中村歌昇、二代目吉右衛門さんとのエピソード 「お前、筆持ってこい」と客席で化粧直し
歌舞伎俳優の中村歌昇が、11月29日に都内で行われた「新春浅草歌舞伎」(2023年1月2日~24日)の制作発表会見に出席。21年11月28日に亡くなった歌舞伎俳優で人間国宝の二代目中村吉右衛門さんについて語った。
吉右衛門さんの教え「よく見て、よく学び、よく遊びなさい」
歌舞伎俳優の中村歌昇が、11月29日に都内で行われた「新春浅草歌舞伎」(2023年1月2日~24日)の制作発表会見に出席。21年11月28日に亡くなった歌舞伎俳優で人間国宝の二代目中村吉右衛門さんについて語った。
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歌昇は吉右衛門さんと同じ「播磨屋」の一門。吉右衛門さんの祖父で養父にあたる初代・中村吉右衛門と、歌昇の曽祖父・三代目中村時蔵は兄弟。歌昇は今回の「新春浅草歌舞伎」の夜の部で、「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」の主役・浮世又平を務める。「傾城反魂香」は吉右衛門さんから学んだ演目だという。
歌昇は「浅草歌舞伎はすごく大事な公演。わたくしは7回目で、ずっと播磨屋のおじさま(吉右衛門さん)の教えをいただいて、播磨屋のものを多く手がけさせていただいてきました。」とあいさつ。「おじさまが亡くなって初めての浅草歌舞伎になりますが、今回はおじさまから教えていただいた『傾城反魂香』の又平を務めさせていただきます。個人的な気持ちや感情になってしまいますが、播磨屋のおじさまから教えていただいたものを、今後我々播磨屋のメンバーで引き継いでいくことが使命だと思っていますので、人一倍、一生懸命務め、成果をあげたいなと思っています」と語った。
吉右衛門さんとの思い出を聞かれると、「たくさんのことを教わってきましたが、浅草歌舞伎で教えていただいたもので最後になりましたのは、『絵本太功記(えほんたいこうき)』十段目の『武智光秀(たけちみつひで)』を教えていただいた時」と明かした。
「舞台稽古の際にもおじに来ていただいていて、僕の顔(化粧)が全然よくなかったようで……。おじさまに『お前、筆を持ってこい』と言われて持って行くと、客席でその場で顔を直してくださった」と懐かしんだ。このエピソードについて、「今でもすごく覚えておりまして、『あ、こんなにも太く眉毛を描いていいものなのか!』と思った記憶があります。今でも僕の財産ですし、今後もずっと(その化粧を)継続していきたい」と語った。
また、「いろんなお役がありますが、お役だけにあらず、『お芝居に対しての取り組み方』『役者としてどういう風に生きていくべきか』というものを、たくさん教わってきました」と振り返った。「『よく見て、よく学び、よく遊びなさい』と教えていただいたので、それを自分も守りながら、播磨屋という看板を汚さないように覚悟をもっていきたい」と志を立てた。
「新春浅草歌舞伎」は、浅草のお正月の風物詩として浅草公会堂で40年以上行われてきた公演。“若手歌舞伎俳優の登竜門”として知られている。2015年に尾上松也が座長となり代替わりし、今回はコロナ禍を経て3年ぶりに浅草公会堂で開催される。尾上松也、坂東巳之助、坂東新悟、中村歌昇、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉(かんぎょく)が出演。昼の部と夜の部に分け、「双蝶々曲輪日記 引窓(ふたつちょうちょうくるわにっき ひきまど)」「男女道成寺(めおとどうじょうし)」「傾城反魂香」「連獅子」が上演される。2023年1月2日~24日まで。