緒にドラ恋に臨んだ8人はニューヨークで共同生活をした。そこで得たこともあるという。

「私は基本的に人に何かを相談するようなタイプではないのですが、私のふとした一瞬を見てある人が話しかけてくれたことがあって、それだけで安心したんです。私も逆にそうしようと思いました」

理想の恋を語る吉本実憂【写真:ENCOUNT編集部】
理想の恋を語る吉本実憂【写真:ENCOUNT編集部】

理想のキスシチュエーションはNY「夜のタイムズスクエアがいいですね」

 続いて理想の恋も聞いてみた。

「思っていることを言葉でちゃんと伝えてくれる人がいいですね。うれしいことも悲しいこともちゃんと話してくれて感情を共有してくれる人。私は映画が好きなので作品の話を深くできる人でしょうか。私自身、映画を見て力をもらったりするので、そこも共有できたら楽しい時間をすごせそうな気がします」

 理想のキスのシチュエーションはどうだろう。

「ニューヨークでしょうか(笑)。日本の街中でキスをしたら目立ちますよね。でもニューヨークでキスをしている人を見たらすごくドラマチックに見えたんです。夜のタイムズスクエアがいいですね」

 恋の話から話題を変え、特技のアクションについて聞いた。2年前からアクション監督の坂口拓氏に習っている。練習の映像を見せてもらうと、まるで試合を控えたプロボクサーの本気のスパークリング。気迫に満ちた強烈なパンチを繰り出していた。

「ちゃんと戦う心を持っているのが坂口さんの魅力。坂口さんからアクションをやるなら本当に強くなった方がいいよと言われました。おなかを殴ったとき、内臓もえぐり出し、体の中身まで渦巻くと言われるようなパンチを習得させてもらいました」

 そもそもなぜアクションを習うのか。

「小学校のときには合気道を習っていました。本来、戦うことが好きで負けず嫌いな人間なのだと思います。アクションもお芝居と一緒で心から戦うもの。はまりました。私にとってお芝居をすることと同じです。お芝居は嘘をつくことだと言う人もいますが、私はそうは思っていません。ちゃんと感情を紡いで表現するもの。アクションもなぜ戦うのかという目的や思いがあって戦うもの。それを体現できて見せられたらいいのかなと思っています」

 あらためて吉本にとっての芝居とは何かを聞いた。

「私、今も根本的に自信がないのですが、いつか自分を肯定させてくれるものだと思って取り組んでいます。お芝居をして誰かに届けて、その誰かが前を向いてくれることで自己肯定感につながるかなと思ってやっています。あとは芝居が素直に好き。アクションも同じです。自分が生きていく上で支えになっています」

 芸能生活10年を振り返ってもらい10年後の理想の姿も語ってもらった。

「いろんな人に出会ったし、うれしいこともたくさんありましたが、私の性格上、オーディションに落ちるとか悔しいことを原動力にすることが多かった気がします(笑)。10年後は好きな映画界にとって必要な人間になっていたいです。あの人の作品なら見たいと思われ、製作側からも一緒にやりたいと思われる人に。どんどん成長して日々力を更新していきたいです」

□吉本実憂(よしもと・みゆ)1996年12月28日、福岡県生まれ。2012年の第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞し芸能界入り。14年に放送された読売テレビ制作の日本テレビ系ドラマ「獣医さん、事件ですよ」で女優デビュー。その後も14年放送のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、15年のTBS系「表参道高校合唱部!」など数々の作品に出演。今年も舞台「告白」に出演したほか、短編映画「あの時、長崎。」に主演。「消えない虹」に出演。20年公開の映画「透子のセカイ」で第9回ニース国際映画祭の最優秀外国映画主演女優賞受賞。

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