花*花、紅白出場デュオがデビュー3年で突然活動休止 6年の充電期間で感じたこと
「さよなら 大好きな人」や「あ~よかった」で知られる2人組「花*花」がデビューから23年目を迎え、10月にミニアルバム「5B2H」をリリースした。「帰る場所」(=ゴー・バック・トゥ・ホーム)をテーマにした今作には“おのまきこ”と“こじまいづみ”にとっての大切な故郷がさまざまな形で曲に描かれている。2人にとっての故郷といえば「花*花」というグループも当てはまるのではないだろうか? メジャーデビューと同時に人気を博すもわずか3年で活動を休止。長いブランクをへて復活し、2020年にメジャーに復帰……そんな紆余曲折あった2人の「帰る場所」とは?
山あり谷ありの23年を2人が振り返る
「さよなら 大好きな人」や「あ~よかった」で知られる2人組「花*花」がデビューから23年目を迎え、10月にミニアルバム「5B2H」をリリースした。「帰る場所」(=ゴー・バック・トゥ・ホーム)をテーマにした今作には“おのまきこ”と“こじまいづみ”にとっての大切な故郷がさまざまな形で曲に描かれている。2人にとっての故郷といえば「花*花」というグループも当てはまるのではないだろうか? メジャーデビューと同時に人気を博すもわずか3年で活動を休止。長いブランクをへて復活し、2020年にメジャーに復帰……そんな紆余曲折あった2人の「帰る場所」とは?(取材・文=福嶋剛)
――ニューアルバム「5B2H」のCDのボーナストラックとして収録された新しいアレンジによる「あ~よかった」はダジャレではありませんが、聴き終わって「あ~よかった」って癒されました。
こじま(いづみ)「ありがとうございます(笑)。企業さんのWEB CM用に作ったものなのでアルバムに入れる予定はなかったんですけど、あまりにもよくできていて」
おの(まきこ)「自画自賛です(笑)」
こじま「そう(笑)。なのでボーナストラックとして収録しました」
――この曲が誕生したのはメジャーデビュー前だったそうですね。
こじま「インディーズデビューよりも前の専門学校を卒業した頃でした」
――もともと2人は音楽の専門学校で一緒だったそうですね。
こじま「2人とも兵庫県の高砂市出身の同級生で普通に遊んでいた友達なんです」
おの「私はピアノを専攻していたので歌はやっていなかったんです。定期テストになるとボーカルコースの人の伴奏をやっていて、そこでいづみさんの練習に付き合ったりして」
こじま「『まきちゃん、ちょっと弾いて』って一緒に練習してたら楽しくなってきて『じゃあハモってみない?』って。そしたら教室にもう1台ピアノがあったので『私も弾くわ』みたいな」
おの「それから学校のコンサートに2人で出ようってなって、日本の曲とか洋楽とかカバーをしていたら、いづみさんが『こんなん作ってみた』って言ってオリジナルを作ってきてくれて。今度はライブハウスでライブしてみようってなったんです。『あ~よかった』はいづみさんが作ったんですよ」
こじま「ミュージシャンの友達が結婚することになってライブハウスでちょっとしたパーティーをやることになったんです」
おの「それで『お祝いに2人でやらない?』って聴かせてくれたのがこの曲でした。『じゃあ一緒にハモるところを決めよう』と言って。『あ~よかった』はそのときのままです」
――メジャーデビューしていきなりブレークした「花*花」は初出場となった2000年の「第51回NHK紅白歌合戦」で「あ~よかった」を歌いました。
おの「祖父母が喜んでくれましたね。『音楽やってんのか~。頑張りや~』って(笑)」
こじま「おじいちゃんとおばあちゃんが紅白見ながら『うちの孫ですねん!』て言ってたらしいです(笑)。私たちはデビューしたのがその年の7月なので1年もたってないから分からないことだらけでしたね。なんとかレールに乗っておかないとって思ってました」
おの「そう。なんかもう毎日が忙しい社会見学みたいで、大みそかは『この日頑張れば休める』って思ってましたね」
――「さよなら 大好きな人」もヒットして順調に進んでいるかに見えましたがメジャーデビューからわずか3年で活動を休止しました。
おの「私たちの事務所を担当していた親会社の海外にあった工場が『SARSウイルス』の影響で経営不振になってしまい『音楽事業をやめます』と突然の終了を告げられたんです」
おの「もうその日のことは忘れもしません。発表の直前まで『来年のツアーどうしよ?』ってスタッフと話していましたから。そしたら『事務所を畳みます』って突然言われて頭がボーっとして、いづみさんに私のボロボロの車に乗ってもらって私の住んでた大阪まで一緒にきてくれて」
こじま「雨降ってたよね? ボロボロのワイパーが動いていて(笑)。『もうどないすんねん?』て話しました」
おの「まだ契約が1年半残っていてデビュー前からお世話になっているディレクターさんに『どうやって話そう?』ってね。実は(今回の取材で)隣に座っているディレクターさんがその人なんです(笑)。復帰してからまたお世話になっているんですよ」
こじま「というか本人の前でこんな話するの初めてですよね?」
ディレクター「今だから話せますが、実は僕もレコード会社を辞めるタイミングでどうやって事務所に打ち明けようかと思っていたんです」
おの「えーー! それ、知らんかった。だからスムーズに進んだんですね」
こじま「ディレクターさんが親身になって今後の活動についていろいろと考えてくれたんですけど、私たちはデビューからの3年ですっごい疲れてしまったんです。私たちの曲って日常の中から生まれてくるものなんですけど、忙しすぎて日常がパタッとなくなってしまい、『どっから曲を書いたらええんやろ? 曲書くために日常があるっておかしいやろ?』って。それで『これ一回歩みを止めないとあかんな』って、そこまできていたんです」
おの「そうでしたね」
