注目の新人SennaRin、顔出し決意の裏に澤野弘之の助言「最初はびくびくしながら…」

今年4月にメジャーデビューしたシンガーのSennaRin(センナリン)がファーストシングル「最果て」をリリースした。TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』(テレビ東京系列ほか)のエンディングテーマに起用されており、プロデューサーで作曲家の澤野弘之によるキャッチーでダンサブルなサウンドとSennaRinによる歌詞が幻想的な世界を作り上げた。歌が大好きな少女がアーティストSennaRinとしてデビューするまでを追った。

SennaRin(センナリン)
SennaRin(センナリン)

音楽は私の乾いた心を潤してくれる「オアシス」

 今年4月にメジャーデビューしたシンガーのSennaRin(センナリン)がファーストシングル「最果て」をリリースした。TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』(テレビ東京系列ほか)のエンディングテーマに起用されており、プロデューサーで作曲家の澤野弘之によるキャッチーでダンサブルなサウンドとSennaRinによる歌詞が幻想的な世界を作り上げた。歌が大好きな少女がアーティストSennaRinとしてデビューするまでを追った。(取材・文=福嶋剛)

――SennaRinさんの音楽との出会いは。

「音楽好きの家族なので私が生まれたときから音楽は生活の一部としてごく自然に流れていました。ピアノやギターといった楽器も当たり前のように置かれていて。でも親からの影響というより、物心がついた頃には携帯やYouTubeがあったので好きな音楽を自分で探して聴いていました」

――美術も小さい頃からお好きだったそうですね。

「小さい頃から人と違うことをしたい欲が強い子だったんです。絵を描いたり、椅子を作ったり、秘密基地を作ってそこで1人で歌うとか(笑)。そんなふうに何か創作するのが好きだったんですけど、小学1年生のときに授業で笠地蔵の絵を描いたことがあって、私は筆を使わずにスポンジに絵の具をつけてポンポンて押し付けて描いたんです。そしたら『発想が素晴らしい』って先生にほめてもらい賞をいただいたんです。振り返るとあのとき私を認めてもらえたことが絵を好きになるきっかけの1つだったのかもしれません」

――音楽はどんなジャンルが好きでした。

「オールジャンルです。私の場合、歌詞の内容や言葉だけじゃなくて音楽全体を通して伝わってくる勝手な想像を膨らませて自分だけの世界を楽しむのが好きなんです。そこにはアーティストの顔や演奏者といった情報は必要なくて楽曲そのものの世界を味わうというか。だから歌のないサウンドトラックなんかもいっぱい聴きますし、そういう音楽の楽しみ方をしながら私は救われてきたような気がします」

――救われてきたとは。

「小さい頃って自分が生活している範囲内で物事を判断してしまい、いつも縮こまって毎日を過ごしていた気がするんです。でもいろんな音楽に触れたことで『世界って想像以上にめちゃくちゃ広いんだな』ってそう思わせてくれたんです。乾いた心を潤してくれる“心のオアシス”というか、自分の体内から幸せなエネルギーがどんどんと分泌されていくような感じでした。そんなふうに私を救ってくれた音楽をいつか届ける側になりたいって思いました」

――ではギターも独学で。

「はい。小学校高学年だったと思います。1人で歌を歌うときに伴奏が必要だったのでギターを始めました。楽譜を開いて3つのコードを覚えたらあとはなんとかなるって(笑)」

――初めて弾き語りした歌は。

「スコアブックにのっていたスピッツさんの曲だったと思います」

――オリジナルは。

「初めのころはオリジナルではなく好きな歌のカバーとか遊びで1人で弾き語りをしていました」

――YouTubeの投稿を始めたのは。

「高校生になってからです。YouTubeがすごく広まってきた頃で、『私が歌った曲も世界中に届くのかな?』って興味本位でどこまで届くのか試してみようと思いました」

――記念すべき1本目の反応はいかがでしたか。

「想像を超える反応があってびっくりしました。YouTubeを上げるまで自分の声に自信がなかったんです。だけど私の声をほめてくださるコメントがいっぱいあって、これからも人前で歌ってもいいんだってすごく実感しました」

――最初の頃は顔出しをしていませんでしたね。

「顔出しも私の情報もほとんど出してなかったです。出すつもりもなかったんです」

――顔出しのきっかけは。

「プロデューサーの澤野弘之さんとの出会いが大きかったです。最初はびくびくしながら、『イメージと違うってみんなに言われたらどうしよう?』って怖かったんですが、好意的に受け止めていただき、むしろ顔を出したことによって活動の幅がすごく広がりました。自分でも大きな決断だったと思います」

これからも世界中で歌いたいと話した
これからも世界中で歌いたいと話した

SF系とかパニック系の映画が大好き

――先ほどYouTubeから世界に届けたいというお話がありました。やはりこれから世界で歌っていきたいと。

「そうです。YouTubeをやっていると海外からのコメントも多くて、外国語で歌詞を褒めていただくコメントがあってとても嬉しかったです!反対に日本語が分からなくても私の歌声に対してのコメントをたくさんいただくのですが、それって私の音楽の楽しみ方と一緒で歌詞や言葉の意味が分からなかったとしても耳から入ってくる印象や世界観で楽しんでくれているんだなって気が付いたんです。だからきっと世界でも歌えるって、そう思ったんです」

