檀れい、落ちこぼれだった宝塚入団時「奇跡的に拾ってもらった」 努力を重ねた30年間

女優の檀れいが11月23日、12月7日、東京・丸の内のコットンクラブで「30th Anniversary Special Live 2022 Ray 光 / 虹」を題する30周年記念ライブを開催する。宝塚歌劇団時代は月組と星組で2度のトップ娘役を務め、退団後は映像を中心に活躍しているが、宝塚入団時は落ちこぼれ。30年の歩みは、たゆまぬ努力の賜物だった。

檀れい
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檀れいが30周年記念ライブを開催

 女優の檀れいが11月23日、12月7日、東京・丸の内のコットンクラブで「30th Anniversary Special Live 2022 Ray 光 / 虹」を題する30周年記念ライブを開催する。宝塚歌劇団時代は月組と星組で2度のトップ娘役を務め、退団後は映像を中心に活躍しているが、宝塚入団時は落ちこぼれ。30年の歩みは、たゆまぬ努力の賜物だった。(取材・文=平辻哲也)

 宝塚歌劇団退団後も映画やドラマ、舞台で多彩な才能を発揮してきた檀。2006年に山田洋次監督、木村拓哉主演の「武士の一分」のヒロイン役でスクリーンデビュー。今年は水谷豊監督の「太陽とボレロ」で映画初主演を務め、9月公開の「沈黙のパレード」にも出演。テレビ朝日「題名のない音楽会」では、東京フィルハーモニー交響楽団と「ベルサイユのばら」の主題歌「薔薇は美しく散る」を披露し、話題を集めた。

 本公演はこれまでの感謝と新たなスタートを記念した宝塚退団後初の主演ライブだ。

 宝塚での初舞台は1992年3月26日だった。

「実は忘れていたんです。宝塚時代のファンの方から『今日は初舞台初日ですね』とメールをいただいて、そうだったんだ、とビックリして……。『題名のない音楽会』でオーケストラのみなさんと歌を歌ったのをきっかけに、今までやってこなかったことをやりたい、と思ったんです。この数年はコロナ禍で人と触れ合うことが少なかったので、テレビで見ていただく檀れいではなく、宝塚のときのようにもっと身近な私を見てもらえたら。ただ、私が人に会いたいんでしょうね」とほほ笑む。

 ライブでは、宝塚時代の楽曲、映画音楽、J-POP、ミュージカル、シャンソン、中国の歌などバラエティーあふれる選曲で、早着替えも披露する。

「コットンクラブは、とても客席(200席弱)が近いので、想像するだけでドキドキしてしまいます。目の前に檀れいがいる空間の中で温かな空気が流れれば。題名の『光』には、私が憧れていたエンターテインメントという『光』の世界、その先にある『虹』の向こうの幸せをイメージしました。この30年は必死にもがきながらきましたが、これから先も応援してくださる皆さんとともにエンターテインメントを通して素晴らしい世界を一緒に見たい」

 今は紛れもない大スターだが、その道は平坦ではなかった。宝塚音楽学校では成績も悪く、宝塚歌劇団も当初は落ちこぼれだった。

「宝塚に入りたいと思ったのは、高3の暮れ。宝塚はあまりにもすてきすぎて、私のようなものが入れるところではないと思っていました。小さい頃から自分の才能を活かせる職業につきたいと思っていて、将来、何になるんだろうと考えている子だったんです。大学の受験勉強もしてきたのですが、全然腑に落ちなくて。それまでずっと思いを封印してきたエンターテインメントの世界でお芝居をやりたいことに気づいて、そこから慌てて宝塚受験の資料を担任の先生に取り寄せてもらったんです。奇跡的に拾ってもらった、と思っています」

入団8年目に娘役トップに大抜てきで“シンデレラガール”の呼び声

 音楽学校時代はゼロではなく、マイナスからのスタートだったという。

「私みたいな人がいっぱいいると思っていたら、みなさんは小さい頃からレッスンを受けていた。もう上を向いて、はい上がっていくしかない、と思っていました。かといって数年で差が縮まるわけでもない。初めて味わう劣等感でした。それでも、休みの日には宝塚大劇場に行って、当日券を買って後ろで見る。先輩方がとてもすてきで、いつかこの舞台に立ちたい、と。でも、授業は本当に大変で、できない自分に気持ちがしょんぼりすることは多々ありました」

 当時、トップは大浦みずき&ひびき美都(花組)、杜けあき&鮎ゆうき(雪組)、日向薫&藻えり(星組)、涼風真世&麻乃佳世(月組)の時代だった。入団後は端役でのスタートだったが、諦めることはなく丁寧な役作りを心がけた。通行人の役でも自分なりに設定を考えて、ノートに取った。

「主役の方の邪魔をしないようにしながらも、周りのガヤ芝居をしていました。上級生の方にアドリブで『ちょっとお兄ちゃん、何やっているの?』とやってみたり。そうしたら、いつの間にか妹の役になっていたこともありました。見ていてくださったんですね」

 月組・トップの真琴つばさの相手役として娘役トップに大抜てきされたのは入団8年目の99年。当時はシンデレラガールとも言われた。

「言われたときはビックリしました。ずっと個性的な役とか、ちょっとポイントになる役とか変化球のような役で、ヒロイン路線ではなかったので。トップになれば、いつ退団するのかも考えるものですが、そんなことを考えている暇もなく、真琴さんについて、重責をこなすのが精いっぱいでした」と振り返る。檀は宝塚時代から真っすぐに走り続けている。

□檀れい(だん・れい)8月4日生まれ。1992年、宝塚歌劇団に入団。99年より月組トップ娘役を、2003年からは星組トップ娘役をそれぞれ務める。05年に退団。06年、山田洋次監督作品「武士の一分」のヒロイン三村加世役で鮮烈なスクリーンデビューを果たし、第30回日本アカデミー賞優秀主演女優賞及び新人俳優賞・第44回ゴールデンアロー賞ほか、数々の賞を受賞。

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