こじま「私めっちゃ覚えているんですけど、活動休止する前に『こっから普通にみんな友達になろうや!』みたいな飲み会をディレクターさんとマネジャーと4人でやったよね?」
おの「あった。下北沢で飲んだ(笑)。すっごい楽しかった」
こじま「『もういいじゃん! 領収書なんて切らずにみんなで飲もう!』って。すごくありがたかったし、あれがあったからこそ、今があると思ってます」
6年の休止期間をへて活動再開「必要な時間やったと思います」
――活動休止後のおふたりはどんな活動をされていたんですか。
こじま「私はソロで活動を続けてました。全部自分で責任を負える範囲内で気の合う仲間とライブしたりレコーディングしたり、マイペースにやってました。プライベートでも車の免許を取りに行ったり、期限を決めずにあっちこっちに貧乏旅行に行くとか(笑)」
おの「私は対照的にもう音楽はやらないし、見ないし、聴かないっていう生活をしてました」
――疲れてしまいましたか。
おの「そうですね。音楽が好きかどうかも分からなくなっちゃって家に引きこもっていましたね。半年後くらいに知り合いにライブに誘っていただいて、そのライブがすごく楽しくて『私、やっぱり音楽好き』って答えが出ました」
――どなたのライブでしたか。
おの「カセットコンロスさんです。もう私もみんなもむちゃくちゃ体揺らして踊っていて(笑)楽しかったんですね」
こじま「ワダマコト(ボーカル&ギター)くんにありがとうって言っておかな」
おの「ワダくんありがとう(笑)」
――ワダさんのおかげですね(笑)。それからは。
おの「ボーカルレッスンの先生を始めました。今でもやっていてプロを目指す小学生から健康維持のためのおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広く60代の母親ぐらいの世代の方も小学生もいますし、むちゃくちゃ幅広いです」
――そんなお二人がふたたび「花*花」として活動するきっかけは。
おの「昔マネジメントを担当してくれて私たちのお母ちゃんみたいなライブハウスの店長さんが、『デビューから10年だけど何か(ライブ)やらないの?』って声を掛けてくれて。すっかり忘れていたので『じゃあ、なんかやる?』って」
こじま「まきちゃんとは、そのあとも普通にご飯行ったり、ソロアルバムでコーラス歌ってもらったりしていたんです。それで10周年やからちゃんと感謝の気持ちを伝えた方がいいねっていうことでライブをやったんです。そしたらお客さんに『おかえり』って言ってもらえて。自分たちで勝手な感じで6年間も休止にしちゃっていたのに、『待っててくれた人がこんなにおったんや』って。それで今やったら『花*花』として音楽がちゃんとできるんちゃうかなって思いました」
おの「自分たちのペースでやろうって話した記憶がありますね」
こじま「私はまだ息子が小さかったので保育園の運動会やら、そういう日常は大切にしながらお互いに無理しない範囲でやりたいことを楽しもうって。だから今は健やかですよ(笑)」
――メジャー復帰に関してはどんなお気持ちですか。
こじま「CDから配信になったり、私たちがいない間に音楽業界って本当に大きく変わったので、メジャーに戻ったというより、別の世界にいるような気もしますね。久しぶりにいろんな人に会ったら当時のみなさんは偉くなってるし(笑)。でも、割とあの頃を知っている人たちとまた面白いことができそうだなって、そんな感じでマイペースでやらせてもらっています」
おの「『花*花』の曲も私といづみさんの日常から紡いだものを曲にするっていうのは昔と変わっていないんです。でも、今の方が良いと思います。あそこでちゃんと止まって、いろんなものを見渡した6年があったからこそ、今こうやって地に足つけてまたスタートできてるんで。必要な時間やったと思います」
こじま「良い曲ができたら2人でほめ合ってるんです。できた曲を認めてあげて自分も褒めてあげたりとか、なんかそういう気持ちって、あらためて今すごく大切なんじゃないのかなって思っています」
おの「今回のミニアルバム『5B2H』もできた曲をみんなでほめ合いました(笑)」
こじま「でもそもそも最初にメジャーデビューした2年半がなかったら、そんなこともなかったですし。たしかに当時はすごく大変な思いもしましたけれど、あれがなければ、今こうやって活動なんかできてないですから。ファンのみなさん、関係者のみなさん、そして今回また素敵な機会を与えてくださったディレクターさんにも感謝しかありません」
□花*花(ハナハナ)ともにボーカル&キーボードのおのまきことこじまいづみが1995年に結成。2000年7月、ワーナーミュージックジャパンより「あ~よかった-setagaya mix-」でメジャーデビュー。同年末には「第51回NHK紅白歌合戦」に異例のスピードで出場。「さよなら大好きな人」などシングル7枚、アルバム7枚をリリースし、全国各地でライブ・レギュラーラジオなどで活躍するも、03年活動を休止。09年3月、「花*花」誕生10周年を機に再始動を発表。20年にはメジャーデビュー20周年を迎え、ベストアルバム「2×20(ニカケルニジュウ)」をユニバーサルミュージックよりリリース。22年10月ミニアルバム「5B2H」リリース。
花*花公式HP:https://office-hanataba.com/hanahana/
ユニバーサルミュージックHP:https://www.universal-music.co.jp/hanahana/
【ライブ情報】花*花「5B2H」Release Tour 2022
11月19日京都「someno kyoto」
11月27日福岡「border -live music&drinks」
12月01日名古屋「TOKUZO-得三-」
12月03日岡山「MO:GLA」
12月16日大阪「吹田市文化会館メイシアター小ホール」(ファイナル)
詳しくは公式HPへ:https://office-hanataba.com/hanahana/