W杯注目の日本代表選手 J1川崎・山根視来が勇気をもらう名作漫画&名曲とは
20日に中東・カタールで開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)で、日本代表「サムライブルー」への注目度が高まっている。海外組の選手がひしめく中で、キラリと輝く国内組のJリーガーがいる。J1川崎フロンターレのDF山根視来(みき)選手=28=だ。W杯代表初選出で、代表デビューから約1年8か月で夢切符をつかみ取った。泥臭さが持ち味の“攻めるディフェンダー”に意気込みを聞いた。
J1川崎フロンターレの主力 2021年3月に27歳で代表デビューの逸材
20日に中東・カタールで開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)で、日本代表「サムライブルー」への注目度が高まっている。海外組の選手がひしめく中で、キラリと輝く国内組のJリーガーがいる。J1川崎フロンターレのDF山根視来(みき)選手=28=だ。W杯代表初選出で、代表デビューから約1年8か月で夢切符をつかみ取った。泥臭さが持ち味の“攻めるディフェンダー”に意気込みを聞いた。(取材・文=吉原知也)
今季のJ1リーグは大接戦が展開され、優勝争いは最終節までもつれた。川崎フロンターレは、惜しくも横浜Fマリノスに王座を明け渡し、3連覇を逃した。「3連覇を目指していたので、満足のいくシーズンではなかったです。個人としてもチームの勝ち切れない試合が多い中で、自分は何ができたのかなというところを考えると、その面でも満足はいっていないです」。常勝軍団の一員として、自らに厳しくシーズンを振り返った。
もともとは大学まで攻撃的なポジションの選手だったが、プロ入りした湘南ベルマーレでDFにコンバート。2020年に移籍した川崎フロンターレでは右サイドバックで定位置をつかんだ。体を張った対人守備に加え、オーバーラップでどんどん攻撃に絡む。DFながら“攻め上がり”を大きな武器に持っている。W杯の1次リーグでドイツ、コスタリカ、スペインの強豪と当たる日本代表に、確実に必要な戦力だ。
守備での貢献に加え、「自分の攻撃参加によって、攻撃に厚みをもたらしたいと思っています。そのタイミングは試合の中でしっかり見極めていきたいです。何でもできる選手ではないので、自分の強みを出すことが大切だと思っています」と語気を強める。
21年3月に27歳で代表デビュー。韓国代表との国際親善試合で、代表戦初出場とともに代表初ゴールを決めた。“遅咲き”と呼ばれることもあるが、「自分では特に苦労人とも思っていませんし、遅咲きとか早咲きとか、自分のことをそういった感じで見たことはないです」。愚直にサッカーに向き合い、自己研鑽を重ねてきた。それが、W杯メンバーという大役に結び付いた。「僕がプロに入った時点で、今ここにいることを誰が想像できたかと言うと、多分誰もいないと思います。目の前のことをやり続けて、それが今につながっているということだけです」と語る。
大会本番に向け、「W杯はほとんどの選手が憧れる舞台だと思うので、最後に大会が終わった時に、最高だったなと思える大会にできたらいいなと思っています」。W杯は普段サッカーにあまり接しない人たちも日本代表の試合を見る“祭典”でもある。日本代表を応援してくれる人たちに、プレーを通して伝えたいことがあるという。「自分たちのプレーを見てもらうことで、元気付けたいという思いはもちろんあります。本当に泥臭くてもいいので、そうしないと上にあがることができない大会でもあると思っているので、チームとして戦って、必死にプレーする姿を見せたいと思っています」。
サッカー以外のエンターテインメントに触れることで、自分自身が勇気付けられることがあるという。バスケットボールを通して成長する高校生たちを描いたスポーツ漫画の金字塔「SLAM DUNK(スラムダンク)」のファンといい、「必死に何かをつかみ取るということはやっぱり好きですね」。一男一女のパパでもあり、「FUNKY MONKEY BABYS」の「ヒーロー」が大好きな1曲。「子どもがいるので、よく聞きます」。いつも試合前のバスの中で聞いているといい、カタールの地でも気持ちを高めてくれる応援ソングになりそうだ。
栄光の舞台を見据え、「自分が楽しいと思える大会にしたいですし、一番はチームのために、しっかりといい準備をしていきたいです」と決意を口にした。
○カタールW杯の1次リーグE組で、日本代表は、11月23日午後10時(日本時間)からドイツとの第1戦、同27日午後7時(同)からコスタリカとの第2戦、12月2日午前4時(同)からスペインとの第3戦に臨む。
□山根視来(やまね・みき)、1993年12月22日、横浜市生まれ。東京ヴェルディの下部組織からウィザス高校、桐蔭横浜大を卒業後、2016年に湘南ベルマーレに加入してJリーガーに。20年から川崎フロンターレに移籍し、主力として活躍している。