16日にツイッター上で「撮り鉄のせい」がトレンド入りした。ネット上では、東急田園都市線の電車遅延について、“写真を撮ろうとして人が線路内に立ち入った”とする話が流れ、さらには、車内アナウンスで同様の説明がなされたとする書き込みが上がった。東急電鉄株式会社に取材を申し込むと、線路内への人の立ち入りによる遅延が発生したことは事実という。一方で、“撮り鉄”に言及するような車内アナウンスについては「確認できない」とのことだった。これ以上の詳細な事実関係の確認は難しいといい、謎が深まっている。

　東急電鉄によると、同日午前7時48分に走行中の東急田園都市線・準急久喜行きの乗務員が、市が尾駅～江田駅間（横浜市）の線路内に人が立ち入っていることを確認したため、安全確認のため列車を停止。安全を確認したのち当該列車は、5分遅れて発車した。「これによるけが人はございません」という。

　一方で、ツイッターなどでは同日午前に、「東急無線を聞いていると、【写真を撮ってた人がいたとの事。】」　「田園都市線遅れてるんだけど『写真を撮る方が線路内に立ち入ったため』ってアナウンスあった」「写真を撮ろうとした人の線路内の立ち入り云々のこんな名指しアナウンス初めて聞いたわ……」「車掌さん、車内放送で何度も電車の遅延は撮り鉄のせいとアナウンスしてる　笑　#田園都市線」などの書き込みが見受けられた。

　実際に、撮り鉄のせいで電車が遅れている旨のアナウンスがあったのかどうか。東急電鉄は「確認できませんでした」との回答を寄せた。そのうえで、「ただいま緊急停止の信号を受信しましたので、列車を停止しました」「線路内立ち入ったため現在停止しております」といった内容が「基本的な放送」になるという。

　担当者は取材に対して、「当日、乗務員は線路内に人が立ち入ったのを見ていますが、すぐに立ち去ったため、何をしようとしていたのかは確認できていません。取材の問い合わせを受けて、必要な確認作業・調査はしましたが、現状は確認できないです」と説明した。また、当日は後続列車などにも影響が出たため、遅延した電車は多くあるとのことだ。そもそも、どの電車でアナウンスがあったのか、確認が難しい事情もあるという。

　多くの鉄道愛好家・写真愛好家は安心・安全に電車の撮影を楽しんでいるが、一部の撮り鉄によるマナー違反が社会問題化している。

　東急電鉄は、「一般的な電車の撮影に関してのお願い」としてメッセージを寄せた。「当社では電車を撮影の際にはフラッシュの使用や列車への接近など、安全確認の妨げとなる場合は注意喚起をいたしております。また、撮影時のマナーについてお願いをしておりますが、マナーに関してはお客さまのモラルに頼らざるを得ず、当社と致しましてもその対応に非常に苦慮しているところでございます」。

　さらに、具体的な注意するべきポイントを挙げ、「駅構内や電車を撮影する際の注意点は以下の通りでございます。（1）運行中の列車に向けてのフラッシュ使用禁止　（2）立入禁止区域での撮影禁止　（3）列車運行に影響をおよぼす行為禁止　（4）三脚および脚立等を使用しての撮影禁止　今後も撮影ルールを守り、安全に撮影をいただけますと幸いです」としている。