日本テレビ系お昼の長寿料理番組「キユーピー3分クッキング」（月～土曜、午前11時45分）が年明けに放送60周年を迎える。「簡単」「便利」「毎日の献立作りに役立つ」をキャッチフレーズにおいしいレシピを届けてきた同番組だが、“還暦”を迎えるにあたり少子化や1人世帯、環境意識の高まりなど時代の流れに応じた変化にも取り組んでいる。スタジオ内のキッチンで次々と出来上がる料理はどれも食欲をそそる。収録の合間に同局コンテンツ制作局の清水真美子プロデューサーが取材に応じた。今回は後編。（取材・文＝鄭孝俊）

――年末から新企画「プラスエコ」をスタートさせると聞きました。どのような取り組みですか。

「1人暮らしや少子化という時代の流れを背景に、番組では10月から1度の料理量をそれまでの4人前から基本2人前に減らしました。エコの観点から作り過ぎない、残さない、捨てない、を念頭に置いています。ただ、煮物や煮込みなど多めに作った方がおいしい料理は作り置きできるよう4人前にすることもあります。実はコロナ禍での収録がなかなか大変で感染予防対策のためスタジオ内に入るスタッフを半分にし、スタジオで準備する料理の量も半分にすることがありました。こうした経験が番組のエコ対策に役立っているのです。

　来年1月21日に放送開始60周年の節目を迎えるのを機に『キユーピー3分クッキング プラスエコ』プロジェクトをスタートします。12月7日から毎週水曜日を『プラスエコ』の日に決めて“エコ”をテーマにしたレシピを紹介します。実施に先立って番組では10月から『プラスエコ』になる料理ポイントをテロップと一緒に画面に出しています。例えば、干ししいたけの戻し汁の利用法や万能ねぎの根元の白い部分も残さず食べる工夫などを紹介しています。玉ねぎの皮を活用したスープも登場する予定です」

――献立はどのように決めていますか。

「実は1週間の献立をよく見ていただくとある違いが分かります。月曜、火曜は多忙でも簡単に作れる炒め物などの料理が多く、木曜、金曜になるに従って手のこんだ料理がラインアップされています。例えば10月の第1週を見ると、3日月曜は豚肉とサツマイモのチリソース炒め、4日火曜はちくわとブロッコリーのチャーハン、6日木曜は肉だんごの和風小松菜あんかけ、7日金曜はジャガイモと鶏肉のガレット。木曜と金曜が割としっかり作り込んでいる料理になっているのは、時間のある週末の土曜や日曜に作る料理の参考にしていただきたいからです」

――アシスタントを務めるアナウンサーの表情も番組の隠し味になっています。

「岩本乃蒼、大町怜央、川畑一志、杉上佐智枝、杉原凜の各アナが持ち回りで担当しています。『3分クッキング』で自身が担当する料理を事前に家で実際に作ってから収録に臨むことも多く、特に川畑アナは1週間分全てを作っているそうです。3～4月に土曜日企画を担当していた今井亮先生が6月から平日に加入し、男女ともに料理を作る楽しさを伝えています。杉上アナの場合、水曜日は『NNNストレイトニュース』にも出演していますから『3分クッキング』の出演と重なれば両番組を通して表情の変化が楽しめます（笑）」

――キッチンセットの小道具がかわいらしいです。キユーピー人形の服装も曜日によって微妙に変わっているようですね。

「季節に合わせて着替えています。衣装は40～50着はあるでしょうか。全部手作りのものが多いです。番組スタッフのお母さんが編み物の達人でわざわざ番組のために編んでくれました」

――この番組を担当して以来、食生活に変化はありましたか。

「テレビ局の仕事は慌ただしいのでそれまでは料理にゆっくりと時間を割くことがあまりなく苦手意識もありましたから、3人の子どもたちから『またカレー？』と不満が返ってくることもありました。でも、『3分クッキング』を担当してからは多くのレシピを直接知ることができてレパートリーが増えたので、子どもから文句を言われることは減りましたね（笑）」

□清水真美子（しみず・まみこ）
1979年生まれ、東京都出身。上智大学外国語学部卒業。01年に日本テレビ放送網入社。『キユーピー3分クッキング』『世界まる見え！テレビ特捜部』『読響プレミア』などをプロデューサーとして担当。