「俺ほどの落ちこぼれはいない」 元アウトローの瓜田純士が現代の不良に伝えたいこと

顔面にはいかつい“タトゥー”、生まれは夜も眠らぬ街、東京・歌舞伎町。瓜田純士は暴力団に属していた過去を持つ。アウトローの集まる総合格闘技大会「THE OUTSIDER」にも出場。現在は「BreakingDown」に出場し脚光を浴びている。表世界で日の目を浴びる今について話を聞いた。

インタビューに応じた瓜田純士【写真:徳原隆元】
インタビューに応じた瓜田純士【写真:徳原隆元】

「最後は瓜田が聞いてくれるだろうな」という安心感

 顔面にはいかつい“タトゥー”、生まれは夜も眠らぬ街、東京・歌舞伎町。瓜田純士は暴力団に属していた過去を持つ。アウトローの集まる総合格闘技大会「THE OUTSIDER」にも出場。現在は「BreakingDown」に出場し脚光を浴びている。表世界で日の目を浴びる今について話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

 落ちこぼれの代弁者でありたい――。3月に行われた「BreakingDown4」のこめお戦後にケージの中で口にした。

 その意味についてこう明かす。

「今後、誰が大会に出てきても、俺ほどの落ちこぼれ、良くも悪くも名前を売った者はいないと思う。1番まねちゃいけない生き方をしていた。例えば学校の先生が(アウトローの)気持ちが分かるって言っても分からないと思う。俺は強姦(ごうかん)魔と放火魔以外の気持ちは分かる。『誰も分かってくれないけれど最後、瓜田が聞いてくれるだろうな』という安心感が若い子に必要なのかなと思う」

 瓜田はYouTube上で逮捕者や犯罪について元アウトローとしての意見を発信。ときにはアドバイスを送る姿も見られるがそれは“更生”とは違うようだ。

「そこまでのことを俺にはできない。偽善でそんなことできないし、自分のことで精一杯。何がカッコよくて何がカッコ悪いか、という判断基準は分かっている。俺(人生が)本当に終わってたので、瓜田の生き方を見てれば、あの人でもこうなったから大丈夫だとかそう思ってほしい。今は写真撮ってくださいとか、企画に求められるようになったけれど、それまでは自分で一個ずつ穴を埋めていったんです」

 後ろめたそうに過去を振り返る。現在のポジションを確立できたのは、皮肉にもアウトローの世界で学んだ生き方があったからだ。

「俺は元々、肉弾戦みたいなけんかは弱かったんですよ。強くないんだけれど、“うまかった”んです。SNSをひとつとっても、今どういうアクションを自分がしたら結果こういう形になるだろうっていうのが見えているんです。全体を見ているのでそういうけんかの仕掛け方を知っているんですよ」

人生で後悔していることはないと語った瓜田純士【写真:徳原隆元】
人生で後悔していることはないと語った瓜田純士【写真:徳原隆元】

一般社会を生きる今の“けじめ”とは

 瓜田純士という名前は今やネットの世界を中心に多くの場所で見られている。なぜバズるのか。本人が分析する。

「子どものときからその界隈(かいわい)でずっと有名だった。自分でうわさになるのを狙ったことはないんです。美しい生き方でも汚い生き方でも人に見せる。自分の中にもう1人の自分のファンがいて、今のはダメだ。ここはこうしておけって言うんです。今はそれを言ってくれるのは奥さんなんですけれど」

 今でこそ日の当たる場所で生きている瓜田だが、人生で最も後悔していることを聞くと、顔面に刻んだタトゥーだった。

「最近までは刺青だったんです。やっぱり部屋を借りられないし、今は知ってもらえているからお邪魔じゃないけれど、当時は『誰だあいつ』ってなかで生活しなきゃいけないわけだから。やんちゃ坊主の中では知られていても一般社会の人は誰も知らなかったわけですから」と説明する。

 さらに「デパートに行ったときに、自分は(刺青を)入れていることを忘れてるから普通の肌色の人間だと思っているんですよ。エレベーターの鏡だったり、エスカレーターの鏡に映るときに自分でもギョッとするんです。知らない人はもっとギョッとするじゃないですか。8年前は異質だったので後悔しましたよ」と本音を明かした。

 それでも今では“顔面タトゥー”をものまねする者も現れている。今年のハロウィーンでは“瓜田純士コスプレ”を楽しむ若者も見られた。

「タトゥーも世の中で当たり前になってきている。終わり良ければじゃないけれど、今思えば後悔はあんまりないな。後悔することをやらかしたり、そういう1日を過ごしても自分でそれを巻き返せるじゃないですか。若いときはいっぱい後悔があったかもしれないけれど、それを今巻き返していっているから」

 巻き返しこそが一般社会を生きる瓜田にとってのけじめだ。

「これからももっともっと自分の名前はデカくなる。俺はプライドが高くて、自分でいつも自分の名に恥じないように生きている。そして妻の前でもカッコよくなきゃいけない。それが巻き返しの原動力。けじめですね」

「本当に終わっていた」と振り返る過去の自分。だからこそ、ドロップアウトしかけた人間の気持ちが分かる。落ちこぼれ者たちの最後の砦(とりで)として、背中で生き様を見せ続ける。

次のページへ (2/3) 【動画】瓜田純士と娘・レイアさんが大久保を歩く様子
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください