NHK、インターネット活用業務の基本スタンスを明示「国民が求めることが大前提」

総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ」でNHKのインターネット配信の在り方等について議論が進むなか、NHKはこのほどインターネット活用業務についての説明会を行い、吉野真史経営企画局長が、業務内容が定まっていく過程において「視聴者、国民の要請に応えていく環境が整うことを期待したい」とのスタンスをあらためて示した。

NHK放送センター【写真:ENCOUNT編集部】
NHK放送センター【写真:ENCOUNT編集部】

民業圧迫につながりかねないと懸念する声もある中、NHKが説明会

 総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ」でNHKのインターネット配信の在り方等について議論が進むなか、NHKはこのほどインターネット活用業務についての説明会を行い、吉野真史経営企画局長が、業務内容が定まっていく過程において「視聴者、国民の要請に応えていく環境が整うことを期待したい」とのスタンスをあらためて示した。

 NHKのインターネット活用業務については放送法で本来業務ではなく補完的業務と位置づけられており、予算も現在、年間200億円の上限が設けられている。これまでNHKは本来業務化へ前向きな姿勢を示しているが、NHKの肥大化、民業圧迫につながりかねないと懸念する声もある。

 NHKのインターネット活用業務を放送と同様の本来業務に格上げすべきかを検討する総務省の有識者会議ではこれまでに、日本民間放送連盟が、公正競争が阻害されかねないため、予算の上限など「厳格なハードル」の設置が必要と主張。日本新聞協会メディア開発委員会は、事業が継続できなくなるメディアが出てくる可能性もあるとしている。

 こうした声の中、吉野氏は説明会で「基本的にNHKがこうしたいとか、NHKがこうでありたいではなく、社会の要請がNHKに対してどうかが大前提。我々がやりたいことをやるのではなく、NHKに求められる役割、期待されることに応えていくことが基本スタンス。いろんな調査や視聴者の声をすくい上げて、社会的に理解を頂ける範囲においてインターネット活用業務を進めていきたい。あくまでも視聴者、国民が求めることが大前提」との姿勢を説明した。

 また、吉野氏はネット空間での役割に関するさまざま調査をもとに世の中がNHKに求めていることとして「情報空間の参照点への期待」と「信頼できる多元性への期待」の2つと紹介。「情報空間の参照点への期待」は、ネットの中に不確かな情報がある場合、NHKは基準となる軸のような存在を期待されているという。「信頼できる多元性への期待」はNHKを含む新聞や民放といった伝統メディアが切磋(せっさ)琢磨し、情報の信頼性を高めていくということ。NHKとしてはこの2つを担っていくべきとの考え方を示した。

 24日に開催された総務省の有識者会議でも紹介されたが、吉野氏は説明会でも「ひとりNHKの話ではない」と強調し、新聞・民放という伝統メディア、そしてデジタルプラットフォーム事業者も含め、情報空間全体での在り方を考えていくことが必要と、NHKの思いあらためて示した。

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