【RIZIN】平本蓮が格上ドミネーターを支配できたワケ “KO狙わない”姿に見えた覚醒の兆し

メインイベントでは平本蓮(ルーファスポーツ)が弥益ドミネーター聡志(team SOS)と対戦。終始、打撃で圧倒し3-0の判定勝ちを収め、MMAでの戦績を2勝2敗とした。圧倒的に格上とみられていた相手を完封した平本。その戦いぶりと、試合後のコメントから新たなファイトスタイルが浮かび上がってきた。

弥益ドミネーター聡志(左)を圧倒した平本蓮【写真:(C)RIZIN FF】
弥益ドミネーター聡志(左)を圧倒した平本蓮【写真:(C)RIZIN FF】

急成長する平本が見せた新たなファイトスタイル

「ANGEL CHAMPAGNE presents RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」(11月6日、愛知・ドルフィンズアリーナ=ABEMAで全試合完全生中継)メインイベント RIZIN MMAルール:5分×3R(70キロ)

メインイベントでは平本蓮(ルーファスポーツ)が弥益ドミネーター聡志(team SOS)を、打撃で圧倒し3-0の判定勝ちを収め、MMAでの戦績を2勝2敗とした。圧倒的に格上とみられていた相手を完封した平本。その戦いぶりと、試合後のコメントから新たなファイトスタイルが浮かび上がってきた。(取材・文=角野敬介)

確かな成長を見せつけた。平本が冷静に、ドミネーターをドミネート(支配)した。「自分から焦っていくんじゃなくて、自分のタイミングで、焦らず戦った。MMAを楽しめた。“ストライカーの塩漬け”が出来たんじゃないかと」とニヤリ。戦前に描いていた理想通りの勝ち方だった。

平本はケージの中央に位置取り、ドミネーターはその回りをサークリング。そして出てきたドミネーターに対して、平本は迎え撃つ形で自慢のパンチを振るった。ダウンを計3度も奪ったが、いずれもドミネーターが立ってくるのを待った。

結果的にドミネーターに先に動かせ、待ちの姿勢を貫いた。行けばフィニッシュできそうな局面でも、強引に仕留めにはいかなかった。その結果が判定での完封。これが平本が言うところの“ストライカーの塩漬け”だ。

一般的に“塩漬け”と言えば、グラップラーのイメージがあるが、平本が目指すのは「ストライカーの塩漬けですね。はやるんじゃないですか」とドヤ顔しつつ、その思惑を解説した。

「自分の軸となるスタイルというか、打撃はその距離をコントロールする一番の武器。レスラーの塩漬けと違って、ストライカーの塩漬けは恐怖心をコントールすることができる。『もうやりたくねぇな』と試合中に思わせるような、恐怖心を植え付ける。スポーツのテクニカルではなく、武道の恐怖心を相手に植え付ける。それが自分のMMAを通して表現できるようになってきたかなと」

サウスポースタイルで戦ったワケとは

言うは易く行うは難し。ストライキング(打撃)で相手の心を折る。そして完封する。それを難敵ドミネーター相手に実行してみせた。「いつまでもキックの打撃にこだわっていない。世間を見返せるいいきっかけになった今日の試合じゃないかと」と充実感を漂わせた。

メインイベンターとして、冷静さを保てた理由の一つに、サウスポースタイルで戦ったこともあった。

「小学校、キック始めたころから僕はサウスポー。K-1時代もサウスポーでやったことがあります」と振り返りながら、MMAでのサウスポーの利点を明かした。

「MMAにきて、サウスポーのほうが空間が作れるんです。右利きのオーソドックスのほうが、仕留めに行けてケンカでは強い。ただテクニックはサウスポーが出せる。コントロールできる。今回は自分のやってきたボクシングと空手を信じた。前回の試合で空手の部分は出し切れてなかった。今回はより完成に近づけた。試合前から岩崎先生には距離感さえミスらなければ、3R徹底的にボコボコにできると」

現在は剛毅會空手の宗師、岩崎達也氏に師事する平本。自身のバックボーンでもある空手の技術も体にしみ込ませることで、打撃はもちろん、精神面も研ぎ澄まされていった。

人気先行、話題先行、MMAの実力はまだまだ――。そんな評価をされ続けてきた平本が、今回残した結果は大きなものだ。まだ24歳。これからが楽しみになったのは間違いない。

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