激動の坂本一生さん、バイトで食いつないで40代でジム経営「小さくても自分の会社を」

タレントでインストラクターの坂本一生さん(51)が、地元の千葉県八千代市にパーソナルトレーニングジムを開設して今年で5年目を迎えた。1993年に「新加勢大周」の名でデビュー初日に一躍有名人になった騒動からまもなく30年。そこで坂本さんの半生を2回にわたって紹介する。後編は現在のライフワークでもあるパーソナルトレーナーとしての話を聞いた。

坂本一生さん【写真:ENCOUNT編集部】
坂本一生さん【写真:ENCOUNT編集部】

都内は家賃が高くて地元でやることを決めた

 タレントでインストラクターの坂本一生さん(51)が、地元の千葉県八千代市にパーソナルトレーニングジムを開設して今年で5年目を迎えた。1993年に「新加勢大周」の名でデビュー初日に一躍有名人になった騒動からまもなく30年。そこで坂本さんの半生を2回にわたって紹介する。後編は現在のライフワークでもあるパーソナルトレーナーとしての話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――坂本さん、金髪のヘアスタイルにイメチェンしてずいぶん印象が変わりましたね?

「今年の夏は暑かったじゃないですか? だから短くしたんですよ。高校生の頃に校則破って坊主にして以来かな。あれは自転車3人乗りだったかな(笑)。まあ男子校でしたからそれなりにヤンチャしてましたよ」

――そしてパーソナルトレーニングジムを始めてから5年ぐらいですか?

「ちょうど5年ですね」

――そもそものきっかけは?

「ご存じの方も多いと思うんですが、93年に芸能界デビューしていきなり世間を騒がせて、その後も紆余曲折あって、今でもタレントという肩書きは続けているんだけど、それだけじゃ飯は食えないしね。一般の職業に就こうとしたって『坂本一生』って世間に知られたらまたニュースになっちゃうし。だからいろんなアルバイトで食いつないできたんですよ。でも40代を迎えて、このまま50、60でバイト生活なんてできないし、だったら坂本一生という名前でこれからも生きていけるように小さくても自分の会社を作ろうと思って立ち上げたんです」

――坂本さんといえば筋肉タレントの走りというイメージがありますが?

「当時は日本の筋肉タレントって僕かマッスル北村さんぐらいでしたから。あの人は別格で本当にゴリラみたいにムキムキでしたからね(笑)。今でこそ、そういうタレントさんはいっぱいいらっしゃいますけど僕がデビューしたときって周りから『そんなに筋肉つけてどうすんの?』て言われていましたから」

――昔からそういったトレーナーのお仕事もやっていたのかなと思っていました。

「19歳からもう30年以上筋トレを続けているからトレーニングには詳しいんですけど、もし20代の頃にトレーナーをやっていたら、やっぱり知識も人生経験も乏しかったからきっと上手くいってなかったと思います。今みたいにお客さんから『この人に教わりたい』って納得してもらえるような体形になって、トレーニングの知識もしっかり身に付けてようやく人に教えることができるって思っているんでね」

――実家のある千葉県八千代市にジムを構えた理由は?

「僕の先輩が銀座でジムを経営しているので最初は僕も都内でやろうと考えたんですが家賃が高すぎますね。普通にうん千万円て掛かるから、もうこれ以上は借金を作りたくないですし(笑)。だったら自分が一番よく分かっている地元でやった方がいいかなって思ったんですよ」

――ひとりで立ち上げたんですか?

「そう。今でこそ幅広い人に来ていただけるようになりましたが、立ち上げ当初は大変でしたよ。駅周辺にはフィットネスクラブもあるし、高齢者向けのジムもありますしね」

京成八千代台駅から徒歩1分の場所にある「SISパーソナルジム」【写真:ENCOUNT編集部】
京成八千代台駅から徒歩1分の場所にある「SISパーソナルジム」【写真:ENCOUNT編集部】

ゼロから1人で立ち上げた

――その中でも一番大変だったことは?

「やっぱり一番は料金設定でしたね。フィットネスクラブの1か月分がパーソナルトレーニングの1回分みたいな相場なので、その料金を払ってもトレーニングしたいという人をどうやって作っていこうかって悩みましたね。それで駅周辺や近隣地域を徹底的にリサーチしてみたら僕が昔住んでいた頃よりも明らかに高齢者の方が多い街になっているから、その地域にあわせた金額設定にしました。宣伝にはお金を掛けられないので自分で警察署に道路使用許可を取って毎日駅の周辺でチラシ配りをしましたね」

――坂本さん自ら?

「そうですよ。僕1人でやりました。もちろん僕の顔を見て分かる人に分かったかもしれないけれど必死でしたからね」

――そうやってスタートして今は若い人から高齢者までさまざまな世代の人が集まっているそうですね。

「下は10代から上は80歳近い人までいますね。やっぱりみなさん筋肉をつけたい、健康のための体力維持とか必ず目的があってトレーニングしますよね? だけど入会して何年も会員になっているのに体形が変わらないとか、お金払っているだけで行かなくなっちゃったっていう経験がある人は多いと思うんです」

――まさにその中の1人です(苦笑)。

「これは本当にもったいないんですよ。筋肉ってそんな簡単に付くものではないんですが、短期集中でもしっかりやれば自分の望むような体形に近付いていくので1人1人に合ったメニューを作って食事のアドバイスもさせてもらっています。筋肉をつけたい人はそれなりに厳しいメニューになるんですけど、ジムを始めてから5年間ずっと通い続けてくださる方も結構いらっしゃいます」

――パーソナルジムを始めたことによる学びも多かったのでは?

「そうですね。トレーニングに関する知識の部分で多くの学びはありましたし、お客さんから教えてもらうことも多くて、ここに足を運んでくださる理由も人それぞれで、いろんなお客さんの考えが理解できるようになりました」

――この先もライフワークの中心としてパーソナルトレーニングジムを続けて、タレント業も続けていくんですよね?

「そうですね。だから、今までは芸能が優先順位として一番だったけど、今はジムのお客さんが一番なので空いている時間にタレント活動をするみたいな感じです。テレビとか取材はこれからも受けますよ」

――ゆくゆくは事業を広げていきたい?

「できるならそうしたいです。パーソナルジムって1店舗だと収入に限界があって今は離婚して1人だからギリギリの生活ではないですが裕福でもないですし。かといって人に任せるような経営はしたくないんです。いろんな人を見てきたから、事業を拡げて失敗してしまい、大切なものさえも手放すなんてことはもう絶対にしたくないですから。まあ、宝くじでも当たったら話は別ですよ(笑)」

□坂本一生(さかもと・いっせい)1993年7月7日、新加勢大周としてデビュー。7月27日に坂本一生に改名。「新・○○」で第10回新語・流行語大賞新語部門・銀賞受賞。「元祖筋肉タレント」として活躍。千葉県八千代市でSISパーソナルジムを経営。

坂本一生パーソナルジムHP:https://isseisakamoto.com/

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