――デビューが決まって日本よりも先にサウジアラビアとカナダでワンマンライブを行いました。

「決まった時はビックリしました。世界で歌いたいっていう気持ちはありましたけど、まさか初ライブがサウジアラビアだとは想像を超えました。もともと緊張するタイプで、ライブ活動なんてほとんどしてこなかったので、デビューが決まってから人前で歌うことを考えるといつもドキドキして寝られませんでした。何しろライブで歌う曲を新たに2週間くらいで10曲覚えなくちゃいけなくて、それも大変でした」

――澤野さんからのアドバイスは。

「『間違えちゃっても全然大丈夫だから、思い切り楽しんで!』って(笑)」

――ステージに立ってみていかがでした。

「立った瞬間は足がガクガク震えました(笑)。でも澤野さんの楽曲ってすごく没入感があって歌い始めるとスーッと自然に音楽の世界に入り込めるので不思議と平気なんです」

――アーカイブ動画を拝見しましたがすごい盛り上がりでしたね。

「すごかったです。カナダも同じぐらい盛り上がりました。やっぱり澤野さんの楽曲って、『進撃の巨人』だったり『ガンダム』だったり、日本だけじゃなくて世界中の人に愛されているんだなって肌で感じることができましたし、音楽って言語や国境を越えてつながれるものなんだなって実感できたので、これからもっといろんな国で歌ってみたいです」

――そのあとの日本でのワンマンはいかがでしたか。

「実は日本でのワンマンライブが一番緊張しました。サウジアラビアやカナダのライブ、国立競技場や国際フォーラムで歌わせていただく機会もありましたが、1つ1つ丁寧に歌わせていただくことに必死で、その中でも私にとっての初めてのワンマンライブだったので今までとは違う緊張感がありました」

――やってみていかがでしたか。

「顔出ししていない時期から聴いてくださっている方がたくさん会場にいらっしゃって、すごく温かく見守っていただきました。自分の中でもデビューからの半年を振り返るような思いもあって、ここからもっと頑張っていかなきゃっていうなんか覚悟ができたようなワンマンライブでした。でも、1曲1曲歌っていくたびにこの楽しい瞬間が終わりに近付いていくと考えるとすごく寂しかったです。そんな風に感じることのできるライブをこれからもっとやっていきたいです」

――いつも音楽作品と一緒にご自身でジャケットアートを用意されていますが、SennaRinさんにとって音楽とアートは切っても切れない関係なのでしょうか。

「私の中ではアートワークは“息抜き”のような気がしています。いつも澤野さんの楽曲を聴いて頭に浮かんだ映像の世界の中に入って、歌詞を書いてその映像を形にするっていう感じなんです」

――ファーストシングル「最果て」のアートワークは月面のような印象で、CGか何かで作ったのかと想像しましたが、実際にオブジェを作ったそうですね。

「はい。『最果て』というイメージを楽曲から膨らませながら地球とはまったく違う場所を想像してモデリングペーストっていうパテ状のものと他の材料を集めて3日間ぐらいで作りました」

――最後にSennaRinさんのオフの過ごし方を教えてください。1日お休みがもらえたら何をしていますか。

「1人で買い物に行きます。洋服が大好きなので何軒もお店を回ります。あとは美術館に行ったり、映画も多いときは1日5本とか見たりすることもありますよ」

――どんなジャンルの映画がお好きですか。

「最近はSF系とかパニック系、“地球滅亡の危機”みたいなハラハラドキドキする作品が大好きなんです(笑)。今回のテーマに近いかもしれませんね」

□SennaRin(センナリン)高校生の頃からYouTube上で公開してきたカバー動画が5500万回以上の再生回数を記録する福岡県出身、21世紀生まれのシンガー。特徴的な低音と透明感のあるハスキーボイスが魅力で、作詞やイラストも手掛けるマルチな才能をもつ。作詞やイラストのクレジットは「茜雫凛」名義(読みは同じく「センナリン」)で行っている。2022年4月13日、アニメ「進撃の巨人」や「プロメア」、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」など、数多くの人気アニメ作品の劇中音楽を担当する作曲家・澤野弘之が全曲プロデュースの1st EP「Dignified」でメジャーデビュー。2022年11月23日、1st Single「最果て」リリース。

SennaRin公式HP:https://www.sennarin.com/

1st Single「最果て」
2022年11月23日(水)発売
初回生産限定盤(CD+Blu-ray)VVCL-2155~2156/2200円(税込)
通常盤(CD only)VVCL-2157/1430円(税込)
期間限定盤(CD only)VVCL-2158/1650円(税込)
TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』描き下ろしジャケット

CD収録楽曲
M1.最果て(『BLEACH 千年血戦篇』EDテーマ)
M2.透明な惑星
M3.Missing piece -WwisH-
M4.Till I
M5.最果て(Instrumental)※期間盤はTVサイズ音源

【Blu-ray】
「最果て」Music Video & Making:https://youtu.be/m7acgTuyQJE

「最果て」配信
sennarin.lnk.to/SAIHATE-Bio
☆SennaRin公式サイト:https://www.sennarin.com/
☆CD予約サイト:https://sennarin.lnk.to/saihate_pkg
☆TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』公式サイト:https://bleach-anime.com/

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